描かれた行列 武士・異国・祭礼
価格:7,480円 (消費税:680円)
ISBN978-4-13-020154-4 C3021
奥付の初版発行年月:2015年10月
江戸に参勤交代する武士の行列が「見せる/見られる」ものとして演出されたものであったことの意味を探り,さらに日本の中世や近代,朝鮮,中国と比較しながら,イメージのなかの行列がいかに継承され,なぜ描かれたのかを,多数の図版を用いて多角的に読み解く.
目次
序章 本書の構成と課題について(久留島浩)
一 本書刊行のきっかけ——国立歴史民俗博物館企画展示『行列にみる近世——武士と異国と祭礼と』——
二 本書の読み方——各章の位置づけと新たな論点について
I 武士たちの行列
1 加賀藩大名行列図屏風(深井甚三)
一 大名行列図の代表
二 行列帳にみる大名行列の構成
三 屏風の描く大名行列
四 冊子から屏風の行列作画へ
2 描かれた「武士の行列」(久留島浩)
一 表象される武士の行列——見える行列・見せる行列
二 行列を「立てる」ということ
三 大名行列の祭礼化,もしくは祭礼行列との類似化
3 大名行列人形の軌跡(岩淵令治)
はじめに
一 「雛形」としての大名行列人形——王の調度品
二 「温古」の見世物——大名登城行列人形
おわりに——大名行列人形の終焉
4 武具からみた行列図(近藤好和)
一 武具の二面性と行列
二 武具からみた『年中行事絵巻』朝勤行幸巻
三 武具からみた『祭礼草紙』
四 近世武家行列図にみえる武具
II 異国の行列
5 朝鮮通信使の江戸城登城・下城行列——狩野益信筆「朝鮮通信使歓待図屏風」を中心に(ロナルド・トビ)
はじめに
一 近世文化としての朝鮮通信使行列
二 行列を組んで動く
三 「歓待図屏風」の行列を読む
むすびにかえて
6 琉球国使節登城行列絵巻を読む(横山 學)
一 琉球国使節の渡来
二 琉球国使節を描いた様々な資料
三 登城行列絵巻
四 慶長から寛文までと宝永・正徳の改変
五 「登城行列絵巻」から読み取れるもの
六 琉球国使節渡来が残したもの
7 オランダ商館長の江戸参府とその行列(松井洋子)
一 「通商」の国と江戸参府
二 描かれた「描かれない行列」
三 「通商の国」の行列
III 祭礼の行列
8 江戸の祭礼行列——麻布氷川祭を中心に(福原敏男)
一 近世行列の権力性
二 江戸の祭礼行列
三 麻布氷川祭
おわりに
9 描かれた天保一〇年春の京都——蝶々踊図の新出作品の紹介を中心に(八反裕太郎)
一 人が踊る,天保一〇年春の京都
二 浮田一蕙——蝶々踊に自ら参加し,その姿を描き留めた絵師
三 島田雅喬と桂青洋の蝶々踊図
四 一酔斎泉蛙——蝶々踊を描く浮世絵師
五 小澤華嶽——蝶々踊図の申し子
六 蝶々踊を描く新出摺物
七 蝶々踊の遠心力
10 近代仙台の渡物と行列(佐藤雅也)
一 問題の所在——祭りの依代と渡物と行列
二 仙台東照宮祭礼の渡物と行列
三 天長節祭礼と皇太神宮祭礼の渡物と行列
四 青葉神社祭礼の渡物と行列
五 招魂祭の渡物と行列
六 仙台開設三百年記念祭の渡物と行列
おわりに
IV 行列の比較
11 東寺本『弘法大師行状絵』の灌頂行列図(藤原重雄)
はじめに
一 宮次男氏による下絵の紹介と近年の研究
二 観智院本『東寺最初具支灌頂記』——より直接的な素材
三 その他の『東寺最初具支灌頂記』写本と「寛信法務記」
四 記録と絵巻との異同
五 行列の舞台
むすびにかえて
12 開港場横浜の祭礼(木下直之)
一 洲干弁天
二 開港一周年
三 祭の担い手
四 どんたく
五 軍楽隊
六 慶応三年の横浜復興
13 一八世紀北京の行列と祝典——万寿盛典における演劇利用について(村上正和)
はじめに
一 康煕帝の万寿盛典と雍正帝
二 十八世紀後半の北京演劇と乾隆帝
三 嘉慶帝による風俗取り締まり
おわりに
14 「班次図」とその周辺——朝鮮時代後期の行列図(六反田豊)
一 前近代朝鮮の行列図と「班次図」
二 「安陵新迎図」——地方官の赴任行列図
三 「班次図」——「儀軌」に附された国家的行事の行列図
四 『園幸乙卯整理儀軌』の「班次図」——正祖の華城行幸行列図
あとがき
執筆者一覧