文化政策の現在
文化政策の現在2 拡張する文化政策
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-13-003496-8 C3300
奥付の初版発行年月:2018年03月 / 発売日:2018年03月下旬
従来の芸術振興・芸術普及という狭義の領域を超え,範囲(ジャンル,分野),制度・施設の形態などが拡張してきた推移や現状を論じ,その対象が多様化してきていることを示し,社会のあらゆる領域へと浸透していく現在の文化政策の姿を描く.【シリーズ全3巻/第2回配本】
小林 真理(コバヤシ マリ)
東京大学大学院人文社会系研究科教授
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
シリーズ刊行にあたって
はじめに 小林真理
第Ⅰ部 領域の拡張
第1章 文化政策のパラダイム変化 ─創作者中心から享受者中心へ (李知映)
1 はじめに
2 朝鮮戦争後から軍事政権までの文化政策
3 金泳三政府から盧武鉉政府までの文化政策
4 李明博政府から朴槿恵政府までの文化政策
5 文化政策の新しいパラダイムに向けて
第2章 文化施設とは何か ─建物と人の距離 (新藤浩伸)
1 「敷居の高さ」というレトリック
2 「文化施設」の範囲
3 歴史の中の「文化施設」
4 戦前期の文化施設概念が示すもの
第3章 英国のアーツ・センター・ムーブメント(菅野幸子)
1 アーツ・センターの始まり
2 アーツ・センター・ムーブメント
3 アーツ・センターと現代アート
4 まとめ
第4章 芸術祭とアートプロジェクトは、新たな制度となりうるか? ——プロジェクトからインスティテューションへ(佐藤李青)
1 はじめに
2 「インスティテューション」という視点からの課題
3 芸術祭とアートプロジェクトの特徴=成果とは何か
4 おわりに ─「プロジェクト」を超えて
第Ⅱ部
政策概念
第5章 地域アイデンティティ再構築 ──フランス都市文化政策の戦略化 (長嶋由紀子)
1 欧州単一市場と文化政策
2 都市の魅力と発信力 ─モンペリエ市の事例
3 地域/都市アイデンティティ再構築 ─リール市の事例
4 多中心的な社会へ ─都市文化政策の空間ナラティヴ
第6章 文化政策とソーシャル・インクルージョン ──社会的包摂あるいは社会包摂 (中村美帆)
1 ソーシャル・インクルージョンとは何か ─概念の成り立ちと二つの訳語
2 「社会的包摂」と「社会包摂」 ──社会政策と芸術文化政策
3 敢えて「社会包摂」を語ることの可能性 ─芸術文化による社会包摂
4 現代日本の芸術文化政策におけるソーシャル・インクルージョンの課題
第7章 国際文化交流と文化外交 ──「アジア」の文化理解を一例として(武田康孝)
1 はじめに
2 日本の対外文化政策と「文化交流」概念の変遷
3 一九七〇 ─八〇年代の「アジア文化理解」事業─国際交流基金とトヨタ財団
3 福岡市の対アジア文化政策 ─都市政策としての「アジア理解」
4おわりに ─「交流」の価値を取り戻す
第8章 創造都市と創造産業の隆盛 (菅野幸子)
1 創造都市の原点
2 創造産業の隆盛
3 東アジアにおける創造都市と創造産業の広がり
4 まとめ
第Ⅲ部 担い手の多様化
第9章 メセナ(企業の文化支援)論(伊藤裕夫)
1 はじめに ──「企業の文化支援」という視点
2 文化振興における「企業」─企業メセナ協議会設立まで
3 企業メセナの展開と変容
4 文化政策における民間セクターの意義と問題
第10章 指定管理者制度時代の文化振興財団の課題と展望 (小林真理)
1 はじめに
2 地方自治体による文化行政の展開と混乱 ─教育行政からの分離
3 自治体出資法人の出現と問題
4 地方自治体出資法人における専門性の追求
第11章 中間支援の可能性と課題 ──築港ARCとアーツコミッション・ヨコハマ(佐藤李青)
1 はじめに ──「現場」と「環境」を巡って
2 「草の根」の「創造」を支援
3 中間支援事業の展開 ─築港ARCとアーツコミッション・ヨコハマ
4 おわりに ──中間支援の可能性を拓くために
第12章 アートNPOの展開と実態 ──公共の新たな担い手として (吉澤弥生)
1 日本におけるアートNPOの展開
2 活動実態──「アートNPOデータバンク」調査結果から
3 「協働」のあり方 ──大阪の事例から
4 展望──アートNPOは公共の担い手となりうるか
第13章 参加と協働の具現化──市民参加型フィールドワークから博物館建設へ(土屋正臣)
1 はじめに
2 博物館をめぐる今日的課題
3 野尻湖発掘という市民参加のフィールドワーク
4 市民参加型フィールドワークから博物館建設へ
5 より良い参加・協働の構築をめざして
Cultural policy Studies
Voi.2 Domain
Mari KOBAYASHI, editor