世界万国の平和を期して 安達峰一郎著作選
価格:9,680円 (消費税:880円)
ISBN978-4-13-036270-2 C3031
奥付の初版発行年月:2019年05月 / 発売日:2019年05月下旬
世界を舞台に華々しく活躍した国際人・安達峰一郎(1869-1934)の著作集。日本の国益を代弁する外交官として、のちには世界の平和に尽力する裁判官として、安達は20世紀前半に活躍した日本人の代表的存在であるものの、その著書が刊行されたことはなかった。学術論文や随筆のほか、外交官時代の調書や報告書、捕獲審検所評定官としての調査書や判決、国際連盟総会・理事会参加時の報告書、常設国際司法裁判所裁判官・所長としての報告書や個別意見、さらには重要な書簡なども併せて、一冊に纏め初の著作集として刊行する。加えて個々の資料を的確に位置づけるふたつの解題(柳原正治/三牧聖子著)を付すことにより、“国宝”(新渡戸稲造)とまで称されたその真の姿が明らかになろう。
安達 峰一郎(アダチ ミネイチロウ)
1869年山形県生まれ。1882年山形師範学校中等部入学、1892年帝国大学法科大学法律学科卒業・外務省入省、1913年メキシコ公使、1917年ベルギー公使、1921年同大使・国際連盟総会日本代表(1929年まで)、1925年帝国学士院会員、1927年フランス大使、1931年常設国際司法裁判所所長、1934年アムステルダムにて永眠(1935年オランダ国・常設国際司法裁判所合同葬)。
柳原 正治(ヤナギハラ マサハル)
1952年生まれ。1981年東京大学大学院法学政治学研究科博士課程修了。法学博士。現在、放送大学教養学部教授。〔主要著作〕『ヴォルフの国際法理論』(有斐閣、1998年、安達峰一郎記念賞受賞)、『グロティウス 人と思想[新装版]』(清水書院、2014年)。
三牧 聖子(ミマキ セイコ)
1981年生まれ。2010年東京大学大学院総合文化研究科博士課程単位取得満期退学。博士(学術)。現在、高崎経済大学経済学部准教授。〔主要著作〕『戦争違法化運動の時代――「危機の20年」のアメリカ国際関係思想』(名古屋大学出版会、2014年、アメリカ学会清水博賞受賞)、『歴史の中のアジア地域統合』(共編著、勁草書房、2012年)。
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
第一章 法学・国際法学の研究
第二章 外務官僚・外交官
一 駐伊臨時代理公使
二 アジアの諸地域を含む植民地をめぐる状況
三 ポーツマス講和会議
四 横須賀捕獲審検所評定官
五 ロシア接伴報告書
六 メキシコ革命
七 ベルギー国の状況
八 フランス国の状況
第三章 国際連盟と世界情勢
一 パリ講和会議
二 国際連盟での報告
三 戦争損害賠償
四 ジュネーヴ議定書
五 万国国際法学会
六 戦争違法化への流れ
七 大戦後の外交と国際連盟の役割――1930年帰国時の講演
第四章 常設国際司法裁判所
一 常設国際司法裁判所の創設
二 常設国際司法裁判所への期待
三 常設国際司法裁判所裁判官選挙
四 常設国際司法裁判所所長として
五 常設国際司法裁判所命令・勧告的意見に対する反対意見
六 満州事変
七 日本の連盟脱退と常設国際司法裁判所
八 常設国際司法裁判所改革
第五章 随筆・小論など
[解題]
萬邦の平和と安達峰一郎(柳原正治)
安達峰一郎の国際協調外交――新時代の「国益」の模索(三牧聖子)
Peace Among All Nations:
A Collection of Mineitciro Adatci's Writings
Mineitciro ADATCI, Author
Masaharu YANAGIHARA, Editor