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英国公検査の研究VFM監査

VFM監査 英国公検査の研究

A5判 320ページ
価格:3,960円 (消費税:360円)
ISBN978-4-86283-317-4 C3034
奥付の初版発行年月:2021年03月 / 発売日:2021年03月下旬

内容紹介

財務諸表監査の本質は保証である。しかし、すべての監査の本質を保証と考える思考には誤りがある。VFM監査の本質は指摘である。指摘型監査は組織の改善やイノベーションに最も有効な手立てとなる。

著者プロフィール

石原 俊彦(イシハラ トシヒコ)

1960年生まれ。1989年3月関西学院大学大学院商学研究科博士課程後期課程単位取得満期退学。同年公認会計士登録(登録番号9922)。2005年4月から関西学院大学専門職大学院経営戦略研究科教授(現在に至る)、2008年4月から同大学大学院経営戦略研究科博士課程後期課程指導教授(現在に至る)。博士(商学)関西学院大学。英国勅許公共財務会計士(日本人第1号)。

[単著]
『監査意見形成の基礎』中央経済社、1995年
(1996年第24回日本公認会計士協会学術賞受賞)。
『リスク・アプローチ監査論』中央経済社、1998年
(1998年第12回日本内部監査協会青木賞受賞)。
『地方自治体の事業評価と発生主義会計』中央経済社、1999年。
『CIPFA英国勅許公共財務会計協会』関西学院大学出版会、2009年。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

