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―「住み慣れた地域で老いる」社会をめざして地域包括ケアシステム

国立社会保障・人口問題研究所研究叢書
地域包括ケアシステム ―「住み慣れた地域で老いる」社会をめざして

A5判 344ページ 上製
価格:5,280円 (消費税:480円)
ISBN978-4-7664-2022-7 C3033
奥付の初版発行年月:2013年03月 / 発売日:2013年03月下旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

「医療・介護・福祉」一体型の地域づくりへ

▼人々が住み慣れた地域で、親しい人々に囲まれながら、充実した医療・ケアを享受できる社会、それが本書の提案する「地域包括ケアシステム」である。
▼本書は、社会保障・税一体改革、多職種協働体制の確立と人材育成、中央地方・官民の連携のあり方など重要課題を考察し、高齢社会・日本の新たな姿を描く。

▼医療・介護・福祉従事者はもちろん、政府・地方自治体担当者にも必読の書。

著者プロフィール

西村 周三(ニシムラ シュウゾウ)

国立社会保障・人口問題研究所所長

上記内容は本書刊行時のものです。

【監修者】
西村 周三(にしむら しゅうぞう)

【編者】
国立社会保障・人口問題研究所

【執筆者】
鈴木 透
国立社会保障・人口問題研究所人口構造研究部長
金子 能宏
国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部長
岩渕 豊
社会保険診療報酬支払基金審議役
京都大学客員教授
高橋 紘士
国際医療福祉大学医療福祉学部教授
財団法人高齢者住宅財団理事長
白川 泰之
新潟大学法学部准教授
島崎 謙治
政策研究大学院大学教授
備酒 伸彦
神戸学院大学総合リハビリテーション学部教授
三浦 研
大阪市立大学大学院生活科学研究科准教授
落合 明美
財団法人高齢者住宅財団調査研究部次長
川越 雅弘
国立社会保障・人口問題研究所企画部室長
山本 克也
国立社会保障・人口問題研究所社会保障基礎理論研究部室長
小山 剛
社会福祉法人長岡福祉協会理事
松本 直樹
柏市保健福祉部福祉政策室長
西岡 隆
厚生労働省年金局数理課課長補佐

目次

はしがき

 序章 地域包括ケア――国際的視角から  西村 周三
  1 地域包括ケアとAgeing in Place
  2 Ageing in Place研究の動向

第1部 日本の人口動態と社会保障への影響

 第1章 人口構造と世帯構成の変化  鈴木 透
  1 はじめに
  2 人口高齢化とその都道府県格差
  3 市区町村別将来人口推計からみた高齢化
  4 高齢者の居住状態の地域構造

 第2章 医療・介護サービスへの影響  西村 周三
  1 はじめに
  2 地域ごとの人口構造、世帯構造の変化
   (1)地域のとらえ方
   (2)今後の高齢化の地域ごとの特徴
  3 地域包括ケアを踏まえた今後の医療・介護
   (1)計画vs.競争
   (2)利用者視点への転換はいかにして可能か?
      ――地域の多様性の視点
   (3)ICT活用への期待
  4 地域機能の維持――人材確保と財源

 第3章 社会保障財政および個人負担への影響  金子 能宏
  1 はじめに
  2 社会保障の給付と負担――日本と先進諸国の動向
  3 医療保険・介護保険の給付と負担の推移
   (1)医療保険の給付費の推移
   (2)介護保険の給付費の推移
   (3)医療保険の財源構成と国庫負担の推移
   (4)介護保険の財源構成と国庫負担の推移
  4 少子高齢化が社会保障財政に及ぼす影響 
    ――世代別にみた給付と負担への影響
   (1)世代間の給付と負担の関係を測る方法――世代会計
   (2)人口動態の社会保障負担への影響――世代別の影響
  5 社会保険料・租税負担の公平性――負担の現状と逆進性緩和の方
    策
  6 まとめと今後の課題

