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ビジネス法務学の誕生

ビジネス法務学の誕生

A5判 240ページ
価格:3,080円 (消費税:280円)
ISBN978-4-7664-3000-4 C3032
奥付の初版発行年月:2024年12月 / 発売日:2024年12月上旬
発行:慶應義塾大学出版会  
発売:慶應義塾大学出版会
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内容紹介

持続可能な社会を目指す!
変革の時代の「ハブ」になる
新しい学問分野の登場!

本書は、法律学を超えた新しい学問「ビジネス法務学」を提唱する。
人間社会の持続可能性を第一に考え、既存の学問を結びつける「ハブ」としての役割を果たす学問の必要性を説く。急激な変革の時代に対応し、人々の幸福を追求する新たな学問領域の確立を目指す書籍!

本書は、法律学の本ではない。もちろん、ビジネスと名付けられているからといって経営学の本でもない。法律学を突き抜けたところに誕生する、そして、既存の諸学問を結びつける「ハブ」の位置を占める、新しい学問領域としての「ビジネス法務学」の書籍である。

著者プロフィール

池田眞朗(イケダマサオ)

慶應義塾大学名誉教授。武蔵野大学名誉教授。
1949年東京生まれ。1973年慶應義塾大学経済学部卒業。1978年同大学大学院法学研究科民事法学専攻博士課程修了、博士(法学)。
1996年から2004年まで司法試験第二次試験考査委員、2004年から2006年まで新司法試験考査委員(民法主査)。フランス国立東洋言語文明研究所招聘教授、国連国際商取引法委員会作業部会日本代表、日本学術会議法学委員長等を歴任。2012年紫綬褒章。2023年瑞宝中綬章。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに―ビジネス法務学の骨子と本書の全体像
 1 新しい学問の旗を立てる
 2 ビジネス法務とビジネス法務学
 3 学問的イノベーション
 4 法律学の限界
 5 ビジネス法務学とSDGs・ESG
 6 動態を捉えるビジネス法務学の分析手法
 7 法律学とビジネス法務学との「素材」の差
 8 ビジネス法務学の各論と基本理念
 9 本書の構成
 10 消去法から逆転の発想へ
 11 新しい学問分野の提示

第Ⅰ部 総 論
第1章 ビジネス法務学序説
Ⅰ はじめに―問題の所在
Ⅱ ビジネス法務学の形成
 1 ビジネス法務学形成の第一段階―「資料収集」
 ⑴  2019年度まで/ ⑵ 2020年度から
 2 ビジネス法務学形成の第二段階―本質や独自性の検証
 3 ビジネス法務学に必要な要素
 4 ビジネス法務学形成の第三段階―「理念」の探究
 5 ビジネス法務学の考えられるメニュー
 ⑴ ビジネス法務の発展予測/ ⑵ 高齢社会に対応するビジネス法務の掘り起し/ ⑶ SDGsの観点からして適正に発展すべきビジネス法分野の探究
 6 実務家教員の優位分野(あるいは研究者教員との協働の必要な分野)の探究とビジネス法務学の関連
 7 ビジネス法務専攻における研究と教育のつながり
 8 法学研究科ビジネス法務専攻における実務家教員の養成
 9 ビジネス法務実務家教員養成用のテキストについて
 10 結びに代えて―「オンリーワンでナンバーワン」という基準

