不戦条約 戦後日本の原点
価格:3,850円 (消費税:350円)
ISBN978-4-13-030168-8 C3031
奥付の初版発行年月:2020年03月 / 発売日:2020年03月上旬
「国策手段としての戦争を放棄する」――1928年パリで調印され,世界史上はじめて国家間の戦争が否定された叡知の結晶「不戦条約」.日本国憲法9条の淵源ともされるこの記念碑的な国際条約の成立過程に迫り,米・仏そして日本など関係各国の交錯の立体的な描写を通じて,その全体像を明らかにする.
牧野 雅彦(マキノ マサヒコ)
広島大学法学部教授
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
はじめに――問題の所在
第一章 国際連盟と集団安全保障の原則
軍縮をめぐる構図
エッシャー・プランと一般相互援助条約
ジュネーブ平和議定書の挫折
第二章 ブリアン「戦争違法化」提案の背景
ロカルノ条約とドイツの国際連盟加盟
軍縮と安全保障をめぐるフランスとアメリカの対立
「戦争違法化」の二つの潮流
ブリアン「戦争違法化」の呼びかけ(1927年4月6日)
第三章 フランス・アメリカ恒久友好条約案とその反響
条約提示前の「私設外交」
フランスによる米仏恒久友好条約案の提示
ブリアン提案の反響
1927年9月の国際連盟総会決議
二つの上院決議案
第四章 アメリカ案(多国間戦争放棄条約)の形成
クローデル=キャッスル会談
多国間「戦争放棄」条約案の成立
フランス,多国間条約提案を受諾
第五章 不戦条約の成立
アメリカ側不戦条約案とフランスの対案
ケロッグ国務長官による連盟規約の「公定解釈」
主要国の対応
日本の受諾回答――「自衛権」と対中国政策について
最終条約案の成立
第六章 不戦条約と日本の東アジア外交――内田康哉特使の列強との交渉
中国国民政府の国権回収外交と列国の対応
内田渡欧前の英仏との折衝
英国首脳との会談
米国首脳との会談
第七章 「人民の名において」――不戦条約批准をめぐる経緯
調印前のアメリカとの交渉
「人民の名において」をめぐる国内論争の勃発
美濃部達吉――不戦条約と天皇機関説
帝国議会での討論/解釈宣言と枢密院での審議
アメリカにおける批准の経緯
結 論 不戦条約と戦後世界
不戦条約とは何であったのか
第二次世界大戦後アメリカの選択
核軍縮をめぐる問題
戦後日本の原点