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140年の歴史をたどる東京大学本郷キャンパス

東京大学本郷キャンパス 140年の歴史をたどる

B5変 224ページ
価格:3,080円 (消費税:280円)
ISBN978-4-13-001350-5 C1000
奥付の初版発行年月:2018年06月 / 発売日:2018年06月下旬

内容紹介

東京大学本郷キャンパスはいかにしてつくられたか.どのような経緯で本郷が選ばれ,なぜ安田講堂は現在地にあるのか——.東京大学が創設されてから現在にいたる,キャンパス140年のあゆみを,20世紀初頭の古写真や数々の建設資料等,貴重な史料をもとにたどる.


目次

はじめに
東京大学キャンパスマップ
東京大学の沿革

第1章 先史・江戸時代の本郷
1 本郷キャンパスの自然地形
2 先史時代のキャンパス——2万数千年前の痕跡
3 江戸時代のキャンパス——発掘調査による全体像
4 江戸藩邸の土地造成と三四郎池
5 加賀藩上屋敷——屋敷絵図をみる
6 将軍の御成と藩邸の大改変
7 育徳園——加賀藩邸の遺産①
8 大名屋敷の行方——加賀藩邸の遺産②
本郷キャンパスの発掘調査地点

第2章 大学成立期のキャンパス
1 昌平坂学問所から大学へ
2 開成学校——東大の前身① 洋学教育機関
3 医学所——東大の前身② 医学教育機関
4 実現しなかった上野構想——校地の選定①
5 本郷移転までの紆余曲折——校地の選定②
6 東京医学校の本郷移転
7 東京医学校本部——黎明期のキャンパス唯一の現存建物
8 神田錦町の東京大学と予備門
9 工部大学校——近代工業技術の教育機関
10 外国人教師たちの本郷
11 キャンパス回想——モース,ベルツ,入澤達吉,馬場孤蝶,ケーベル
「明治4年東京大絵図」にみる東大の前身校

第3章 本郷キャンパスの成立
1 ジョサイア・コンドルによる東京大学設計図
2 帝国大学の誕生——各所から本郷へ,キャンパス成立へ
3 法文科大学校舎——最初の煉瓦校舎
4 工科大学本館——辰野金吾の最初期の作品
5 理科大学——文部省技師・山口半六設計の建築
6 図書館と講堂——キャンパス内共建物の建設
7 農科大学——駒場キャンパスの前身
8 医科大学校舎——病室と教室の止むことのない増築
9 文部省営繕課——山口半六と久留正道
10 明治天皇の卒業式初行幸
11 赤門——東京大学の「顔」
12 キャンパス近代化の空間装置——門・広場・街路
写真帖『東京帝国大学』
13 三四郎が歩く——小説に描かれた風景
14 漱石と?外が目にした本郷界隈
15 銅像——キャンパスに点在する肖像彫刻
1886(明治19)年のキャンパス

第4章 本郷キャンパスの整備と拡充
1 大講堂と銀杏並木——キャンパスの主軸の形成
2 濱尾新土木総長のキャンパス整備
3 キャンパスに中心——総長室と本部の変遷
4 東京大学の卒業式と式場
5 懐徳館——前田侯爵の邸宅
6 東京帝国大学営繕課——キャンパス整備の学内組織
7 内田祥三と内田スクール——営繕課の役割
8 キャンパスに継承される軸線——震災前の拡張計画
9 大講堂の計画
10 大講堂の壁画
 1897(明治30)年のキャンパス

第5章 内田ゴシックの本郷キャンパス
1 関東大震災による被災状況
2 大震災からの復興・再建計画——恒久的な再建整備へ
3 内田祥三の信念——全体計画の実践
4 内田ゴシック——スクラッチ・タイルを用いた様式の誕生
5 図書館の再建——震災復興の象徴
6 図書館と戦没者追悼——消された戦争の記憶
7 恵まれた運動施設
8 病院を装飾する——1930年代の病院像の証言者
9 農学部の移転——本郷での総合大学成立へ
 1923(大正12)年のキャンパス

第6章 戦後・高度成長期のキャンパス再開発
1 図書館団地——新制東京大学の出発
2 キャンパス計画の誕生——「本郷キャンパス利用計画」の策定
3 モダニズム建築の実験
4 東大紛争と安田講堂前広場
5 学内埋蔵文化財発掘調査の始まり
6 広場と軸線の建築——空間的文脈の創造的発見
7 内田ゴシックへの増築——法文1号館・2号館,工学部1号館・2号館・6号館
8 工学部の再開発計画——全学再開発の嚆矢
9 三極構造のキャンパス——本郷・駒場・柏
10 本郷キャンパスの再開発計画——「本郷地区キャンパス再開発・利用計画要綱」の策定
11 キャンパス内の現代建築——建築家たちの実験
12 有形遺産の意識と制度化
13 戦後の病院地区
 1936(昭和11)年のキャンパス

第7章 新しい本郷キャンパスへ
1 国立大学法人化と建設ラッシュ——キャンパスの景観変貌
2 オープンスペースの開放——外部空間の転換点
3 目指すべきキャンパスの質——キャンパス計画要綱の改正
4 内田ゴシックの保存と復元
5 安田講堂の大改修——新しい文化財の姿の模索
6 図書館前広場——歴史的価値の継承
7 育徳園の価値——本郷最古の場所
8 懐徳館庭園——名勝指定そして今後の活用へ
 1987(昭和62)年のキャンパス

おわりに
東京大学本郷キャンパス関連年表
参考文献
索引(人物/建造物等)





■執筆者
本書執筆者
*印は,東京大学キャンパス計画室員・事務局員(元/現)

出口 敦*
東京大学大学院新領域創成科学研究科教授.東京大学キャンパス計画室長.専門は,アーバンデザイン学,都市計画学,景観計画.編著に『アジアの都市共生——21世紀の成長する都市を探求する』(九州大学出版会,2005年)がある.

