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政策史2・1990年代以降最大ドナー日本の登場とその後

日本の開発協力史を問いなおす
最大ドナー日本の登場とその後 政策史2・1990年代以降

A5判 448ページ
価格:5,940円 (消費税:540円)
ISBN978-4-13-034321-3 C3330
奥付の初版発行年月:2022年11月 / 発売日:2022年11月中旬

内容紹介

日本は世界最大のODA供給国となり、インフラ整備、環境問題、民主化支援、平和協力など多岐に渡る援助を展開していた。しかしアジア諸国の成長と中国の台頭、国内から涌き起こる「国益」重視の声などを受け、日本の開発協力政策は新たな局面を迎える。通史編上下巻、完結。

著者プロフィール

下村 恭民(シモムラ ヤスタミ)

法政大学名誉教授

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに 「二つの時代」の物語

序 章 冷戦後の日本の開発協力を考える視座
 第1節 本書が対象とする「二つの時代」 
 第2節 トップドナー時代の開発協力  
 第3節 「黄昏の援助大国」の開発協力  
 第4節 「ポスト援助」の時代の新しい貢献を模索する  
 第5節 政策決定過程の分析枠組  

第1部 トップドナー日本の「国際貢献」努力とその後

第1章 「国際貢献」言説の高まりと「ODA大綱」導入
 第1節 「ODA大綱」を生み出した三つの要因  
 第2節 なぜ「援助基本法」でなく「大綱」だったのか  
 第3節 「大綱」はどのように運用されたのか  
 第4節 「ODA大綱」導入の政策決定過程  
 第5節 まとめ 

第2章 民主化への政策対応
 第1節 冷戦の終結と民主化支援の高まり  
 第2節 民主化支援の政策手段  
 第3節 民主化支援のODA  
 第4節 介入と説得  
 第5節 まとめ 

第3章 「国際平和協力」と「平和構築」──失われた環とその意味
 第1節 平和に貢献する二つの政策手段  
 第2節 日本の国際平和協力の軌跡  
 第3節 日本の平和構築活動の軌跡  
 第4節 東ティモールの事例  
 第5節 アフガニスタンの事例  
 第6節 イラクの事例  
 第7節 まとめ  

第4章 「貧困の主流化」への政策対応
 第1節 独自の「知」を持ちながら禁欲的 
 第2節 貧困への取り組みの歴史  
 第3節 「貧困の主流化」を生み出した要因  
 第4節 日本の政策対応  
 第5節 実践レベルでの貧困緩和支援 
 第6節 まとめ  

第5章 アフリカ支援への取り組み──TICADプロセスの軌跡を中心に
 第1 節 「アフリカ開発会議」の始まりと時代背景  
 第2 節 TICAD以前の対アフリカ協力  
 第3 節 TICAD 1の政策決定過程  
 第4 節 アフリカをめぐる環境変化とTICAD ロセスの開花 
 第5 節 TICADプロセスはアフリカに何を提示したのか 
 第6 節 産業人材育成とカイゼン  
 第7 節 まとめと展望  

第6章 地球環境問題への取り組み──優位性はなぜ失われたのか
 第1節 「環境ODA大国」日本の二つの季節  
 第2節 経験主義的環境協力の強みと限界  
 第3節 国際環境言説と日本の環境協力  
 第4節 経験主義的アプローチの政策決定過程分析  
 第5節 まとめ  

第7章 市民参加の潮流への対応
 第1節 NGOと開発協力政策の関わり  
 第2節 日本の開発協力政策におけるNGO  
 第3節 日本のNGOから見た開発協力政策  
 第4節 「ジュビリー2000」  
 第5節 対決の中に微かな対話の芽吹き  
 第6節 まとめ  

第2部 「複眼」の世界を追求した人々──東アジアの挑戦

第8章 「キングコング対ゴジラ」の政策含意
     ──代替的視点の提示を試みた『東アジアの奇跡』
 第1節 世界銀行と海外経済協力基金の「金利論争」  
 第2節 「構造調整アプローチ」をめぐる世銀と日本  
 第3節 起爆剤としての「OECF オケージョナル・ペーパー」 
 第4節 世界銀行の『東アジアの奇跡』研究  
 第5節 まとめ  

第9章 知的支援の記念碑としての「石川プロジェクト」──その「謎」と政策含意
 第1節 「石川プロジェクト」とは何か  
 第2節 「石川プロジェクト」をめぐる「謎」  
 第3節 解明の試み  
 第4節 1995年のベトナムが「石川プロジェクト」に求めたもの 
 第5節 「石川プロジェクト」と『東アジアの奇跡』の政策決定過程分析  
 第6節 まとめ  

第3部 中国の変容は日本の開発協力に何をもたらしたのか

第10章 中国の潜在力解放に対する協力
 第1節 日中平和友好条約の締結まで  
 第2節 本格始動の時代  
 第3節 国際規範と中国の政治行動のはざま  
 第4節 対中ODAの見直しと終焉  
 第5節 まとめ 

第11章 巨大ドナー中国への対応
 第1節 中国の台頭が開発協力の世界地図を変えた 
 第2節 「再興ドナー」中国の軌跡  
 第3節 「再興ドナー」中国の衝撃  
 第4節 国際開発社会の一員として  
 第5節 中国のライバル・ドナーとして  
 第6節 日中協働の模索  
 第7節 まとめ  

第4部 「黄昏の援助大国」のジレンマ
     ──「良きドナー」のふるまいと「狭い国益」の復活

第12章 援助協調の時代──理念と現実のはざまで
 第1節 援助の有効性と援助協調  
 第2節 援助協調の援助効果への貢献  
 第3節 援助協調による途上国の主体性の向上  
 第4節 援助協調の現実  
 第5節 援助協調の突然の後退とその背景  
 第6節 日本の対応と政策決定過程分析  
 第7節 まとめ  

第13章 「人間の安全保障」の旗の下に
 第1節 「人間の安全保障」の30年を考えるための枠組  
 第2節 日本政府の「人間の安全保障」  
 第3節 日本の「人間の安全保障」推進の政策決定過程  
 第4節 「人間の安全保障」のインパクト  
 第5節 まとめ 

第14章 「狭い国益」の前景化
 第1節 国益論議の変化とその政策含意  
 第2節 「開かれた国益」から「狭い国益」へ  
 第3節 国益重視の「顕示」が意味するもの  
 第4節 潮流変化をもたらした背景要因  
 第5節 「狭い国益」追求の政策手段  
 第6節 「狭い国益」前景化の政策過程分析  
 第7節 まとめ  

終 章 新しい時代の新しい貢献の可能性を探る
パートⅠ 日本の開発協力の歴史とは何だったのか
 第1節 日本の開発協力の軌跡  
 第2節 日本の開発協力の存在理由 
パートⅡ 「ポスト援助」の時代への貢献を求めて
 第3節 「ポスト援助」の時代と日本にとっての新しい機会 
 第4節 新しい貢献の可能性を求めて  
 第5節 新しい時代の制約条件  
 第6節 おわりに 

あとがき


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