都市平安京
価格:3,960円 (消費税:360円)
ISBN978-4-87698-618-7(4-87698-618-5) C3021
奥付の初版発行年月:2004年03月 / 発売日:2004年07月上旬
平安京の「住人」の住むイエとは何か? それを取り巻く生活環境は? 都市災害や犯罪,貴族と住人の相互関係は?…など,豊かな史料群を再構成することで,従来の常識・通説のイメージを超えた新しい平安京像を描き出す.本書の斬新な歴史像は,日本の歴史文化の全体把握に大きく寄与すると同時に,現代都市との有効な比較材料となる.
目次
第一部 平安京の枠組み
序 章――本書の課題と構成
1 本書の課題
2 本書の構成
第一章 平安京の〈空間〉
はじめに
1 貴族のイエ――変転する平安京
一 貴族のイエと寝殿造 / 二 イエの構造 / 三 イエの周辺
四 空家と荒廃
2 都市住人のイエ――流動する平安京
一 条坊制と戸主 / 二 町屋の始発 / 三 住人の家族
四 イエとホームレス
3 王権と大内裏――反転する平安京
一 都市と火事 / 二 内裏の実在と不在 / 三 西寺と西鴻臚館
四 羅城門と豊楽院― 第一期の廃絶 / 五 第一期と第三期の廃絶の意味
おわりに
第二部 平安京の〈住人〉
第二章 平安京の〈家〉と住人
はじめに
1 〈家〉と穢れ
一 〈死〉と穢れ / 二 「産マム所」
2 〈家〉と家主
3 保・随近・隣人
一 保と刀鱈 / 二 随近・近辺 / 三 隣人の社会関係
おわりに
第三章 平安京の病者と孤児
はじめに――「路辺」の病者と孤児
1 病者の遺棄
一 京中の病者 / 二 説話と記録の病者 / 三 男性と女性の病者
2 孤児と捨子
一 多様な捨子 / 二 「異常な」出産 / 三 継子と「貧困」
四 捨子と孤児と姫君
3 「門」と路辺
一 門と病者・孤児 / 二 門と鬼・犬 / 三 危険な路辺
おわりに――平安京の社会構造
一 「家族の破片」 / 二 平安京の特質
第四章 平安京のイエと排泄・トイレ
はじめに
1 内裏と犬・狐の屎
2 貴族のイエと人糞
一 溝・川と排泄 / 二 貴族のイエと樋洗童
3 都市住人の排泄と糞尿譚
一 貴族のイエと糞尿譚 / 二 都市住人のイエと〈非日常的な〉排泄
4 都市の共同排泄と高足駄
一 小路の〈糞〉 / 二 〈空地〉の共同排泄 / 三 高足駄・足駄と排泄
四 犬と糞
おわりに―平安京と排泄
■補論 平安京・中世京都のトイレと排泄――とくに都市住人の場合
1 平安京と古代のトイレ
2 中世京都の排泄と絵巻
3 町屋のウラとトイレ
第五章 平安京の動物誌
はじめに
1 六畜の穢れ
一 馬・牛・犬と狐・狼・鹿 / 二 犬の穢れと内裏
2 平安京と馬・牛・犬
一 馬・牛の放飼 / 二 犬と都市
おわりに―― 平安京の都市問題としての動物
第三部 平安京の〈秩序〉
第六章 京中〈群盗〉の歴史構造
はじめに
1 京中盗人の社会関係
一 京中盗人の身分― 流民か兵か / 二 「案内を知る者に似る」― 盗人の社会関係
三 嫌疑と無実― 盗人と住人の境界
2 〈群盗〉集団の歴史関係
一 「群盗数十人」― 群盗の規模 / 二 従者と同類― 盗人・〈群盗〉の構成原理
三 「弓矢を奉りて降を請う」― 群盗と合戦
第七章 平安京の火事と〈都市〉住人
はじめに
1 平安京と火事
一 「火かと思へど、さにはあらず」― 〈都市〉災害と火事
二 「火は或いは放火或いは失火」― 火事の原因
2 火事と〈都市〉住人
一 「ちかう火のさわぎす」――出火 / 二 「人々早く見着けて滅す」―― 延焼と鎮火
3 火事と〈都市〉構造
一 「一物も取り出ださず」―― 貴族の〈家〉
二 「西は限る西洞院大路」―― 住人の「町」
おわりに
第四部 平安京の〈内〉と〈外〉
第八章 平安京の〈門前〉と飛礫
はじめに――花山院の〈門前〉
1 石で打つ・石を投げる
2 馬・車を下りる 門を避ける
3 〈門前〉の支配と暴力
おわりに――〈門前〉と〈門前ノ町〉
第九章 平安京と農村の交流
はじめに――平安時代交通史の視角
1 居住の論理
一 本貫から居住へ / 二 住人の成立 / 三 下手・官人の在所
四 京中の住人
2 城外の規律
一 『大鏡』の城外 / 二 下向の論理 / 三 官人の城外居住
3 下向と京上
一 受領の郎等・不善輩 / 二 郎等・不善輩の往反 / 三 受領の親属
四 国衛官人の京上
4 事縁の様態
一 事縁を訪う / 二 因縁と近親 / 三 相知の社会関係
おわりに――諸国から、アジアへ
あとがき
図版所蔵者・転載一覧
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