内容紹介
芸道思想の古典とされる世阿弥の伝書.そこに秘められた深い稽古の智慧.『風姿花伝』だけ読んだのでは見えてこない,伝書全体の根底に潜む壮大な稽古の逆説的ダイナミズム.「無心」「劫来」「我意分」「離見の見」——その稽古哲学を読みとく試みである.
目次
はじめに
1章 伝書はいかなる視点から読まれてきたか——そしていかに読みうるか
2章 伝書理解のための補助線——理論枠組みの設定、そして作業図
3章 稽古の教えに秘められた智慧——稽古の「次第梯登」
4章 稽古開始以前の子ども——「七歳をもて初めとす」が前提にした子どもの身体
5章 稽古における型の問題(研究ノート)
6章 伝書における無心の厚み
7章 伝書における二重の見——「離見の見」と「書く世阿弥」
8章 有主風と我意分——無心における創造性・主体性とはどういうことか
9章 息と音楽性——根底に流れる位相を稽古するとはどういうことか
10章 序破急——成就するとはどういうことか
結び——むすんで、ひらいて