張載思想研究
価格:11,000円 (消費税:1,000円)
ISBN978-4-8329-6899-8 C3010
奥付の初版発行年月:2024年12月 / 発売日:2024年11月中旬
北宋の大儒、張載(張横渠)の人と思想について総合的に探求した、史上初の日本語による専門著作。張載の言説を思想史的な読みで再解釈することを通じて「朱子学の先駆者」という固定観念から解き放ち、その独自性および限界、思想史上の影響力を解明する。
山際 明利(ヤマギワ アキトシ)
昭和36(1961)年北海道旭川市に生まれる
平成2(1990)年北海道大学大学院文学研究科博士後期課程退学
博士(文学)(北海道大学)
現職:苫小牧工業高等専門学校教授(創造工学科総合人文科学系)
著書:『論語の思想史』(共著、松川健二編、汲古書院、1994年)など
論文:「『儀禮經傳通解』の「學記」解」(「中國哲学」第50號、2023年3月)、「關洛之閒:以修養説爲中心」(『戊戌年關學國際研討會論文集』陝西人民出版社、2020年)他二十篇餘
目次
凡例
序論
一 研究の目的
二 研究の方法
〔第一部 張載の生涯と事績〕
第一章 張載の生涯
一 世系
二 生涯
三 官僚としての事績
四 張載の門弟
第二章 張載の著作
一 正蒙
二 西銘、東銘
三 易説
四 経学理窟
五 語録
六 張子全書
〔第二部 張載の思想〕
第一章 「太虚即気」——存在論、本体論
一 張載の生滅論
二 張載の本体論
本章の結び
第二章 「天地之性」「気質之性」——心性論
一 考察の前提
二 張載の性説
三 術語の由来
四 「性」と「情」と
五 「気質」と「才」と
六 為学修養の目的
本章の結び
第三章 孔子に関する見解——死生観、聖人観
一 「七十而従心所欲不踰矩」——死生観
二 「子絶四。毋意、毋必、毋固、毋我」——聖人観
本章の結び
第四章 「空」に関する見解——「虚中」の説
一 北宋までの「屢空」説
二 張載の「空空」説と呂大臨の「聞見」説
三 朱熹の「空乏」説
四 「虚」と「空空」と
本章の結び
第五章 「格物」に関する見解
一 唐代までの「格物」解釈
二 張載の「格去」説
三 司馬光の「扞禦」説
四 南宋理学の「格物」解
五 南宋心学の「格物」説
六 王学の「格物格去」説
七 陽明以後
本章の結び
第六章 礼に關する見解
一 経典としての礼
二 日用の礼
三 理念としての礼
四 礼に関する復古思想
五 復古思想と統治思想と
六 道学と政術と
本章の結び
〔第三部 宋明理学の中の関学〕
第一章 道学における「気」の性格
はじめに
一 北宋道学諸儒の気論
二 胡宏の気論
三 朱熹および真徳秀の気論
本章の結び
第二章 道学の修養説——朱子学と関学
一 赤子之心
二 張載の修養説
三 呂大臨の未発説
四 未発已発を巡る論争
五 程門の修養説
六 湖南学の未発観
七 朱熹の未発観
八 朱子学以後の未発観
本章の結び
第三章 天泉橋問答の太虚説——王学と関学
一 大塩平八郎の太虚説
二 張載の太虚説
三 程氏の太虚否定
四 呂大臨の「空」説
五 朱熹の太虚解釈
六 王学の太虚説
七 「良知」と「太虚」と
八 天泉橋問答
九 王畿の太虚観
十 銭徳洪の太虚観
十一 王学における太虚の位置づけ
本章の結び
第四章 朱熹の「存順没寧」解——宋明理学と関学
一 『論語』朝聞夕死章
二 「朝聞夕死」解釈の諸相
三 「朝聞夕死」と「存順没寧」と
四 朱熹晩年の「朝聞夕死」
五 朱熹の「夭寿不貳」解
六 「盡心知性」解釈の定位
七 「存順没寧」解釈変更の意味
八 理念から実体へ
本章の結び
結び
補説一 『張載集』所収「横渠易説」に関する覚書
補説二 横渠四句に対する中国共産党指導部の言及
付録一 北宋四子墓探訪記
付録二 横渠鎮再訪録
付録三 「儒蔵」における『孟子精義』の点校に関する一疑問点
付記
参考文献
あとがき
書名索引
人名索引