第2章 これからのSDGs・ESGとビジネス法務学
Ⅰ はじめに
 1 過去は現在を課題づける―始まりは1999年と2000年
 2 10年で変化した地球環境の「切迫度」
Ⅱ ビジネス法務に「学」はあるか
Ⅲ ビジネス法務学から見るSDGs・ESG
 1 「持続可能性」の把握
 ⑴ SDGsの何番?はない/ ⑵ キーワードはサステナビリティ/ ⑶ サステナビリティを考える目線―論点の留保/ ⑷ サステナビリティのレベル/ ⑸ サステナビリティから見たSDGsとESG投資の関係/ ⑹ 「ESG債」に一言/ ⑺ 使うべきではない比喩―SDGsとESGの緊張関係
 2 ビジネス法務学から見るSDGs・ESGの具体例
 ⑴ サステナビリティから地域活性化、地方創生へ/ ⑵ 金融検査マニュアルの廃止と「創意工夫」/ ⑶ ルール創り能力、コミュニケーション能力、「目利き」能力プラス規範的判断力の涵養/ ⑷ ABLの再評価―生かす担保論/ ⑸ 事業性評価のシステム化・法制化
Ⅳ 「行動立法学」の提唱
 1 「行動立法学」とは
 2 規制法と促進法
 3 行動立法学と普及学
Ⅴ 付 論―経済学の方向転換
Ⅵ これからのSDGs・ESGとビジネス法務学の展望
 1 レインボーカラーの利益
 2 選別の連鎖
 3 人的資本と人材教育(人的資本への投資)
 4 新しい「契約」によるビジネスチャンス
 5 サプライチェーン全体での責任―企業間の新しい「連結」へ
Ⅶ 結びに代えて―ビジネス法務学の確立へ
 1 ビジネス法務学の本質
 ⑴ ビジネス法務学の「持続可能性」/ ⑵ 法律学との対比で見るビジネス法務学の本質/ ⑶ SDGs・ESGとビジネス法務学の必然的結合
 2 ビジネス法務学の展望
 ⑴ 新しいビジネスチャンスに基づく新しいビジネス法務学/ ⑵ Society 5.0のビジネス法務学/ ⑶ 小括

第3章 変革の時代の民事立法のあり方とビジネス法務学
Ⅰ はじめに
Ⅱ ABLからの発想
Ⅲ 立法の出発点―法律学とビジネス法務学の違い
Ⅳ 立法担当者の関心事と立法の姿勢
Ⅴ 規制法と促進法
Ⅵ ABL支援とスタートアップ支援の共通点
Ⅶ おわりに―変革の時代の民事立法のあり方とビジネス法務学

第4章 ビジネス法務学の確立とそのハブ構想
Ⅰ はじめに
Ⅱ ビジネス法務学の概念
 1 「ビジネス法務」の概念規定からの出発
 2 「ビジネス法務学」の概念―既成概念との区別
 3 「ビジネス法務学」の概念―法律学との区別
 4 「ビジネス法務学」の概念―具体的内容の構築
 5 「ビジネス法務学」の概念―目的と定義
Ⅲ ビジネス法務学の学問体系
 1 「ビジネス法務学」における総論と各論
 2 「ビジネス法務学」におけるカリキュラム構成―総論部分
 3 「ビジネス法務学」における各論の例
Ⅳ ビジネス法務学の各論の実践例
 1 「ビジネス法務学」各論のカリキュラム上の実践例
 2 「ビジネス法務学」各論の発信例―太陽光発電ビジネス再考
Ⅴ ビジネス法務学における倫理と研究倫理
 1 二つの意味での重要性
 2 ルール創りの「可能」性
 3 ビジネス法務学とSociety 5.0の「規範的判断力」
 4 ビジネス法務学における研究倫理の核心
Ⅵ ビジネス法務学のハブ構想
 1 ビジネス法務学のハブ構想
 2 ビジネス法務学の「ハブ適性」
 3 ビジネス法務学の法律学との関係
 4 ビジネス法務学のハブ構想の実証実験例
 5 高齢者法学からの検証
Ⅶ ビジネス法務学の「教育」
 1 ビジネス法務学の学部段階での教育とその教材
 2 ビジネス法務学の大学院レベルでのテキスト例
 3 ビジネス法務学と実務家教員の養成―法学教育イノベーションへの道
Ⅷ 結びにかえて

