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解釈学的経験の系譜旧約における超越と象徴 増補新装版

旧約における超越と象徴 増補新装版 解釈学的経験の系譜

A5判 644ページ
価格:13,200円 (消費税:1,200円)
ISBN978-4-13-010150-9 C3012
奥付の初版発行年月:2021年05月 / 発売日:2021年05月下旬

内容紹介

象徴としての旧約テクストの解釈を通して,超越の顕現する時処を問う.神がいつ,どこに現われるかの象徴分析から,代贖思想の成立にいたる旧約思想を解明.ヘブライ語原典の本文批判に出発し,その倫理学的な根拠づけを試みる.英訳によって国際的評価も高い初版をめぐる,国内外の論評22篇を参看しつつ,ダイナミックな応答と考察を展開した「増補版研究ノート」を追補.【日本学士院賞/和辻哲郎賞受賞】


目次

序 説

第一章 十戒の旧約学的解釈と倫理学的根拠づけ
  一 第六戒から第九戒をめぐって
  ニ 第六戒から第九戒の根拠づけの試み――カントから和辻へ
  三 第六戒から第九戒の根拠づけ再考――和辻説への疑問
  四 第一戒から第四戒をめぐって
  五 第五戒と第十戒をめぐって
  六 問題の所在
  七 倫理的命法の旧約的根拠づけ

第二章 ニヒリストとしてのコーヘレス
  一 研究の現況と課題
  ニ ニヒリズムの概念規定――ニーチェ,ハイデッガーに依拠しつつ
  三 ニヒリスト・コーヘレス
  四 ニヒリズムの想点から見たコーヘレスの思想
  五 要約と展望

第三章 ダビデにおける罪と赦し,そして償い――サムエル記下一二章と詩篇五一篇を中心に
 緒論 ヘブライ・ギリシア歴史理解の比較をめぐって
  一 波多野説瞥見
  ニ コリングウッド説瞥見
  三 中間考察
  四 波多野説再検討――トゥキュディデスは反証とならないか
  五 コリングウッド説再検討――ダビデ王位継承史は反証とならないか
  六 暫定的結論と展望
 I サムエル記一二章の場合
  一 ヘブライ的正統的解釈――ヘルツベルク説紹介
  ニ ギリシア的異端的解釈――試論
 II 詩篇五一篇の場合
  一 詩篇五一篇試訳
  ニ ギリシア的理解に基づくいくつかの疑問
  三 グールダー説紹介
  四 グールダー説検討
  五 詩篇五一篇私解――象徴の解釈学的試論
  六 結び――解釈の葛藤を経て

第四章 アダム神話の象徴論的解釈
  一 リクールのアダム神話解釈
  ニ アダム神話の私訳と註釈
  三 アダム神話私解
  四 終わりに

第五章 第二イザヤ書における代贖思想の成立――編集史的考察
 I 苦難の神義論をめぐって
  一 ヴェーバーの苦難の神義論をめぐる問題定位
  ニ 編集史的仮説の呈示
  三 編集各層における救済理解の位相
  四 編集各層における罪理解の位相
  五 編集各層における普遍主義の位相(抄)
  六 編集史的仮説の修補――結論I
  七 苦難の神義論再考――結論II
 II 代贖をめぐって
  一 第(四)詩の僕像をめぐる研究史の批判的瞥見
  ニ 問題の所在
  三 第(四)の僕の詩編集史試論
  四 代贖再考――本書全体の結びに
  五 二つの補論

増補版研究ノート 論評と応答――四半世紀の影響作用史を顧みて
プロローグ
第一章 本書論評史の瞥見
 I 書評
 II 論及
 III 選評
第二章 論評への応答の試み
 I 関根正雄氏へ
 II アダム神話解釈をめぐって
 III 中川久定氏へ
 IV 泉治典氏へ
 V 今道友信氏へ
 VI 再び今道氏へ――新約聖書の代贖をめぐって
 VII 再び泉氏へ,そして小林孝吉氏へ――新約聖書の再臨をめぐって
 VIII 歴史学的解釈と哲学的解釈の相補性
エピローグ

増補版後書き


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