トランプ財政とアメリカ第一主義
価格:4,950円 (消費税:450円)
ISBN978-4-13-040313-9 C3033
奥付の初版発行年月:2023年08月 / 発売日:2023年08月下旬
トランプ共和党政権の「アメリカ第一主義」政策と、その原点となったアメリカ経済社会の惨状という視角から、トランプ時代の財政と経済政策を考察する。トランプ財政の本質を、世界とアメリカ経済社会の構造変化という視野の中で見極めることを目的とする。
渋谷 博史(シブヤ ヒロシ)
東京大学名誉教授
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
はしがき
序章 トランプの「アメリカ第一主義」政策と経済社会
1.「アメリカ第一主義」政策の論理
1.1 2017年1月20日の就任演説
1.2 2017年の年頭教書
2.経済構造と格差――就業構造と賃金
3.アメリカの「惨状」と「痛み」とJob理念
[column1:GM社の破綻と再生]
4.本書の構成
補論1 トランプ時代の世界構造
補論2 移民の現状
第1章 トランプ減税の理念――Job創出と公平性
1.トランプ共和党政権による退任時の総括
[column2:20世紀アメリカ財政史と「サプライサイダー」的減税]
2.レーガン税制改革の教訓――2015年議会公聴会
3.サプライサイダー的な議論――2016年議会公聴会
4.国際課税の論点――2016年議会公聴会
5.サプライサイダー的Job創出――2017年議会公聴会
6.国際課税の改革――2017年議会公聴会
第2章 トランプ税制の構造――主要規定と減税効果
1.2017年TCJAの基本構造
[column3:連邦税制の基本]
1.1 個人所得税
1.2 法人所得税
1.3 国際課税
2.減税効果――2019年と2016年の租税統計
2.1 個人所得税――減税と累進性
2.2 法人所得税――課税の集中と減税効果の広がり
3.保守派とリベラル派の論争と調和点の模索――2019年議会公聴会
補論3 2019年における個人所得税の課税状況の詳細
補論4 2016年における個人所得税の課税状況の詳細
第3章 トランプ財政の構造――軍拡と連邦債利子と「小さな政府」
1.2017~19年度のトランプ財政
1.1 財政赤字の大幅化
1.2 財政収入の構造――抑制的な増収と企業減税
1.3 財政支出の構造――抑制的軍拡と純利子の突出と「小さな政府」の「硬い骨格」
2.「アメリカ第一主義」政策と国家安全保障――ポスト冷戦期の軍事大国
2.1 2017年12月の『国家安全保障戦略』
[column4:トランプとNATO]
2.2 軍事財政の基本構造
[column5:2019年度の主要兵器の購入実績]
2.3 2020年議会公聴会――軍縮基調と軍備再編
3.純利子と信託基金
[column6:連邦基金と信託基金]
[column7:社会保障年金における「制度の老化」]
4.「小さな政府」の「硬い骨格」
第4章 アメリカ型福祉国家――「小さな政府」の「硬い骨格」
1.社会保障年金
[column8:社会保障年金の給付額の算定]
[column9:SSI(補足所得保障)]
2.メディケア
3.メディケイド
[column10:メディケイドにおける州・連邦関係とエンタイトルメント制度]
[column11:メディケイドの制度設計]
4.貧困・低所得層への食糧支援・公的扶助
[column12:EITCの算定方式と還付金]
5.2016年議会公聴会――「小さな政府」論と「大きな政府」論
第5章 コロナ危機対策――成長軌道回帰への臨時的救済策
1.コロナ危機のインパクトとV字回復
[column13:連邦政府の感染症対策]
2.財政支出の急増
3.Paycheck Protection Program(PPP)融資
[column14:PPP融資の仕組みと運用]
4.PPP融資の議会公聴会
5.災害救済経済支援(EIDL)
6.失業給付の拡充策
[column15:失業保険の基本的な仕組み]
7.失業給付拡充策の議会公聴会
8.公的扶助と保健・医療――衝撃緩和的な危機対策
8.1 EPI給付(緊急経済支援)
8.2 医療・保健分野の支援
9.次の研究課題――新段階のアメリカ型福祉国家システムの起点?
補論5 教育支援と州・地方財政支援
終章 「アメリカ第一主義」政策の背後にある人間社会と資本主義的市場経済
あとがき