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デジタルゲーム研究

デジタルゲーム研究

B7 436ページ
価格:4,620円 (消費税:420円)
ISBN978-4-13-010157-8 C3010
奥付の初版発行年月:2023年09月 / 発売日:2023年09月下旬

内容紹介

電子回路をもつゲームであるデジタルゲームを知覚や認知、ゲームプレイ、メディア、音、eスポーツ、文化資源などの視点から多面的に論じつつ、さらには大塚英志と東浩紀による「ゲーム的リアリズム」論争をも詳細に跡付ける、日本のゲーム研究を牽引する著者によるゲームを考えるための必読文献。

著者プロフィール

吉田 寛(ヨシダ ヒロシ)

東京大学大学院人文社会系研究科准教授

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序――ゲーム研究とはどういうものか
1 ゲーム研究の誕生
2 ゲーム研究前史
3 「それ自体のため」のゲーム研究
4 ルドロジー
5 ルドロジーとナラトロジーの調停?
6 イェスパー・ユールと「ハーフリアル」
7 アンソロジーから入門書、基礎文献へ
8 コンピュータメディアのもつ意義
9 デジタルとアナログ
10 デジタルゲーム――名称と歴史
I 知覚と認知――プレイヤーはゲームをどう感じるのか
第1章 スクロール
1 デジタルゲームの感性学に向けて
2 スクロール登場以前のビデオゲーム
3 スクロールの基本的パターン
4 縦スクロールの登場――エレメカから『クレージー・クライマー』へ
5 横スクロールの登場――右方向スクロールの優位
6 縦スクロールにおける「高さ」の表現
7 スクロールと結び付いた諸問題
8 3D(三次元的)スクロールとビデオゲームの未来
第2章 視点と空間
1 ビデオゲームに固有のものとしての「擬似3D」
2 ビデオゲームの空間構造
3 ビデオゲームの空間構築と視点(ビュー)
4 ビデオゲームのスクロール
5 ビデオゲームにおける「第三の次元」の表現技法
第3章 ゲーム空間の記号学――二重化する知覚
1 ビデオゲームにおける「インターフェイス価値」の全面化
2 サイバースペースにおける「スクリーンの二重化」――ジジェクと東によるタークル批判
3 アイコンとオブジェクト――スクリーンの二重化(I)
4 意味論と統語論――スクリーンの二重化(II)
5 スクリーンの二重化とはいかなる事態なのか
II ゲームプレイ――プレイヤーはゲームをどう遊ぶのか
第4章 ゲームプレイと他者への信頼
1 遊びの社会的使命と他者性の次元
2 ゲームの本質としての対立
3 「対立のために協力する」という逆説
4 「ゲームをする態度」の共有
5 規則(ルール)か権威か社会契約か?
6 見えないものを信じること
7 自己への信頼、他者への信頼、世界への信頼
8 「信頼による連帯」としてのゲームコミュニティ
第5章 カウンタープレイ――ゲームに抗うプレイヤー?
1 ギャロウェイの「ゲーム的リアリズム」
2 カウンターゲーミング――ゲームに抗うゲーム
3 カウンタープレイ――〈帝国〉への抗い、ゲームへの抗い
4 「脱遊戯的プレイ」とゲームの脱構築
5 デジタルゲームの規則(ルール)の特異性――「魔法円(マジックサークル)は存在しない」
6 デジタルゲームの〈ソーシャル〉
7 シミュラクルとしてのゲームプレイ――「ゲーム的リアリズム」をアップデートする
第6章 ゲームと公平性――社会革新としてのプレイ
1 「運のゲーム」対「技のゲーム」――一九七六年のピンボール
2 ギャンブルとゲームの境界問題――指標としての努力と帰結
3 「公平さ」の複数の原理――技、運、労力
4 ギャンブルの社会批判的性格――メタかアンチかプロトか?
III メディア――コンピュータで遊ぶ/コンピュータを遊ぶ
第7章 プレイヤーとキャラクター――ゲームにおける死の問題
1 ゲームにおける死をめぐる言説
2 大塚英志によるゲーム批判――「ゲーム的リアリズム」論争(I)
3 東浩紀と「ゲーム的リアリズム」――「ゲーム的リアリズム」論争(II)
4 物語のアポリアとしての死
第8章 メタゲーム――自己批評するゲーム
1 メタゲームの批評的ポテンシャル
2 「ゲーム的リアリズム」とメタゲーム
3 メタレプシス――語りの境界侵犯
4 メタコミュニケーション――メタゲームの発生メカニズム
5 メタレプシスの三つのタイプ――ゲームを批評するゲーム(I)
6 虐待的ゲームとミニマリズムゲーム――ゲームを批評するゲーム(II)
7 「ノットゲーム」のリアリティ
第9章 メディアとしてのゲーム
1 マクルーハンとゲーム
2 「再媒介化(リメディエーション)」理論とデジタルゲーム
3 デジタルゲームは何を媒介するか
4 メタゲーム的再媒介化(リメディエーション)――「内爆発」するデジタルゲーム
IV 文化のなかのゲーム――多面化するゲーム研究
第10章 ゲームと音・音楽
1 デジタルゲームにおける音(サウンド)と音楽(ミュージック)
2 「物語世界」としてのダイエジーシス――映画研究と文学研究における展開
3 ゲーム研究におけるダイエジーシス概念の導入
4 ゲーム研究におけるダイエジーシス概念の批判的拡張
5 ダイエジーシス論争を超えて――ゲーム音楽研究の展望
第11章 eスポーツはスポーツなのか
1 「二一世紀のスポーツ」としてのeスポーツ
2 eスポーツ前史(一九七〇年代–八〇年代)
3 対戦型格闘ゲームとeスポーツの成立(一九九〇年代のアーケードゲーム)
4 eスポーツ先進国としての韓国(一九九〇年代のPCゲーム)
5 競技団体と国際連盟の組織化(二〇〇〇年代以降)
6 eスポーツはオリンピック競技になりうるのか?
第12章 ゲームの文化資源学
1 文化資源学にとってのゲーム
2 ゲームとは「システム」である
3 デジタルゲームと非デジタルゲーム
4 デジタルゲームの物質的・形式的特性
5 デジタルゲームの何をどう保存するのか
6 「経験」の保存としてのゲームアーカイブ


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