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近代日本精神史から読み解く国民国家とは何か

国民国家とは何か 近代日本精神史から読み解く

A5判 448ページ
価格:8,580円 (消費税:780円)
ISBN978-4-13-040311-5 C3033
奥付の初版発行年月:2023年03月 / 発売日:2023年03月中旬

内容紹介

国民国家の形成過程において社会の思想的・規範的基盤がいかなる作用を及ぼしたか、また、その動的過程とその帰結において、制度や理念にいかなる変質が生じ、いかなる形で前代の思想的遺産が保存・継承されたのか。近代日本の精神史を丹念に追い、国民国家の基底となる思想の核心をつかむ。

 

 

著者プロフィール

常木 淳(ツネキ アツシ)

日本大学経済学部教授。
1959年生まれ。東京大学大学院経済学研究科博士課程中退、ブリティッシュ・コロンビア大学Ph.D.(経済学)。成蹊大学経済学部助教授、大阪大学社会経済研究所教授を経て現職。専門は厚生経済学、公共経済学、法と経済学、政治・社会思想史など。著書として、『費用便益分析の基礎』(東京大学出版会、2000年)、『公共経済学 第2版』(新世社、2002年)、『法理学と経済学――規範的「法と経済学」の再定位』(勁草書房、2008年)、『「法と経済学」による公共政策分析』(岩波書店、2012年)、『法律家をめざす人のための経済学』(岩波書店、2015年)などがある。

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

まえがき

プロローグ――国民国家とは何か
1.個人と国家
2.近代世界の基本単位としての国民国家
3.問題を定式化する
4.政体変動について
5.近代日本政治思想の分析への視座

第1章 国体思想の構造――中華・日本・西欧
1.はじめに
2.日本の近世社会
3.近世日本の政治社会思想
4.幕末期における後期水戸学の展開
5.近代西欧における政治的自由と経済発展
6.〈近代日本〉の特殊性
7.〈近代日本思想〉の運命

第2章 明治立憲体制の確立
1.はじめに
2.国民国家・自由主義・民主主義
3.福沢諭吉の登場
4.「国権」と「民権」
5.明治憲法の思想――天皇と臣民
6.立憲政体主義と家族国家観
7.明治前期における思想の布置状況

第3章 明治立憲国家の完成と個人主義の誕生
1.はじめに
2.国家主義の展開
3.社会主義思想の成立
4.近代日本文学と個人主義の誕生
5.明治後期における思想の布置状況

第4章 思想史としての大正
1.はじめに
2.封建勢力対市民勢力? 「右」対「左」?――再度、歴史の見方について
3.大正デモクラシーの思想的基礎
4.大正期社会主義思想の展開
5.大正期ナショナリズムの展開
6.大正教養派の思想
7.大正期における思想の布置状況

第5章 「超国家主義」から「世界史の哲学」へ――戦前昭和思想の位相
1.はじめに――戦前昭和期の時代区分と思想的変遷の概観
2.第Ⅰ期の政治過程
3.第Ⅱ期の政治と思想
4.デモクラシーの抵抗と終焉
5.戦時と思想
6.京都学派と戦中思想

第6章 敗戦・占領・講和――何が変わり、何が変わらなかったのか
1.はじめに
2.占領軍改革期における日本の政治と思想
3.丸山眞男の「日本ファシズム」論
4.坂口安吾の「堕落論」――国民国家と人間の自由
5.「逆コース」から講和へ

エピローグ――戦後思想の空間
1.「55年体制」の成立
2.「吉田ドクトリン」による戦後「顕教―密教体系」の確立
3.反体制運動とその帰結
4.「戦後レジームの総決算」と日本社会の保守化
5.近代日本精神史とは何であったか
6.現代日本の思想動向
7.終わりに


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