鳥の自然史 空間分布をめぐって
価格:3,300円 (消費税:300円)
ISBN978-4-8329-8191-1 C3045
奥付の初版発行年月:2009年10月 / 発売日:2009年10月下旬
本書は,第I部 日本の鳥類とその由来,第Ⅱ部 I分布の変遷とその影響,第Ⅲ部 分布のあり方を探る,第Ⅳ部 広域分布研究と保全・管理の4部,全体で13章からなっている。空間分布をめぐる研究は,近年,保全をめぐる動きのなかでも注目される生態学の中心課題のひとつである。とくに,希少種の生息条件の解明,生息域の分断・孤立化が個体群の存続に及ぼす影響評価,新たな生息地創出に向けての環境管理,分布や個体数の動向を監視する調査手法の開発などのかかわりのなかで重要な役割を果たしている。本書はこうした問題をも視野にいれながら全体を構成している。担当する執筆者は,関連分野で活躍する17人の主に若手から中堅の研究者である。本書により,読者は鳥類の空間分布をめぐる研究の現時点での到達点を知ることができるだろう。また,章ごとに記述されている課題と展望から,今後の研究の方向性についても知ることができるに違いない。
樋口 広芳(ヒグチ ヒロヨシ)
1948年生まれ.東京大学大学院農学系研究科博士課程修了.東京大学大学院農学生命科学研究科教授 農学博士.主 著:飛べない鳥の謎—鳥の生態と進化をめぐる15章(1996,平凡社自然叢書),保全生物学(編著,1996,東京大学出版会),これからの鳥類学(共編,2002,裳華房),鳥類学辞典(共編,2004,昭和堂),鳥たちの旅—渡り鳥の衛星追跡(2005,NHKブックス)など.
黒沢 令子(クロサワ レイコ)
1954年生まれ.北海道大学大学院地球環境科学研究科博士課程修了.NPO法人バードリサーチ研究員 博士(地球環境科学).主訳書:よみがえった野鳥の楽園—英国ミンズミア物語(1995,平凡社),フィンチの嘴—ガラパゴスで起きている種の変貌(樋口広芳と共訳,2001,ハヤカワノンフィクション文庫),鳥たちに明日はあるか—景観生態学に学ぶ自然保護(2003,文一総合出版),鳥の起源と進化(2004,平凡社)など
天野一葉(アマノ ヒトハ)
滋賀県立琵琶湖博物館特別研究員
植田睦之(ウエダ ムツユキ)
NPO法人バードリサーチ代表
江田真毅(エダ マサキ)
鳥取大学医学部助教
加藤和弘(カトウ カズヒロ)
東京大学大学院農学生命科学研究科附属緑地植物実験所准教授
金子正美(カネコ マサミ)
酪農学園大学環境システム学部教授
小池重人(コイケ シゲト)
新潟県立新潟養護学校教諭
島﨑彦人(シマザキ ヒトロ)
国立環境研究所NIESポスドクフェロー
鈴木 透(スズキ トオル)
酪農学園大学環境システム学部助教
高須夫悟(タカス フウゴ)
奈良女子大学理学部教授
西海 功(ニシウミ イサオ)
エコ・ネットワーク研究員
長谷川理(ハセガワ オサム)
東京大学大学院農学生命研究科教授
藤田 剛(フジタ ゴウ)
東京大学大学院農学生命科学研究科助教
百瀬 浩(モモセ ヒロシ)
中央農業総合研究センター鳥獣害研究サブチーム長
山浦悠一(ヤマウラ ユウイチ)
森林総合研究所森林昆虫研究領域日本学術振興会特別研究員
山口典之(ヤマグチ ノリユキ)
東京大学大学院農学生命科学研究科特任助教
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
第Ⅰ部 日本の鳥類とその由来
第1章 日本の鳥類の分布と独自性(樋口 広芳・黒沢 令子)
第2章 陸鳥類の集団の構造と由来(西海 功)
第3章 移動能力の高いカモメ類の遺伝的構造(長谷川 理)
第Ⅱ部 分布の変遷とその影響
第4章 遺跡から出土した骨による過去の鳥類の分布復原(江田 真毅)
第5章 オナガの分布域拡大にともなうカッコウとの新たな関係(高須 夫悟)
第6章 外来鳥類ソウシチョウの生態と在来鳥類へ与える影響(天野 一葉)
第Ⅲ部 分布のあり方を探る
第7章 鳥類の空間分布のあり方(百瀬 浩)
第8章 周辺環境が鳥類の生息に及ぼす影響(山浦 悠一・加藤 和弘)
第9章 鳥の階層的生息地選択と分布決定プロセス(藤田 剛)
第Ⅳ部 広域分布研究と保全・管理
第10章 広域における生息環境評価と保護区の設定(鈴木 透・金子 正美)
第11章 広域長期モニタリングにもとづく鳥類分布の時間的空間的変化(植田 睦之)
第12章 衛星追跡と渡り経路選択の解明(島﨑 彦人・山口 典之・樋口 広芳)
第13章 地球温暖化と鳥類の生活(小池 重人・樋口 広芳)