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認知科学講座3 心と社会

認知科学講座
認知科学講座3 心と社会

A5判 272ページ
価格:3,520円 (消費税:320円)
ISBN978-4-13-015203-7 C3311
奥付の初版発行年月:2022年09月 / 発売日:2022年09月中旬

内容紹介

認知を状況、それを構成する他者、モノとの関係でとらえる

人間は社会という環境への適応を迫られ、その中で認知活動を行い、知性を育んでいる。一方、社会を構築し、変革する主体でもある。認知を個体の頭の中だけではなく、認知が行われる状況、それを構成する他者、モノとの関係でとらえようとする研究のアプローチは極めて多様である。行動実験、脳計測のような実験科学的なものもあれば、状況論、エスノメソドロジー、エスノグラフィーのような社会学由来のもの、さらには身体論をベースにした現象学的なものもある。また学習科学に代表される学びを引き出す環境のデザイン、ロボットなどの人工物との相互作用を通した構成論的アプローチもある。第3巻では、こうした多様なアプローチの成果をまとめ、社会的存在としての人間の姿を描き出す。

著者プロフィール

鈴木 宏昭(スズキ ヒロアキ)

青山学院大学教育人間科学部教授

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

序 関係性の認知科学の多様性(鈴木宏昭)

第1章 社会的認知の発達と可塑性・多様性(千住 淳)
 1 はじめに 
 2 社会的認知の生態学 
 3 社会的認知の発達と可塑性 
 4 社会的認知発達の多様性と自閉スペクトラム症 
 5 おわりに

第2章 認知と感情の文化差(石井敬子)
 1 理論的枠組み 
 2 認知の文化差 
 3 感情の文化差 
 4 洋の東西を超えて──社会生態学的な要因による影響 
 5 今後の展開と可能性

第3章 状況論とポスト状況論
   ──アクター・ネットワーク・セオリーとポスト資本主義の狭間で(香川秀太)
 1 状況論の特徴と変遷 
 2 状況論の多様性 
 3 状況論・ANT とポスト資本主義論との間 
 4 資本主義とポスト資本主義の境界領域の探究へ
 5 おわりに 

第4章 日常生活場面の相互行為分析(高梨克也・坂井田瑠衣)
 1 はじめに──認知科学の対象としての日常生活場面
 2 相互行為分析の基盤──相互志向性
 3 相互行為分析の核心──連鎖分析 
 4 相互行為分析の現在──マルチモーダル分析 
 5 相互行為分析の応用──フィールドワーク
 6 「活動」を推測する──フィールド調査初期のコツ
 7 フィールド調査の方法論としての活動概念 
 8 まとめ 

第5章 協調学習を通した知識の転移(益川弘如)
 1 人と社会の複雑な相互作用の蓄積と知識の転移 
 2 転移の難しさを示した先行研究とそこからの脱却 
 3 長期スパンの学習を踏まえた知識の転移 
 4 学ぶ力を引き出し高める協調学習 
 5 共同体の主体的なアイデア構築の実現 
 6 社会変革を目指す実践学としての展開へ 

第6章 ヒューマンエージェントインタラクションと環境知能(小野哲雄)
 1 HAIとは何か 
 2 HAIの研究方法 
 3 HAIにおけるインタラクションデザイン 
 4 次世代の認知科学へ向けて──HAIからの視点と貢献 
 5 おわりに 

第7章 科学・身体・他者
    ──哲学的観点から見た関係性の認知科学の可能性(長滝祥司)
 1 テオーリア・テクノサイエンス・世界像 
 2 認知科学と客観性 
 3 認知科学とプラークシスの知 
 4 客観的身体と文脈的身体──ターミノロジーをめぐって
 5 状況・意味理解・道徳的行為者


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