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民法学の法理論民法のかたちを描く

民法のかたちを描く 民法学の法理論

A5判 340ページ
価格:7,150円 (消費税:650円)
ISBN978-4-13-031194-6 C3032
奥付の初版発行年月:2020年02月 / 発売日:2020年02月上旬

内容紹介

日本の民法学を牽引するのみならず,海外との活発な交流を通じて他国にも影響を及ぼしてきた泰斗が纏めた学術論文集.閉塞性を強めている民法学の開放を促すために,現在性を重視する実体法学を法律家に向けて展開するのみならず,長い時間と広い学問的視野のもと,法律家以外も射程に収め,越境する民法学の構築を試みる.

著者プロフィール

大村 敦志(オオムラ アツシ)

学習院大学法科大学院教授

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

第1篇 各論――人と家族の民法

第I部 わたしのかたち

第1章 私権:私権とdroits civils に関する覚書
 はじめに
 1 「市民的権利」としての「私権」
 2 19世紀におけるdroits civils
  2.1 droits civilsに関する説明
  2.2 droits civilsの位置づけ
  2.3 droits civilsの可能性
 3 現代におけるdroits civils
  3.1 民法におけるliberté/égalitéと人格権
  3.2 民法から見たDroit civilとDroit public 
 おわりに

第2章 人格権:「人の法」から見た不法行為法の展開
 はじめに
 1 1980年代後半以降の不法行為判例の具体的展開
  1.1 裁判例の概観
  1.2 裁判例の整理
 2 1980年代後半以降の不法行為法の再解釈
  2.1 権利を創る不法行為法学?
  2.2 不法行為法の再・再構成?
 おわりに

第II部 つながりのかたち

第3章 後見・事務管理:民法における「ともだち」――問題点の整理
 はじめに――「ともだち」への視線
 1 「ともだち」の領分
  1.1 家族法と「ともだち」
  1.2 契約法と「ともだち」
  1.3 不法行為法と「ともだち」
  1.4 団体法・物権法・人格権法と「ともだち」
 2 「ともだち」の意義
  2.1 「ともだち」の特徴
  2.2 「ともだち」の法理
 おわりに――「ともだち」の将来

第4章 親権:親権・懲戒権・監護権――概念整理の試み
 はじめに
 1 親権と居所指定権・懲戒権・職業許可権
  1.1 親権と所有権
  1.2 親権と強制履行
 2 親権と監護権・管理権
  2.1 監護とは何か
  2.2 管理権とは何か
  2.3 財産以外に関する法律行為の代理権
 おわりに

第5章 遺言:身体障害者の財産管理
 1 問題の所在
 2 身体障害者の退場――聾者・唖者・盲者の行為能力
  2.1 準禁治産制度の純化
  2.2 補助・任意後見の創設
 3 身体障害者の再登場――遺言における通訳の問題
  3.1 手話通訳による遺言
  3.2 類似の困難との対比
 4 若干の考察
  4.1 現行法の評価
  4.2 支援のための制度と原理

補論A 婚姻:婚姻法・離婚法――家族法改正提案
 1 総論――改正の方向と提案の概要
  1.1 報告の前提
  1.2 検討対象外とした問題
  1.3 現行法の問題点
  1.4 改正の方向と提案の概要
 2 各論――逐条的な検討
  2.1 夫婦の義務の増補(752条,760条,761条関係)
  2.2 法定財産制の変更(762条)
  2.3 夫婦財産契約の整備(754条,755条~759条関係)
  2.4 離婚・死別による夫婦の財産関係の清算(新設)
  2.5 財産分与・配偶者相続権の変容(786条関係)
 
補論B 内縁:パクスその後――私事と公事の間で
 はじめに
 1 パクス・同性婚とhomoparentalité
  1.1 パクスの現状
  1.2 同性婚への要求
 2 homoparentalitéをめぐる問題状況
  2.1 概観
  2.2 親権
  2.3 親子関係の成立
 3 homoparentalitéに関する考察
  3.1 私事としてのパクス?
  3.2 公事としての親子?
  3.3 同性婚の場合には?
 おわりに――性同一性障害者特例法と嫡出推定

第2篇 総論――人間と制度の民法学

第III部 しくみのかたち

第6章 所有:『「所有権」の誕生』を読む――認識の学としての民法学のために
 はじめに
 1 『「所有権」の誕生』の内的読解――著者の意図を読解する
  1.1 本書の紹介
  1.2 本書の特徴
 2 『「所有権」の誕生』の外的読解――著者の意義を開示する
  2.1 発送源としての人類学
  2.2 認識の学としての民法学
 おわりに

第7章 家族:家族の起源と変遷――問題状況
 はじめに
 1 家族研究の現状――フランス民法学から
  1.1 総論的記述
  1.2 個別テーマに関する記述
 2 家族の起源――非法学の領域から・その1
  2.1 人類学・歴史学
  2.2 霊長類学・発達心理学
  2.3 精神分析――父・母・家族
 3 家族の変遷――非法学の領域から・その2
  3.1 家族論とジェンダー論・フェミニズム
  3.2 社会学――理論と実証
  3.3 権力・ケアと家族政策
  3.4 その他――アジアと住居
 おわりに

補論C 契約:債権法改正の「契約・契約法」観
 はじめに
 1 形態論的な検討
 2 実定法的な検討
  2.1 契約の実体と過程
  2.2 契約法における当事者と裁判官
 3 原理的な検討
  3.1 契約における人間と自然
  3.2 契約による社会
 結語――契約法学の諸相

第IV部 まなざしのかたち

第8章 人間:民法における人間像の更新
 はじめに
 1 中核――日本の実定法(民法)から見た人間像の変化
  1.1 民事責任
  1.2 契約
  1.3 人身・人格
 2 外郭――日本・民法の外から見た人間像の変化
  2.1 フランスの研究から見た人間像の変化
  2.2 隣接領域の研究から見た人間像の変化
 おわりに――民法学の対応

第9章 市民社会:フランスの市民社会と民法・覚書――現代日本の民法学の観点から
 はじめに
 1 日本における研究
  1.1 非実定法領域におけるモデル
  1.2 実定法領域におけるモデル
 2 フランスにおける研究
  2.1 法学領域における研究
  2.2 非法学領域における研究
 おわりに

第10章 制度:損害賠償から制度設計へ――「制度=規範=社会」の基礎理論のために
 はじめに
 1 説明理論としての「制度」論――J.R.サールの所説を中心に
  1.1 サール理論からの示唆
  1.2 実定(民)法学の基礎理論への投影
 2 実践技法としての「制度」論――コントラクト・デザインの哲学
 おわりに――自然法の再編
 
第11章 比較法文化:日本法とブラジル法が出会うとき――民法とグローバリゼーション
 はじめに
 1 東周りと西周り
  1.1 西欧法の東進
  1.2 西欧法の西進
 2 邂逅点――一つの例としての同性婚
 おわりに――終着点からの発信?
 
補論D 社会科学:法社会学への期待と要望――平成一民法学者の観点
 1 資料にそって
  1.1 はじめに
  1.2 回顧――30年間の変化
  1.3 民法学の対応
  1.4 法社会学への期待・要望
 2 資料の外へ
  2.1 法・法学の領分
  2.2 社会・社会学とは何か

あとがきに代えて――「七つのつぶて」とその周辺


DESSINER D'AUTRES VISAGES DU DROIT CIVIL:
Théorie civiliste du droit
Atsushi OMURA


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