文化政策の現在
文化政策の現在3 文化政策の展望
価格:4,400円 (消費税:400円)
ISBN978-4-13-003497-5 C3300
奥付の初版発行年月:2018年04月 / 発売日:2018年05月上旬
多様な主体によって担われ,対象領域を拡張し続ける文化政策の課題と可能性を検証し,東日本大震災以降,歴史・記憶の継承などといったさまざまに要請される役割に応えるため,今後のあるべき姿を提言することでそのゆくえを展望しつつシリーズ全体を総括する.
小林 真理(コバヤシ マリ)
東京大学大学院人文社会系研究科教授
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
シリーズ刊行にあたって
はじめに
第I部 価値の転換
第1章 文化政策と法(中村美帆)
1 「文化政策と法」のアプローチ——文化をとりまく制度のあり方
2 多岐にわたる「文化政策と法」
3 文化をとりまく制度の公と私。
4 「文化政策と法」の課題——社会における文化の位置づけ
第2章 保存と活用の二元論を超えて:文化財の価値の体系を考える(松田 陽)
1 はじめに
2 「文化財の保存から活用へ」というスローガン
3 新たな文化財活用の考え方の登場
4 文化財活用による観光振興
5 文化財の価値の体系という視点
6 保存と活用の二元論を超えて
第3章 進化を迫られる芸術文化助成:可能性と諸課題(若林朋子)
1 助成とはなにか
2 芸術文化助成を俯瞰する
3 芸術文化助成が抱える諸課題
4 芸術文化助成の可能性と展望
第4章 自治体文化政策策定プロセスにおける文化デモクラシー:共治の実現に向かって(長嶋由紀子)
1 はじめに
2 デモクラシーを問う文化政策の論点
3 能動的参加を促す文化政策の性質
4 「協働」に向かう自治体文化政策
5 市民参加型社会をつくる文化ガヴァナンス論
6 おわりに
第5章 自治体文化行政論再考:文化行政が目指すもの(小林真理)
1 はじめに
2 自治体文化行政論の革新性
3 文化ホールはまちをつくったか
4 市民協働・パートナーシップのために必要な触媒
5 自治体文化行政の役割とは何か——判断のための場づくりと環境整備
第6章 参加と協働のゆくえ:草の根市民参加型発掘調査の文化財保護行政化(土屋正臣)
1 はじめに
2 戦後自治体史編纂事業の担い手の変遷
3 市民の手による地域史編纂の拡がり
4 調査・研究・叙述の今後の展望
第II部 実践の深化
第7章 予測不可能性のなかに眠る可能性を:小金井アートフル・アクション! のこころみ(宮下美穂)
1 小金井アートフル・アクション! はどのようにして生まれたか?
2 事業を進める二つの車輪
3 考えなければいけないこと——強みと弱点
4 出来事を評価するということ
5 協働とは?
6 これから
第8章 芸術家の福祉政策:韓国の事例を中心に(李知映)
1 はじめに
2 フランスとドイツにおける芸術家の福祉政策
3 韓国における芸術家の福祉政策
4 おわりに
第9章 カルチュラル・リーダーシップ:文化セクターを担う人材の育成(菅野幸子)
1 マネジメントからリーダーシップへ
2 カルチュラル・リーダーシップの創設経緯と背景——リーダーシップの危機
3 関係性を作り上げるリーダーシップ
第10章 市民文化活動の拠点とその支援:EU諸国の事例から(新藤浩伸)
1 文化の担い手としての市民をどう支えるか
2 EU文化政策
3 地域ベースの活動を支えるアーツセンター
4 アン・トーバーアーツセンター (An Tobar)
5 コミュニティでの活動を支える中間支援組織
6 市民文化活動の支援体制の構築にむけて
第III部 文化政策の再定義
第11章 地域の文化拠点としての文化施設:東日本大震災後のミッションの再定義を目指して(佐藤李青)
1 はじめに——「災間」の社会の知見として
2 地域の文化拠点としての文化施設
3 プラットフォームとしての文化施設
4 「機構」としての公立文化施設——理念から実践へ,実践から理念へ
第12章 都市の記憶、生活の記憶の場所:公共ホールにおけるアーカイブ活動の可能性から(新藤浩伸)
1 都市のなかの記憶の場所
2 公共ホールという場所の性質
3 記憶の場所としての公共ホール 。
4 アーカイブ活動の実践
5 アーカイブ活動の意義と課題
6 おわりに——歴史が編まれる場所とその編み手
第13章 デジタル化時代の文化政策(松永しのぶ)
1 はじめに
2 文化を記録する
3 繋がる 。
4 保存,そして共有
5 最後に
第14章 二つの震災を節目とした文化と社会の関係性の変化(大澤寅雄)
1 はじめに
2 公立文化施設
3 アートNPO
4 東日本大震災
5 これからの展望
6 おわりに
Cultural Policy Studies
Vol.3 Expansion
Mari KOBAYASHI, editor