北大文学研究科ライブラリ2
北方を旅する 人文学でめぐる九日間
価格:2,200円 (消費税:200円)
ISBN978-4-8329-3374-3 C1039
奥付の初版発行年月:2010年03月 / 発売日:2010年04月中旬
考古学、民俗学や地理学に加えて、歴史学や言語学、文学、芸術学、環境科学による新しい「北方研究」の旅へご案内します・・・豊富なフィールド研究の成果を入れながら、単なる地域研究を超えて、「北方」を軸に世界の新たな捉え方を提示する。
北村 清彦(キタムラ キヨヒコ)
1955年生まれ
1985年 京都大学大学院文学研究科美学美術史学専攻博士後期課程研究指導認定退学。同年京都大学文学部助手
1987年 島根大学法文学部哲学教室助教授
1996年 北海道大学文学部文化価値論講座助教授
2000年 北海道大学大学院文学研究科文化価値論講座教授を経て,2004年より現職
現 在 北海道大学大学院文学研究科芸術学講座教授
学 位 博士(文学)
専 門 美学・芸術学
主要著書 「構造主義・ポスト構造主義――宇宙論的芸術論」(『芸術学を学ぶ人のために』,世界思想社,1999年),"An Aesthetics of Matter"(Aesthetics and Chaos: Investigating a Creative Complicity, Trauben, Turin, Italy, 2002),『藝術解釈学――ポール・リクールの主題による変奏』(北海道大学大学院文学研究科研究叢書,北海道大学図書刊行会,2003年),「受け手の役割」(『岩波講座 哲学07 芸術/創造性の哲学』,岩波書店,2008年),"The Aesthetics of Cultural Double Citizenship: The Case of the Japanese Poet, YONE NOGUCHI"(XVIIth International Congress of Aesthetics: Congress Book II, Selected Papers, SANART, Ankara, Turkey, 2009),『自分を代表させるような仕事はまだありません。――村岸宏昭の世界』(編集代表,かりん舎,2009年)
目次
アテンション・プリーズ(北村清彦)
一日目 チェーホフと旅へ――一九世紀末のサハリン (望月恒子)
一 サハリン旅行の行程
二 青年はサハリンで何をしたか
三 青年はサハリンで誰と会ったか
二日目 遠い地平線の絵画――ロシア極東とサハリンの画家たち(谷古宇 尚)
一 ロシア極東とサハリンの画家が描く風景
二 美術と北方民族
三 北方領土を描いた画家たち
三日目 エルミタージュ美術館案内――帝政ロシアが実現した西欧世界 (北村清彦)
一 芸術都市
二 隠れなき「隠れ家」
三 コレクションの形成
四 エカテリーナの財布事情
五 ルネサンスの花が咲き、そして散った帝政ロシア
四日目 現地調査の旅――アイヌ語の場合とニブフ語の場合 (佐藤知己)
一 言語研究における「旅」の役割
二 フィールド調査(現地調査)で何がわかるか
三 フィールド調査(現地調査)をめぐって
五日目 北方の言語を旅する――失われゆくことばの多様性(津曲敏郎)
一 世界の言語は今
二 北方の言語たち
三 再び日本へ
六日目 鳥居龍蔵と東アジア――歴史学説と心象地理 (吉開将人)
一 旅のはじめに
二 鳥居龍蔵と旅
三 旅の中の知的連鎖
四 旅の終わり、そして始まり
七日目 お札博士の東アジア行脚――人類学者フレデリック・スターの東アジア調査資料から(宮武公夫)
一 旅のはじまり
二 朝鮮への旅
三 日米関係の中で
四 好事家たちとの交流
五 異国での死とその現代的評価
八日目 動物たちの旅と北方狩猟民――動物資源の賢い利用(池田 透)
一 動物たちとの旅への心構え
二 旅の基本情報――北方地域の自然環境
三 旅の主人公たち――北方地域の生物相と保全的課題
四 旅(遊動・回遊)をする動物たちと狩猟・牧畜民
五 北方の狩猟にみる動物と人間の関係
六 旅をする動物の魂
七 動物たちの旅の行方――自然資源の持続的利用に向けて
九日目 旅する人類の考古学――草原とツンドラの彼方へ (加藤博文)
一 多彩な景観・広大な大地
二 アクセサリーをまとったホモ・サピエンスの旅
三 さらに北へ
四 トナカイとホッキョクギツネの恵み
五 旅する人類の住居と衣服――チュームとアノラック
六 新たな大地をめざした旅
お疲れ様でした(北村清彦)