スラブ・ユーラシア叢書 3
石油・ガスとロシア経済 日本とユーラシア
価格:3,080円 (消費税:280円)
ISBN978-4-8329-6695-6 C3033
奥付の初版発行年月:2008年06月 / 発売日:2008年06月下旬
世界最大級の石油・ガス大国であるロシア.現在のロシア経済と石油・ガスとの関わりを,開発・生産・輸送の現状分析,その影響の数量的・統計的分析,対外関係への影響力拡大等,様々な角度から明らかにする.
田畑 伸一郎(タバタ シンイチロウ)
所属:北海道大学スラブ研究センター教授
専門分野:ロシア経済,比較経済体制論
目次
はしがき
第1部 ロシアの石油・ガス産業
第1章 生産と流通 本村眞澄
1.1 はじめに
1.2 ロシアの石油生産
1.2.1 ロシアの石油生産の動向
1.2.2 ロシアの石油パイプライン・システム
1.2.3 ロシアの新規石油パイプライン計画
1.3 ロシアの天然ガス生産
1.3.1 天然ガス生産の動向と問題点
1.3.2 新規輸出用天然ガス・パイプライン計画
1.3.3 CIS諸国への天然ガス価格問題
1.3.4 天然ガス取引所創設の動きとパイプラインの第3者アクセス
1.4 ロシアと中央アジア諸国との間の石油・天然ガス・パイプライン競争
1.4.1 ロシアとカザフスタンとの間の石油パイプライン問題
1.4.2 トルクメニスタンのガス開発
1.5 おわりに
第2章 石油企業 小森吾一
2.1 はじめに
2.2 ロシア石油産業再編成の流れ
2.3 ロシア主要石油各社の経営戦略
2.3.1 ルクオイル
2.3.2 ロスネフチ
2.3.3 スルグートネフチェガス
2.3.4 TNK-BP
2.4 欧米メジャー等との比較
第3章 ガスプロム 塩原俊彦
3.1 はじめに
3.2 ガスプロムの国際的位置付け
3.3 総合エネルギー会社,ガスプロム
3.3.1 株主構成
3.3.2 組織状況
3.3.3 独占企業
3.3.4 ガス価格
3.3.5 業績推移
3.3.6 電力業への進出
3.3.7 ガスプロム・グループ
3.4 ガスプロムの課題・問題点
第2部 石油・ガスのロシア経済への影響
第4章 経済の石油・ガスへの依存 田畑伸一郎
4.1 はじめに
4.2 石油・ガスと経済成長
4.2.1 石油・ガス部門の貢献度
4.2.2 個人消費が牽引する経済成長
4.3 石油・ガスと貿易
4.3.1 ロシア経済と貿易
4.3.2 ロシアの比較優位と比較劣位
4.3.3 資源と製造業
4.4 石油・ガスと財政
4.4.1 石油・ガスからの税収
4.4.2 安定化基金と予備基金・次世代基金
4.5 おわりに
第5章 石油・ガス産業の利潤と資本 久保庭真彰
5.1 はじめに
5.2 マクロの利潤と分配率
5.3 石油・ガス産業の利潤と資本ストックの推計
5.4 石油・ガス産業のシェア,利潤率,生産性
5.5 結論と展望
第6章 石油ブームの経済への影響 中村 靖
6.1 はじめに
6.2 オランダ病と資源の呪いの経済学
6.3 データと分析方法
6.3.1 ロシアNAMとOECD NAM
6.3.2 NAMによる分析
6.4 分析結果
6.4.1 採掘産業の技術的特長
6.4.2 生産活動における採掘産業の位置
6.4.3 経済循環における採掘産業の位置
6.5 議 論
第7章 ロシアからの資本逃避 上垣 彰
7.1 はじめに
7.2 通貨危機と資本逃避
7.2.1 1997年東アジア通貨危機と1998年ロシア通貨危機
7.2.2 通貨危機中およびその後における東アジアとロシアの資本移動
7.2.3 国際収支危機の第1世代モデルと第2世代モデル
7.3 継続的資本逃避
7.3.1 経常収支黒字
7.3.2 継続的資本逃避の内実
7.3.3 継続的資本逃避の額
7.3.4 継続的資本逃避の原因
7.3.5 行動の合理性
7.3.6 最近の動向−−健全化への道?
7.4 まとめ
第8章 石油・ガス企業と銀行 大野成樹
8.1 はじめに
8.2 国有企業
8.2.1 ロスネフチ
8.2.2 ガスプロム
8.3 地方銀行(スルグートネフチェガス)
8.4 国際企業(ルクオイル)
8.5 財閥系企業
8.5.1 ユコス
8.5.2 シダンコ
8.5.3 シブネフチ
8.5.4 チュメニ石油会社
8.6 おわりに
第3部 石油・ガスとロシアの対外経済関係
第9章 ロシアのWTO加盟問題 金野雄五
9.1 はじめに
9.2 WTO加盟手続きとロシアの現在位置
9.2.1 WTOへの加盟手続き
9.2.2 ロシアの現在位置
9.2.3 ロシアのWTO加盟条件
9.3 ロシアの石油・ガス輸出制度とWTO加盟
9.3.1 貿易国家独占の放棄
9.3.2 石油・ガス輸出関税
9.3.3 天然ガスの内外価格差問題
9.3.4 内外価格差をめぐる交渉の帰結
9.4 おわりに
第10章 南コーカサス3国とロシア 廣瀬陽子
10.1 はじめに−−南コーカサスの地政学的前提
10.2 アゼルバイジャンの石油・ガス開発
10.3 エネルギー輸送問題
10.4 ロシアと南コーカサス3国の資源をめぐる国際関係
10.4.1 グルジア−−独立をめぐる攻防
10.4.2 アルメニア−−ロシアのコーカサスでの勢力維持の拠点
10.4.3 アゼルバイジャン−−資源を有する国の余裕と限界
10.5 おわりに−−今後の展望
第11章 ウクライナとロシア 藤森信吉
11.1 はじめに
11.2 原 油
11.2.1 輸送パイプライン
11.2.2 市 場
11.3 天然ガス
11.3.1 天然ガス・パイプライン
11.3.2 市 場
11.4 市場支配からパイプライン支配へ
11.4.1 「オデッサ=ブロディ」原油パイプライン
11.4.2 ロシア・ウクライナ天然ガス戦争−−ガスプロム社の市場支配
11.5 まとめと今後の展望
あとがき