医療環境を変える 「制度を使った精神療法」の実践と思想
価格:6,270円 (消費税:570円)
ISBN978-4-87698-751-1 C3047
奥付の初版発行年月:2008年08月 / 発売日:2008年08月下旬
たとえば「場の雰囲気」といった些細な事柄からでも,状況を把握し分析し組み直す(=制度を使う)ことで硬直した医療現場に風を通すことができる.フランス・ラボルド病院の試みと,医学,看護,精神分析,心理学,人類学,現代思想,アート等の実践と思想から人が癒える場を快復するための,ラディカルな交響的提案の書.
目次
はじめに
第一部 実践編
第1章 制度を使った精神療法の実践 ラ・ボルド病院とセクター制度
第1節 ラ・ボルド病院という場所〔多賀 茂、三脇康生〕
第2節 Documentラ・ボルド病院の経験〔ジャン・ウリ、ラ・ボルド病院スタッフ〕
第3節 制度分析とセクター制度は両立可能か
セクター制度の歴史と現状から〔ティロ・ヘルト、和田 央〕
第2章 日本の精神医療現場での試み
四つの例、四つの声
第1節 市民団体による地域生活支援活動の試み
横浜市中区・南区の精神保健福祉サービス活動の例〔菅原道哉〕
第2節 救急という制度を使う試み
京都府南部地域の例〔和田 央、波床将材〕
第3節 病院内における制度を使った精神療法の試み
沖縄いずみ病院の例〔高江洲義英〕
第4節 外から病院に働きかける試み
精神医療審査会の例〔平田豊明、ミシェル・オラシウス、三脇康生〕
第3章 制度に取り組むために
身近な制度分析の実践
第1節 医師という制度を分析する〔菅原道哉、三脇康生〕
第2節 Document看護師という制度を分析する〔ジャン・ウリ、吉浜文洋〕
第3節 医療環境という制度を分析する〔蓮見 孝、田村尚子、高崎正治〕
第4章 日本の精神医療と制度を使った精神療法はなぜ今まで出会えなかったのか〔三脇康生〕
実践篇のまとめとして
中間部 対話編 制度という論点をめぐって
第1節 Document常識を外すことで看護システムを動かす〔野沢典子〕
第2節 Document制度を使うとはどういうことか〔上山和樹〕
第二部 思想編
第5章 制度を使った精神療法の思想
第1節 Document制度を使った精神療法とはなにか〔ジャン・ウリ〕
第2節 治療概念として
ウリはなぜガタリの分裂分析を拒否するのか〔三脇康生〕
第3節 現代思想として
制度とゲシュタルト--トスケイェス、ウリ、ガタリ〔合田正人〕
第4節 社会運動として
新たな戦い--フーコーとガタリ〔多賀 茂〕
第6章 制度を使った精神療法とその周辺
第1節 精神療法の歴史から
その治療理念のクロノロジー〔江口重幸〕
第2節 ラカン派の視点から
制度を使った精神療法とラカン派応用精神分析〔立木康介〕
第3節 イタリアの例から
バザーリアと制度を使った精神療法--脱施設化から脱制度化へ〔松嶋 健〕
第7章 根を枯らさないために〔多賀 茂〕
思想編のまとめとして
おわりに
索 引
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