スラブ・ユーラシア叢書 6
日本の中央アジア外交 試される地域戦略
価格:1,980円 (消費税:180円)
ISBN978-4-8329-6710-6 C3031
奥付の初版発行年月:2009年03月 / 発売日:2009年04月下旬
豊富な資源と地政学的重要性で注目される中央アジアは,過去のしがらみにとらわれず日本の外交戦略が発揮できる場である。その理念・歴史・現状につき,国内外の研究者など多彩な執筆陣が様々な角度から論じる。
宇山 智彦(ウヤマ トモヒコ)
北海道大学スラブ研究センター教授。中央アジア近代史・現代政治専攻。
クリストファー・レン(レン,C.(クリストファー))
安全保障開発政策研究所(スウェーデン)プロジェクト・コーディネーター,China and Eurasia Forum Quarterly誌(中央アジア・コーカサス研究所/シルクロード研究プログラム発行)副編集長。中央アジア・東アジア安全保障・開発研究専攻。
廣瀬 徹也(ヒロセ テツヤ)
アジア・太平洋国会議員連合(APPU)中央事務局事務総長,民間外交推進協会日・中東・文化経済委員,日本・ウラジオストク協会名誉会長,日本・トルコ交流協会理事,國學院大学法学部兼任講師。
目次
[目 次]
序
第1部 中央アジア外交の理念
第1章 対中央アジア外交の概観——実務レベルでの政策立案者の視点から(廣瀬徹也)
1 1990年代半ば当時の日本の対中央アジア外交政策
2 「シルクロード外交」提唱以来の中央アジア諸国と日本の関係
3 結論と提言
第2章 対中央アジア政策の推移——シルクロード外交から「中央アジア+日本」へ(河東哲夫)
1 中央アジアにおける日本の外交——その初期
2 「シルクロード外交」
3 日本のODA
4 9.11事件以後および「中央アジア+日本」の開始
5 アンディジャン事件と中央アジア政治情勢の変化
6 「グレート・ゲーム」の再来なのか?
7 小泉総理の中央アジア訪問
8 麻生外相の「自由と繁栄の弧」構想
9 中央アジアの独立,安全,発展の強化に向けて
第3章 日本の中央アジアに対する関与をどう理解するか——開発戦略の再評価(クリストファー・レン)
1 日本の中央アジア外交の概観
2 日本の外交的取り組みを理解する
結 論
第4章 ユーラシアへの「価値の外交」は定着するか——「自由と繁栄の弧」構想とその後(湯浅 剛)
1 構想の形成
2 構想の実践
3 構想の断絶と継承
おわりに
第2部 歴史・理論・地政学
第5章 対中央アジア外交の歴史的文脈と展望——アジア主義と日米関係のはざまで(宇山智彦)
1 戦前日本のアジア主義と日米関係
2 戦後日本の対米依存と独自外交の模索
3 1990年代の日本の中央アジア外交に見る「アジア」観
4 21世紀の新しい動き——「中央アジア+日本」対話と「自由と繁栄の弧」構想
おわりに——開かれたアジア主義に基づく新・地政学外交の提唱
第6章 対中央アジア協力の現状と課題——機能主義の観点から(ティムール・ダダバエフ)
1 国際協力の理論と実践
2 中央アジアにおける域内協力と機能主義
3 日本の中央アジア政策と協力領域
4 これまでの日本による支援とその効果
5 中央アジア諸国の指導者と一般国民の日本に対する期待
結 論
第7章 上海協力機構——「反米」ゲームの誘惑に抗して(岩下明裕)
1 「誤解」され続ける上海協力機構
2 機構を正しく位置づけよ
3 「上海」の精神と発展
4 機構の地域協力にとっての序章——中ロ国境問題の解決
5 中央アジアの国境に対する貢献
6 機構を取り巻くバランス・ゲーム
7 原点に立ち戻るとき
第3部 経済協力と支援
第8章 クルグズスタンは中央アジアにおける日本の最重要パートナーか?(エリカ・マラト)
1 クルグズスタンの発展における日本の役割
2 日本と他の国際アクター
3 将来の見通し
第9章 現代グローバル化の下での日本のエネルギー戦略——西アジア・中央アジアの場合(嶋尾孔仁子)
1 グローバルなエネルギー情勢と日本のエネルギー戦略の概要
2 日本の対西・中央アジアエネルギー戦略
結 論
第10章 中央アジア地域の経済協力と紛争管理——北東アジア諸国の役割(ニクラス・スワンストローム)
1 地域機構の役割
2 中央アジアの文脈
3 中央アジアにおけるアクターとしての北東アジア諸国
結論と提言
結 語
日本・中央アジア関係年表
索 引
執筆者紹介