大学出版部協会

 

「危機の20年」のアメリカ国際関係思想戦争違法化運動の時代

戦争違法化運動の時代 「危機の20年」のアメリカ国際関係思想

A5判 360ページ 上製
価格:6,380円 (消費税:580円)
ISBN978-4-8158-0782-5 C3031
奥付の初版発行年月:2014年10月

内容紹介

「現実主義」 対 「理想主義」 をこえて——。国際関係を権力闘争に還元する見方も、「悪」 の侵略国に対する 「善」 なる制裁という見方も説得力を失った。合衆国における戦争違法化思想をトータルに跡づけ、忘却された戦間期のラディカルな展開を再考することで、国際秩序の新たな可能性を探る。


目次

序 章 アメリカにおける戦争違法化思想 —— 否定から再評価へ
     1 先行研究
     2 本書の意義
     3 本書の構成

  第Ⅰ部 19世紀~20世紀転換期 —— アメリカにおける戦争違法化思想の発展

第1章 黎明期のアメリカ平和運動 —— 「世界最高裁」 の夢
     1 ウィリアム・ラッドの 「諸国家の裁判所」
     2 仲裁裁判の普及 —— モホンク湖国際仲裁裁判会議
     3 仲裁裁判から司法裁判へ —— 「世界最高裁」 の夢
     4 第1回ハーグ万国平和会議 —— ハーグ常設仲裁裁判所の設立
     5 第2回ハーグ万国平和会議 —— 「世界最高裁」 の夢の継続
     6 ハーグの法廷に 「牙」 を —— 初期の 「国際警察」 論
     7 世紀転換期の 「国際警察」 論 —— 根本的な楽観
     8 「法による支配」 の範囲 —— 「文明」 国と 「未開」 国

第2章 第一次世界大戦 —— 「平和の強制」 の観念の浮上
     1 第一次世界大戦の衝撃
     2 平和強制連盟の創設
     3 世界法廷連盟 —— 「平和の強制」 への反発
     4 ウッドロー・ウィルソン大統領の 「力の共同体」
     5 ハーグ常設国際司法裁判所の設立 —— 「世界最高裁」 の夢の復権

  第Ⅱ部 1920年代 —— 国際連盟とアメリカの戦争違法化思想の競合

第3章 サーモン・O・レヴィンソンの戦争違法化思想
     1 「戦争の法」 から 「戦争に反対する法」 へ
     2 唯一の制裁としての 「道義的制裁」
     3 侵略戦争の違法化 —— ジェームズ・T・ショットウェルの戦争違法化論
     4 戦争違法化思想と自衛
     5 戦争違法化思想と帝国主義

第4章 パリ不戦条約 —— 「強制によらない平和」 の追求
     1 パリ不戦条約の成立
     2 「諸国家のキス」 としての不戦条約
     3 不戦条約の盲点 —— 「現状維持」 としての平和
     4 不戦条約とモンロー・ドクトリン
     5 ショットウェルの不戦条約観 —— 戦争違法化と懲罰
     6 「アメリカン・ロカルノ」 の夢
     7 カッパー決議案 —— 不戦条約に 「牙」 を

  第Ⅲ部 1930年代~第二次世界大戦 —— 戦争違法化思想の危機

第5章 危機の時代の戦争違法化思想
     1 不戦条約と国際連盟規約の調和
     2 満洲事変と不承認政策
     3 満洲事変とショットウェル —— 「強制によらない平和」 の破綻
     4 満洲事変とレヴィンソン —— 「平和の制裁」
     5 「平和の制裁」 と中立主義
     6 国際連盟改革への期待と挫折
     7 第二次世界大戦前夜の戦争違法化思想 —— 「現実主義」 への目覚め
     8 エドウィン・M・ボーチャードの 「現実主義」 —— カーからモーゲンソーへ

第6章 戦争違法化思想の否定・忘却
     1 第二次世界大戦の勃発 —— 「平和の強制」 論の勝利
     2 平和組織を研究するための委員会 —— 「超暴力」 としての平和
     3 戦争違法化運動の終焉
     4 現実主義外交の時代へ
     5 戦争違法化思想の忘却

終 章 今日の世界と戦争違法化思想
     1 戦争違法化思想の今日的意義
     2 戦争違法化思想とアメリカ例外主義


一般社団法人 大学出版部協会 Phone 03-3511-2091 〒102-0073 東京都千代田区九段北1丁目14番13号 メゾン萬六403号室
このサイトにはどなたでも自由にリンクできます。掲載さ>れている文章・写真・イラストの著作権は、それぞれの著作者にあります。
当協会 スタッフによるもの、上記以外のものの著作権は一般社団法人大学出版部協会にあります 。