【第2部】 社会保障・税一体改革と地域包括ケア

 第4章 医療・介護制度の展開と社会保障・税一体改革  岩渕 豊
  1 医療・介護制度の展開と社会保障財政
   (1)社会保障の機能強化
   (2)医療・介護政策の新たな展開
  2 社会保障・税一体改革
   (1)持続可能な社会保障制度構築と安定財源の確保
   (2)社会保障・税一体改革大綱
  3 2012年度診療報酬・介護報酬同時改定
   (1)2012年度診療報酬改定
   (2)2012年度介護報酬改定
  4 今後の展開と課題

 第5章 地域包括ケアにおける自助、互助、共助、公助の関係  
     高橋 紘士
  1 共助と公助――介護保険法と老人福祉法
  2 介護保険の制度原理
  3 自助、互助、共助、公助のパラダイムの意義
  4 低所得者から生活困難層へ――自助と互助の喪失への対応
  5 生活困難層への支援モデル確立へ

 第6章 地域包括ケアの前提となる住宅確保にかかる政策的課題  
     白川 泰之
  1 はじめに
  2 住宅確保にかかる政策の限界
  3 政策展開の方向性
   (1)憲法第25条と住宅
   (2)低所得者型かアフォーダビリティ向上型か
   (3)現物給付と現金給付
  4 住宅手当をめぐる論点
   (1)誰に保障をするのか
   (2)どの水準を保障するのか
   (3)他の給付との関係
  5 むすび

【第3部】 各サービス供給の現状と諸課題

 第7章 在宅医療の現状・理念・課題  島崎 謙治
  1 はじめに
  2 在宅医療の現状
   (1)在宅医療の政策の動向と沿革
   (2)在宅医療の普及状況
   (3)家族介護の実態
  3 在宅医療の理念
   (1)患者中心の医療と在宅医療
   (2)個人の意思の尊重と憲法上の根拠
   (3)在宅医療の本質
   (4)在宅医療の定義と地域包括ケアとの関係
  4 在宅医療の問題
   (1)国民の意識からみた在宅医療の阻害要因
   (2)在宅医療が進まない本質的な理由
   (3)在宅医療を進めるための制度的な政策課題
  5 おわりに

 第8章 介護予防とリハビリテーションの現状と課題  備酒 伸彦
  1 はじめに
  2 高齢者の障害概念の変遷(時代とともに変わるケア)
  3 生活期にある高齢者の機能および機能低下の特徴
   (1)成長と老化のベクトル
   (2)予備力の少なさへの備え
  4 介護予防の観点からみた現在のケアサービスの問題点
   (1)何のための介護予防事業か(手段なのか目的なのか)
   (2)介護職の意欲に関する問題
   (3)人レベルのケアを実現するために(普通の暮らしを支援する
      ケア)
   (4)人としてのケアを実現するために(生活機能≠身体機能)
  5 おわりに

 第9章 サービス付き高齢者向け住宅と生活支援サービス  
     三浦 研・落合 明美
  1 はじめに
  2 高齢者向け住まいの整備状況
   (1)サービス付き高齢者向け住宅創設の背景
   (2)サービス付き高齢者向け住宅の登録情報の分析
   (3)分析結果からみた現状と課題の整理
  3 サービス付き高齢者向け住宅における生活支援サービス
   (1)生活支援サービスの実態と課題
   (2)生活支援サービスの提供および実施状況
   (3)生活支援サービスの提供主体
   (4)生活支援サービスの費用の支払い方法
   (5)利潤が生みにくい生活支援サービスの実態
   (6)ハードから浮かび上がる課題1――狭い住戸面積
   (7)ハードから浮かび上がる課題2――行政指導のあり方
  4 高齢者が多数集住する団地や地域の課題
   (1)高齢者が多数集住する団地や地域における訪問介護の事態
   (2)高齢者が多数集住する団地や地域におけるシミュレーション
   (3)地域全体をマネジメントする視点の必要性