西村幸夫*
神戸芸術工科大学教授.東京大学名誉教授.専門は都市計画,都市景観計画,都市デザイン.著書に,『県都物語——47都心空間の近代をあるく』(有斐閣,2018年),『都市保全計画——歴史・文化・自然を活かしたまちづくり』(東京大学出版会,2004年)がある.

藤井恵介*
東京藝術大学客員教授.東京大学名誉教授.専門は建築史,文化財保存.著書に,『建築の歴史』(共著,中央公論新社,2006年),『密教建築空間論』(中央公論美術出版,1998年)がある.

木下直之*
東京大学大学院人文社会系研究科教授.静岡県立美術館館長.専門は文化資源学,近代日本美術史.著書に,『近くても遠い場所——一八五〇年から二〇〇〇年のニッポンへ』(晶文社,2016年),『銅像時代——もうひとつの日本彫刻史』(岩波書店,2014年)がある.

森 朋子*
札幌市立大学デザイン学部准教授.前職は東京大学大学院工学系研究科都市工学専攻助教.専門は都市計画.

尾﨑 信*
松山アーバンデザインセンターディレクター.愛媛大学講師.芝浦工業大学非常勤講師.前職の東京大学助教時にキャンパス計画を担当.専門は都市・地域計画,景観学,まちづくり.

堀内秀樹*
東京大学埋蔵文化財調査室准教授.専門は近世考古学,陶磁器.編著に『赤門——溶姫御殿から東京大学へ』(共編,東京大学出版会,2017年),『中近世陶磁器の考古学』第2巻(佐々木達夫編,雄山閣,2016年)がある.

中井 祐*
東京大学大学院工学系研究科教授.専門は景観論,土木デザイン.著書に『近代日本の橋梁デザイン思想——三人のエンジニアの生涯と仕事』(東京大学出版会,2005年),『風景の思想』(共編,学芸出版社,2012年)がある.

加藤道夫*
東京大学大学院総合文化研究科教授.専門は建築図学,建築デザイン,特にル・コルビュジエの絵画・建築・都市に関心がある.著書に『総合芸術家ル・コルビュジエの誕生——評論家・画家・建築家』(丸善出版,2012年),『ル・コルビュジエ——建築図が語る空間と時間』(丸善出版,2011年)がある.

千葉 学*
東京大学大学院工学系研究科教授.建築家.専門は建築設計・都市空間デザイン.著書に『人の集まり方をデザインする』(王国社,2015年),『Rule of the site——そこにしかない形式』(TOTO出版,2006年)がある.

川添善行*
東京大学生産技術研究所准教授.建築家.専門は,建築設計・風景論.著作に『空間にこめられた意思をたどる(私たちのデザイン3)』(共編,藝術学舎,2014年),『GS群団底力編 このまちに生きる——成功するまちづくりと地域再生力』(共編,彰国社,2013年),建築作品に「東京大学総合図書館別館」(2017年),「変なホテル」(2015年)等がある.

角田真弓
東京大学大学院工学系研究科技術専門職員.専門は日本建築史,近代建築学史.編著に『建築の歴史・様式・社会』(共著,中央公論美術出版,2018年),『関野貞アジア踏査』(共編,東京大学出版会,2005年)がある.

木内俊彦
東京大学大学院工学系研究科特任研究員.専門は建築意匠論,建築設計.編著に『T_ADS TEXTS 02 もがく建築家,理論を考える』(東京大学出版会,2017年),『T_ADS TEXTS 01 これからの建築理論』(東京大学出版会,2014年)がある.

成瀬晃司
東京大学埋蔵文化財調査室助教.専門は近世考古学.著書に,『赤門——溶姫御殿から東京大学へ』(堀内秀樹・西秋良宏編,東京大学出版会,2017年),『事典 江戸の暮らしの考古学』(古泉弘編,吉川弘文館,2013年)がある.

原 祐一
東京大学埋蔵文化財調査室助手.専門は近世考古学,近代考古学.

大成可乃
東京大学埋蔵文化財調査室助手.専門は近世考古学.

追川吉生
東京大学埋蔵文化財調査室助手.専門は近世考古学.著書に『江戸のなりたち1 .江戸城・大名屋敷』(新泉社,2006年),『江戸のミクロコスモス・加賀藩江戸屋敷』(新泉社,2004年)がある.

香取祐一
東京大学埋蔵文化財調査室教務補佐員.専門は地理情報.

小川祐司
東京大学埋蔵文化財調査室教務補佐員.専門は近世考古学.著書に『赤門——溶姫御殿から東京大学へ』(堀内秀樹・西秋良宏編,東京大学出版会,2017年)がある.


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