日英対訳 津軽の藍 Tsugaru Indigo
価格:1,980円 (消費税:180円)
ISBN978-4-902774-97-9 C3000
奥付の初版発行年月:2012年11月
―藍を通じて津軽を知る―
藍染は古くから世界各地で行われ、一般に藍=藍染のイメージが強い。その一方で、藍は多くの薬効を持つ植物としても知られている。本書は弘前大学における藍の抗菌成分研究実用化にあわせて刊行するもので、共同研究先の企業が、海外に拠点、あるいは提携先を持つことから、本文は日英対訳版となっている。
本書は第一部「藍と藍染」、第二部「津軽藍の歴史」の二部構成となっている。第一部では、藍染の布に展開したこぎんざしの世界、さまざまな藍染法と藍の持つ抗菌性物質、植物としての藍の多様さが述べられている。第二部では、近世弘前藩から現代の弘前大学での化学研究まで、歴史の流れに沿って、藍にまつわるさまざまな事柄が新資料に基づいて書かれている。
全体を通してカラー画像を用い、化学的な色変化など、一般にあまり馴染みのない事柄もわかりやすくなるよう工夫を凝らしている。地域を知る教材として、学校現場など多方面での活用も期待される。
目次
はじめに
第Ⅰ部 藍と藍染
1.藍の工芸―こぎんざし
1-1 藍色のキャンバスにつづられた津軽の語り
1-2 衣服統制とこぎんざし
1-3 こぎんざしの発展
1-4 こぎんざしが獲得した社会的重要性
2.藍の化学―藍染と藍の抗菌性
2-1 藍色の化学
2-2 藍染の化学
2-3 藍の生理活性物質
◆コラム―藍の化学教材
3.藍の植物―さまざまな藍
3-1 さまざまな藍
3-2 蓼藍について
3-3 品種の保存と改良の試み
◆コラム―藍染料の本場徳島とジャパンブルー
第Ⅱ部 津軽藍の歴史
1.近世津軽の藍
1-1 近世における津軽への諸産業・技術の移植と藍
1-2 弘前藩の藍国産化の夢(1)
1-3 弘前藩の藍国産化の夢(2)
1-4 こぎんに受け継がれる近世津軽の藍
◆コラム―近世から近代への移行と青森県士族
2.近代津軽の藍
2-1 近代の弘前藩士族と産業開発
2-2 藍への注目
2-3 米国人宣教師イングと藍
2-4 明治中期以降の藍
3.現代津軽の藍
3-1 復興のきざし―官と産の動き
3-2 弘前大学の研究―抗菌性への着目
3-3 研究成果、社会への還元
3-4 現代の復興―士族の夢、実現へ
主要参考文献
執筆者・翻訳者紹介
監修者紹介
あとがき