西洋古典叢書G057
古代音楽論集
価格:3,960円 (消費税:360円)
ISBN978-4-87698-175-5 C1310
奥付の初版発行年月:2008年05月 / 発売日:2008年05月中旬
古代劇や抒情詩における音楽の役割は重要であるが,いまだ十分な研究がされていない.本書は古代の著名な音楽論を収載する.アリストクセノスの『ハルモニア原論』は音程を数比で決めるピュタゴラス派のやり方を排し聴覚を重んじたことで知られる.あわせて,古代随一の天文学者であるプトレマイオスの『ハルモニア論』を収める.
山本 建郎(ヤマモト タツロウ)
秋田大学名誉教授
1940年 東京都生まれ
1969年 東京大学大学院人文科学研究科博士課程修了
1999年 文学博士(筑波大学)
秋田大学講師、助教授、教授を経て、2006年退職
主な著訳書
『プラトン「国家論」考』(影書房)
『アリストクセノス《ハルモニア原論》の研究』(東海大学出版会)
目次
アリストクセノス『ハルモニア原論』
プトレマイオス『ハルモニア論』
補註
解説
索引
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アリストクセノス『ハルモニア原論』内容目次より
第一巻 原理論
一 序言、ハルモニア論の位置づけ
二 前史、批判的回顧と本探求の主題の確認
三 承前、先行者を批判しつつ論点をさらに敷衍する
四 承前、さらなる具体的な見取図(楽音と音程と音階)
五 声の動きの一般論、連続的な動きと音程的な動き
六 緊張と弛緩、高さと低さ、高度。基本五概念の自然学的な規定
七 音の間隔にかんする一般論
八 楽音、音程、音階
九 音程の分類と音階の分類、見取図
一〇 旋律の本性にかんする一般論
一一 音階の三類にかんする歴史的記述
一二 調和音程にかんする一般論
一三 全音(トノス)の規定
一四 類の生成とテトラコードにおける移動音のトポス
一五 連続と継起
一六 補遺、継起的連続の細目
第二巻 原論I
一 緒論、講義の進め方について
二 方針の披露にさいして先人批判の一端に触れる
三 聴覚と理性にかんする方法論的考察
四 ハルモニア論の七分野。要覧
五 聴覚と理性、感覚と記憶
六 ハルモニアの処在としての記譜法や楽器(アウロス)を語る思想の誤謬を駁す
七 研究上の一般的注意、方法論的考察
八 音階の三類
九 調和音程にかんする一般論
一〇 全音(トノス)の規定
一一 音階の類別にかんする原理的考察
一二 継起
一三 テトラコードの合成
一四 調和音程による不調和音程の決定
一五 調和音程の検証
第三巻 原論II
一 テトラコードの連接と離接
二 単純音程について
三 ピュクノン再論、全音(トノス)の確定方法
四 単純音程の継起にかんする細則
五 さらに継起を進行径路(ホドス)の側面から具体化する
六 ピュクノンの特異性
七 音階における単純音程の数
八 単純音程の配列による差異
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プトレマイオス『ハルモニア論』内容目次より
第一巻
第一章 ハルモニア論における判別者について
第二章 ハルモニア論者の課題は何か
第三章 音にかんする高さと低さはいかに組織されるか
第四章 楽音ならびに楽音における差異について
第五章 調和音程の基礎前提においてピュタゴラス派によって容認された諸前提について
第六章 ピュタゴラス派の調和音程にかんする推論は不適切であったこと
第七章 調和の比はいかにして正当に規定されるか
第八章 調和の比はいかなる仕方で一弦カノンによって論駁されないものとして論証されるか
第九章 アリストクセノス派の人々は調和を楽音でもってではなく音程でもって測っているが、それは適切ではないこと
第一〇章 アリストクセノス派の人々は誤って4度の調和を二個の全音と半音から成ると仮定していること
第十一章 オクターヴが六全音よりも小さいことは、いかにして八弦カノンによって感覚にも訴えるように証明されるか
第十二章 アリストクセノスによる類の分割と、それぞれのテトラコードについて
第十三章 アルキュタスによる類とテトラコードの分割について
第十四章 この分割はいずれもありうべき旋律音を救うものではないことの証明
第十五章 合理性にも感覚の現れにも適ったテトラコードの分割の類別について
第十六章 感覚に適わしい類はいくつあるか、またそれはどの類か
第二巻
第一章 聴きなれた類の比はいかにして感覚によって容認されるか
第二章 ヘリコンと呼ばれる装置に比較されるカノンの使用について
第三章 第一の調和の諸形式について
第四章 完全音階について。2オクターヴだけがその名に値すること
第五章 楽音の命名はいかにして位置との関連の上で、また機能との関連の上でなされるか
第六章 オクターヴ+4度から成る連接された大きさは、いかにして完全音階の評価を得たか
第七章 いわゆるトノスによる転位について
第八章 トノスの両端はオクターヴによって規定されなければならないこと
第九章 トノスは七つだけ、オクターヴ種と等しい数だけ措定されなければならないこと
第十章 諸々のトノスの間の超過分はいかにして健全に取り入れらるべきか
第十一章 トノスを半音ごとに高めてはならないこと
第十二章 カノンとしての一弦琴の使用の難しさについて
第十三章 音楽家ディデュモスが一弦琴カノンに付加したと思われる矯正について
第十四章 不転位のトノスとそれぞれの類におけるオクターヴの分割をなすための数の提示
第十五章 七個のトノスの内にある身近な類の分割をなす数の提示
第十六章 リュラとキタラの演奏における旋律について
第三巻
第一章 十五弦カノンによれば、音組織全体にわたる比の使用と判別はいかにして生ずるか
第二章 八個の楽音だけによる2オクターヴに至るまでの分割のための諸方法
第三章 ハルモニア的な能力のその学はいかなる類において立てられるべきか
第四章 ハルモニアの能力は完全なものすべてに本性上内在し、人間の魂と天空の運行をとおして最もよく示されること
第五章 いかにして調和音程は魂の第一義的な区別に固有の種に応じて適合せしめられるか
第六章 ハルモニアの類と第一義的な徳の類の比較
第七章 ハルモニアの転位はいかにして魂の状況的な転位に似るか
第八章 完全音階と黄道の中間を通る円の類似性について
第九章 ハルモニアの調和と不調和はいかにして黄道の内にあるものの調和と不調和と同様であるか
第十章 楽音における継起は経緯上の星の運動に似ること
第十一章 星の垂直運動はいかにしてハルモニアの類に擬えられるか
第十二章 トノスの転位は星の側行運動の行程に対応していること
第十三章 テトラコードと惑星の太陽に対する相の対応について
第十四章 完全音階の固定音はいかなる第一義的な数によって宇宙の中にあるものの第一の天球に擬えられるか
第十五章 それぞれの固有の運動の比はいかにして数値で測られるか
第十六章 諸惑星の相互関係はいかにして諸楽音の相互関係に擬えられるか