第5章 女性活躍のビジネス法務学
Ⅰ はじめに
Ⅱ そもそも論―「反動の明治」?
 1 仮説の提示
 2 論証のための例示―夫婦同氏制成立の経緯
 3 論証のための例示―「日本古来の家族観」の形成
 4 論証のための例示―女人禁制
Ⅲ ノーベル経済学賞の業績と「ルール創り」
Ⅳ 少子化対策と夫婦別姓
Ⅴ 法律によるコントロールの限界
Ⅵ 仮説の帰結としての「価値観の固定化」
Ⅶ 制度の問題と個人の意識の問題
Ⅷ 小 括
Ⅸ エピローグ


第Ⅱ部 各 論
第6章 太陽光発電のビジネス法務学
Ⅰ はじめに
Ⅱ 議論の前提―我が国の電力構成と政府の対応
Ⅲ FITの欠陥
Ⅳ 「売電」の虚構―「超高度自給自足社会」の提唱
Ⅴ 太陽光発電再考
 1 他の再生可能エネルギーとの比較
 2 FITに起因するさらなる問題
Ⅵ ペロブスカイト型太陽光発電パネル
Ⅶ 金融機関の新しい融資基準
Ⅷ 市民の対応―「卒FIT」家庭の問題
Ⅸ 蓄電池製造企業の対応
Ⅹ 大学の対応
Ⅺ 小 括

第7章 物流のビジネス法務学
Ⅰ はじめに
Ⅱ 物流のビジネス法務学
Ⅲ 「力関係」逆転の契機
Ⅳ 自動運転のビジネス法務学
Ⅴ 物流と金流のデータサイエンス
Ⅵ 補 論―ミクロの「物流のビジネス法務学」

第8章 国際規格・国際標準のビジネス法務学
Ⅰ はじめに―国産スペースジェット(MSJ)はなぜ就航できなかったのか
Ⅱ 型式証明とは
Ⅲ 日本企業の技術的ルール観
Ⅳ 型式証明のビジネス法務学
Ⅴ 国際規格と国際標準
Ⅵ 「標準」の重要性
Ⅶ 国際標準獲得への努力
Ⅷ ドローンの国際標準―ある自動車会社のナラティブ
Ⅸ 国際標準という「ルール創り」と日本の危機
 1 諸外国の攻勢と日本の意識
 2 国際標準というルール創りの国内的プロセス
Ⅹ 小 括―ビジネス法務学から再考する、国際標準という「ルール創り」の意味  
Ⅺ 補 論―ビジネス法務学のハブ構想


第Ⅲ部 誕生の背景
第9章 実務家教員養成プロジェクトとビジネス法務学
Ⅰ はじめに
Ⅱ 年次報告書の出版
Ⅲ 5年間の事業の報告―段階的発展
 1 第一段階
 2 第二段階―その1
 3 第二段階―その2
 4 第三段階
 5 最終年度の活動―ビジネス法務学の確立へ
Ⅳ おわりに

第10章 実務家教員とリカレント・リスキリング教育、さらには教育イノベーション
Ⅰ はじめに
Ⅱ 実務家教員養成事業の客観的評価
Ⅲ 武蔵野大学のプロジェクトについての主観的評価
Ⅳ 武蔵野大学法学研究科限定の成果―ビジネス法務学の誕生
Ⅴ 実務家教員養成事業の今後の展開
Ⅵ 結 論

第11章 ビジネス法務学の教員養成―学問としての持続可能性のために
Ⅰ はじめに
Ⅱ ビジネス法務学教員の養成母体
 1 大学院
 2 学部
Ⅲ 想定されるビジネス法務学の科目・カリキュラム
 1 大学院の場合
 2 学部(ビジネス法務学部?)の場合
Ⅳ ビジネス法務学教員の研鑽

おわりに―デジタル社会のビジネス法務学展望
 未知数のAI
 ビジネス法務学の次なる課題―デジタル取引への対応
 電子契約と電子署名法
 デジタルトラスト法の制定に向けて
 ビジネス法務学の本領


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