 第10章 退院支援/退院時ケアマネジメントの現状・課題と改善策
       ――要介護高齢者の退院後のADL向上の観点から  
         川越 雅弘
  1 はじめに
  2 退院支援/退院時ケアマネジメントとは――用語の操作的定義
   (1)退院支援とは
   (2)退院支援の流れ
   (3)退院支援/退院時ケアマネジメントの定義――用語の操作的
      定義
  3 退院支援/退院時ケアマネジメントの現状と課題
    ―退院事例調査から
   (1)回答者(介護支援専門員)の基礎資格
   (2)入院の状況
   (3)退院支援プロセス
   (4)まとめ
  4 訪問リハの新規導入要因分析
    ――リハの継続性を確保するための介入ポイントとは
   (1)独立変数として分析に用いた変数名
   (2)分析方法
   (3)結果
   (4)まとめ
  5 多職種協働ケアマネジメントの効果評価
   (1)調査方法
   (2)結果
   (3)まとめ
  6 退院支援/退院時ケアマネジメントの質向上に向けて
   (1)病院スタッフと介護支援専門員間の具体的な連携方法を提示
      する
   (2)退院後の多職種による課題認識/ケア方針策定のプロセスを
      強化する
  7 おわりに

【第4部】 財源/利用者負担からみた持続可能性

 第11章 2025年の医療・介護費用試算と高齢者世帯の家計  
      山本 克也
  1 はじめに
  2 医療・介護費用の試算
  3 医療・介護費用が高齢者家計に与える影響
   (1)年金額の試算方法
   (2)年金の試算結果と世帯の作成
   (3)高齢者世帯の可処分所得の試算
   (4)夫婦世帯と医療・介護支出
  4 おわりに

 第12章 都道府県別推計年金可処分所得からみた医療・介護の負担
      能力  山本 克也
  1 はじめに
  2 年金試算の先行研究
  3 都道府県別医療・介護費用、年金受給額の試算
   (1)医療・介護保険料の試算
   (2)厚生年金保険の受給額の試算
   (3)高齢者世帯の推計年金可処分所得の試算
  4 試算の結果と評価
  5 おわりに

【第5部】 地域包括ケアの先行事例

 第13章 民間・行政のコラボレーションによる地域包括ケア
     ――住まいと連続的ケアの連携事例  小山 剛
  1 地域に対する取り組みと気づき
  2 地域包括ケア、サポートセンターへの道
   (1)短期入所生活介護
   (2)訪問介護
   (3)通所介護
   (4)訪問看護
   (5)配食サービス
   (6)認知症対応型共同生活介護
   (7)バリアフリー住宅
   (8)健康の駅
   (9)小規模多機能型居宅介護
   (10)サテライト型居住施設
  3 民間・行政のコラボレーション

 第14章 長寿社会のまちづくりプロジェクト
     ――千葉県柏市豊四季台地域の事例  松本 直樹
  1 柏市豊四季台地域高齢社会総合研究会発足の背景
   (1)柏市の高齢化の現状と将来推計
   (2)豊四季台地域の現状と課題
   (3)研究会の発足と目指すべき方向性
  2 在宅医療の推進
   (1)在宅医療の必要性
   (2)行政としての役割
   (3)在宅医療推進のための取り組み
  3 高齢者の住まいと医療・介護サービスの組み合わせ
  4 高齢者の生きがい就労の創設
  5 おわりに

 第15章 高齢化の課題解決プロセスと日常生活圏域ニーズ調査
     ――大分県臼杵市の事例  西岡 隆
  1 はじめに
  2 臼杵市の高齢化の現状と今後の見通し
  3 高齢者が抱える課題の抽出と地域のつながりを重視した取り組み
    事例
   (1)高齢者が抱える日常生活上の課題の抽出
      ――日常生活圏域ニーズ調査を用いて
   (2)大学、医師会、行政、そして地域が連携した“認知症対策”
   (3)「安心生活お守りキット」の普及
   (4)「地域振興協議会」の設置
  4 持続可能な地域づくりと豊かな老後生活

 終章 地域包括ケアの将来展望  金子 能宏・川越 雅弘・西村 周三
  1 はじめに
  2 財源の確保
  3 地域包括ケア提供体制構築上の課題とは
   (1)地域包括ケア提供体制の構築が求められる背景とは
   (2)地域包括ケア提供体制構築上の問題
      ――在宅生活の継続性の確保に向けて
  4 高齢者は変われるか?
    ――参加型地域包括ケアシステムに向けて

 索引


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