量子と非可換のエピステモロジー 数学と物理学における概念と実在
価格:9,350円 (消費税:850円)
ISBN978-4-13-016048-3 C3010
奥付の初版発行年月:2024年04月 / 発売日:2024年04月上旬
20世紀の数学や物理学における概念の生成を、エピステモロジーすなわち科学認識論の系譜にある哲学者の議論から読み解き、場の量子論や非可換幾何学にまで通じる〈科学作品の解釈学的現象学〉を提唱する。科学的対象における概念と実在性の関係を問う大著。
原田 雅樹(ハラダ マサキ)
関西学院大学文学部教授。
1967年生まれ。2005年パリ第7大学(現パリ・ディドロ大学)大学院科学史およびエピステモロジー専攻博士課程修了。博士(科学史・科学哲学)。仙台白百合女子大学准教授、清泉女子大学キリスト教文化研究所教授を経て、2019年より現職。著書はLa Physique au carrefour de l’intuitif et du symbolique, Vrin/Institut Interdisciplinaire des études épistémologiques, 2006(単著)、 伊藤邦武ほか責任編集『世界哲学史 第7巻』(共著、筑摩書房、2020年)など。
目次
序
第Ⅰ部 概念の哲学の系譜――フランス・エピステモロジーの中の数理哲学
第1章 哲学的方法論としての〈概念の哲学〉の導入――カヴァイエス
第2章 代数学における構造と操作性――ヴュイユマン
第3章 数学における操作と対象の双対性、ならびに経験――グランジェ
第Ⅱ部 自然科学の哲学的分析方法論と解釈学的現象学――エピステモロジーとリクール哲学の接続
第4章 純粋現象学から科学作品の現象学へ――リクールの〈三重のミメーシス〉からの接近
第5章 科学の解釈学的現象学の構築――概念生成への問いから実在性への問いへ
第Ⅲ部 量子力学のエピステモロジー――物理的実在性への問いとアナロジー
第6章 場の量子論の科学作品の現象学――量子論における代数的視点と幾何学的視点の干渉
第7章 物理学における反省的方法とエポケー、そして実在性の再把握――科学活動内部の現象学と解釈学
第8章 アナロジーによる物理的概念の運動と生成――量子論の構築におけるアナロジーの媒介機能
第Ⅳ部 非可換幾何学のエピステモロジー――弁証法による数学概念の生成と統一化への運動
第9章 現代数学における領域横断的な理論の発展――作用素環論の場合
第10章 現代幾何学における操作-対象の双対と概念の拡張――リーマン=ロッホの定理からアティヤ=シンガーの指数定理へ
第11章 数学の統一化へ向けての弁証法とアナロジー――A.コンヌの非可換微分幾何学の場合
むすび
Appendix
文献
あとがき
索引