近代中国財政史 「外省」から「地方」へ
価格:7,480円 (消費税:680円)
ISBN978-4-13-026167-8 C3022
奥付の初版発行年月:2020年09月 / 発売日:2020年09月下旬
清朝末期から中華民国初期における財政政策や予算配分の傾向を分析し,中国における西洋近代的財政制度の受容とその土着化を明らかにする.従来の財政史研究における中央・地方という枠組みをこえて,中央政府・省政府・省議会の三元からなる財政構造を詳解し,近代中国の政治制度の変容を読み解く.
佐藤 淳平(サトウ ジュンペイ)
岡山大学大学院社会文化科学研究科講師
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
序 章 清末民初の財政に対する内在的理解に向けて
1 「外省」の近代的再編
2 清末財政史の概要――先行研究と本書の位置(1)
3 北京政府期財政史の概要――先行研究と本書の位置(2)
4 利用史料
5 構成
第1章 光緒末年以降の清朝における財政集権化
はじめに
1 度支部による財政集権化と他の中央官庁との関係
1)外債の権限
2)在京各衙門の収入の管理
3)布政使司の直轄化
2 督辦塩政処の設置
1)塩運使・塩法道の任命
2)人事権の移譲
3)塩運使・塩法道の勤務評定
4)支出の報告
結論
第2章 宣統年間の予算編成と各省の財政負担
はじめに
1 籌備立憲と清理財政
2 試辦宣統3年予算案の分析
1)各省の歳入と解協款の負担額の関係
2)宣統年間の解協款の執行状況
3 各省の予算に対する異議
1)財政配分に対する異議
2)予算の削減に対する異議
3)諮議局で歳入を審議できないことへの異議
結論
第3章 民国初年袁世凱政権期の予算編成と各省の財政負担
はじめに
1 財政部官制及び予算編成の過程と会計年度
2 各省の歳入に占める解款及び専款の比率
1)国地画分に対する各省の立場の違い
2)国地画分取消後の比率
3 塩務収入の中央財源化が各省に及ぼした影響
結論
第4章 民国8年度予算案の編成と安福国会
はじめに
1 袁世凱政権後の北京政府の財政状況と予算案の編成方針
2 安福国会における予算案の審議と修正案の特徴
1)国家総予算案
2)路電郵航四政特別会計予算案
結論
第5章 経済的先進地域の国家予算と地方予算
――浙江を事例として
はじめに
1 清末財政における国家予算と地方予算の関係
2 北京政府期の地方予算の範囲をめぐる議論
3 浙江省地方財政に対する省議会の監視
4 省憲法制定の動きと財政
結論
第6章 経済的後進地域の国家予算と地方予算
――広西を事例として
はじめに
1 清末の財政状況
2 民国2年度の決算と民国5年度予算の審議
3 清賦問題
4 民国6年度の財政状況
結論
終 章 清末民初の中国における西洋近代的財政制度の受容とその土着化
関連用語
あとがき
The Fiscal History of Modern China:
Changing Central-Provincial Relations in Late Qing and Early Republic
Jumpei SATO