まえがき
第1章 わが国官庁部門における管理会計の変容とVFM監査
──NPMからNPGへの移行を踏まえて
 1.1 管理会計の変容
 1.2 官庁部門の行政改革と経営管理の変容
  1.2.1 伝統的行政管理と管理会計欠如の時代:1945-1990
  1.2.2 ポストOPAの時代:1990-2000
  1.2.3 New Public Managementと伝統的管理会計導入の時代:2000-2010
  1.2.4 ポストNPMの時代:2010-2020
  1.2.5 New Public Governanceの時代:2020-
 1.3 NPMからNPGへの変遷を踏まえた管理会計の変容
  1.3.1 価値共創と統合報告を踏まえた管理会計の時代へ
  1.3.2 旧制度派経済学と新制度派社会学
 1.4 わが国官庁部門における管理会計の変容とVFM監査への方向性
 1.5 日本型NPMとVFM監査の位相
  1.5.1 日本型NPMの登場
   1.5.1.1 民間企業の経営の発想を公共部門に
   1.5.1.2 NPMのフレームワーク
   1.5.1.3 日本型NPMの存在
  1.5.2 日本型NPMとマネジメント・サイクル
   1.5.2.1 全体最適の自治体経営
   1.5.2.2 PDSをスパイラルさせる事務事業評価
   1.5.2.3 事業別予算の現状と課題
    事務事業評価と発生主義
   1.5.2.5 事務事業評価と施策・政策別コスト計算
   1.5.2.6 事務事業評価と管理会計(原価計算)の融合
  1.5.3 事務事業評価とVFM監査の基礎概念
   1.5.3.1 インプットとアウトプットとアウトカム
   1.5.3.2 自治体行政評価の分類
   1.5.3.3 ABC・ABMと活動
   1.5.3.4 VFM監査の経済性・効率性・有効性とそのヒエラルキー
第2章 VFM監査と公共政策科学としての会計学
 2.1 会計責任と説明責任
 2.2 ニュー・パブリック・ガバナンス
  2.2.1 NPMからNPGへ
  2.2.2 臼杵市役所 平成10年度 第88号議案の提案理由説明
  2.2.3 NPGとPublic Service Delivery
  2.2.4 NPGと会計研究の連鎖
 2.3 政策科学としての会計学の現実的意義──新地方公会計改革からVFM監査
  2.3.1 「数値をどのように算出するか」からの脱却
  2.3.2 改訂モデルによる財務4表の作成──スチュワードシップと首長の受託責任の解除
  2.3.3 連結ベースでの財務4表等の作成──自治体に求められる包括的財政責任の把握とVFM監査
  2.3.4 改訂モデルによる財務4表と附属明細表の作成──VFMのストックとしての資産・債務改革への対応
  2.3.5 基準モデルによる財務4表と附属明細表の作成──アセット・マネジメントへの活用
 2.4 マネジメントとガバナンスの間に介在する監査
  2.4.1 自治体マネジメントは内部統制の構築から
  2.4.2 内部監査は内部統制の重要な構成要素
  2.4.3 監査委員監査は外部監査か内部監査か
  2.4.4 英国における政府監査委員会の設置
 2.5総合評価とVFM監査──英国政府監査委員会の取り組み
第3章 行政評価とVFM監査
 3.1 わが国地方自治体における行財政改革と行政評価
  3.1.1 わが国地方自治体の行財政改革の特徴
  3.1.2 わが国地方自治体における行財政改革に期待される役割
 3.2 地方自治体における業績管理
  3.2.1 地方自治体の業績
  3.2.2 戦略的なアプローチの必要性
  3.2.3 体系的なアプローチの必要性
  3.2.4 業績測定、業績報告および業績管理の概念整理
  3.2.5 効果的な業績管理に向けた原則──行政評価とVFM監査への示唆
 3.3 韓国における官庁部門改革と主要業績指標の活用
  3.3.1 韓国の成長を支える官民連携
  3.3.2 韓国における成果主義の考え方
   3.3.2.1 KPIを活用した成果管理の必要性
   3.3.2.2 KPIを用いた成果管理の仕組みと課題
   3.3.2.3 成果評価の体系
  3.3.4 韓国全羅北道における成果主義の導入
  3.3.5 韓国檀国大学
  3.3.6 慶煕大学病院
 3.4 日本におけるKPIの適用可能性と今後の課題
第4章 行政評価へのアンチテーゼとパラドックス
 4.1 英国における公共サービス検査の台頭
  4.1.1 英国における検査の歴史
  4.1.2 ベスト・バリュー
  4.1.3 包括的業績評価制度
  4.1.4 イングランドの地方自治体に対する検査
 4.2 行政評価と検査のパラドックス―逆説による分析
  4.2.1 公共サービスの成果
   4.2.1.1 政府の逆説
   4.2.1.2 信頼できる情報源とは─独立性の逆説
   4.2.1.3 公共サービスへの批判─公共性の逆説
  4.2.2 「番犬」か「狂犬」か「飼い犬」か「盲導犬」か
 4.3 業績評価のパラドックス―成功の逆説
  4.3.1 業績評価における成功の逆説
  4.3.2 最後の逆説─懐疑的な世界での業績評価
第5章 英国官庁部門における公検査とVFM監査改善を促進するか、詳細に溺れるか?
 5.1 研究対象としての『地方自治体の外部検査』の目次と序文
 5.2 検査制度の増加
 5.3 検査機関の重複
  5.3.1 助成金不正検査局:BFI
  5.3.2 消防サービス検査局:HMFSI
  5.3.3 警察検査局:HMIC
  5.3.4 教育水準委員会:OFSTED
  5.3.5 社会福祉検査局:SSI
  5.3.6 ベスト・バリュー検査局:BVIS
 5.4 検査の類型
 5.5 検査の効果
 5.6 検査に代わるものは存在するのか
 5.7 公検査の課題と挑戦
  5.7.1 検査官の信頼性
  5.7.2 形式と実質
  5.7.3 地方と国の優先事項
  5.7.4 失敗と改善の原因への理解
  5.7.5 検査に対するステークホルダーの見解
  5.7.6 業績データの限界
  5.7.7 共同検査
  5.7.8 検査におけるパートナーシップ業務の意味
  5.7.9 介入する能力
 5.8 結論
第6章 VFM監査研究のフレームワーク
 6.1 わが国における監査研究の経緯
 6.2 行政評価の外延としてのVFM監査とその有用性
 6.3 VFM監査研究の論点整理
  6.3.1 VFM監査と検査の関係
  6.3.2 VFM監査と検査における価値実現の体系
  6.3.3 VFM監査と検査における実施主体の専門的能力と独立性──検査に対する政治的影響の問題
  6.3.4 VFM監査と検査におけるインタンジブルズと社会責任
  6.3.5 VFM監査と検査における総合評価
  6.3.6 VFM監査と検査における社会貢献・価値創造・適正規模の評価規準
  6.3.7 VFM監査と検査における統合報告との融合──業績報告と統合報告
  6.3.8 検査と改善─VFM監査における保証水準とは
  6.3.9 VFM監査における協働体制の構築
  6.3.10 内部管理業務のVFM監査
資 料 官庁部門における内部管理業務のVFM
参考文献
初出一覧


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