日本経済の発展と財閥本社 持株会社と内部資本市場
価格:6,600円 (消費税:600円)
ISBN978-4-13-040289-7 C3033
奥付の初版発行年月:2020年02月 / 発売日:2020年02月下旬
明治から第二次世界大戦後にかけて,三井・三菱・住友を対象に,財閥組織の発展過程を解明する.政商を起源として経営多角化を果たし,昭和恐慌期にその地位を高めることになった三大財閥本社の機能に着目し,金融資産操作による内部資本市場の歴史的意義を明らかにする.
武田 晴人(タケダ ハルヒト)
東京大学名誉教授
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
序 章 本書の課題
一 課題の設定
ニ 研究史をいかに継承するか
1 金融資本概念適用の問題点
2 コンツェルンの形成と社会的資金動員
3 財閥の定義
4 総有制という特質と専門経営者
第1章 明治後半期――多角的事業の定着とコンツェルン組織の形成
はじめに
一 日清・日露戦後経営と事業の多角化
1 明治後半期の日本経済
2 銀行経営の近代化――主要事業基盤(1)
3 鉱山業――主要事業基盤(2)
4 多角化政策の成果
5 三大財閥の位置
二 組織改革の進展
1 同族との関係
2 「分散的」組織状況
第2章 第一次大戦期――持株会社の設立とコンツェルン化
はじめに
一 第一次大戦期の経済拡大
二 コンツェルン化の経済的意義
1 「家業」の分離
2 「法人成り」の進展
3 三井財閥のコンツェルン化
4 三菱財閥のコンツェルン化
5 住友合資会社の設立
三 傘下事業の展開と「二流財閥」
1 競争構造の流動化
2 「二流財閥」の挫折
第3章 世界大恐慌期――独占体制の展開と財閥組織の変容
はじめに
一 独占組織の展開
1 カルテル活動の定着
2 独占組織の再編強化と重要産業統制法
3 企業合同の進展
二 財閥資本の展開
1 分権化の進展
2 自己金融化と金融市場
3 株式公開と「財閥の転向」
第4章 戦時体制から財閥解体へ――必要資金の増大と本社改組
はじめに
一 戦時「機械工業化」と財閥
1 三大財閥の位置
2 重化学工業投資の進展
3 払込資本金の調達
4 銀行借入れの増大
5 株式の売却と本社収益力の低下
二 財閥本社の改組
1 戦時増税と改組問題
2 本社活動の制約
三 財閥解体
1 解体措置
2 解体の歴史的位置
第5章 財閥の企業統治と内部資本市場
はじめに
一 財閥系企業の位置
1 戦間期における大企業の構成
2 大企業の株主
二 財閥組織の特質
1 株式保有
2 同族と持株会社の関係
3 持株会社・子会社関係の枠組み
4 本社・子会社関係の調整
5 調整に影響を及ぼす外的環境
三 内部資本市場の機能
1 財閥の自己金融
2 第一次世界大戦期の大幅増資
3 戦間期の株式公開
4 戦間期の所有株式売却
四 小括
終 章 財閥本社の機能と内部資本市場
一 歴史のなかの財閥
ニ 財閥における出資の特異性と資本市場
三 本社の権限と機能
四 内部資本市場の機能
五 統轄機能の「空洞化」と資金配分
Japanese Zaibatsu Holding Company in the Historical Perspective:
The Head Office Functions and Internal Capital Market
Haruhito TAKEDA