日本のテレビ・ドキュメンタリー
価格:3,300円 (消費税:300円)
ISBN978-4-13-050201-6 C3036
奥付の初版発行年月:2020年06月 / 発売日:2020年06月中旬
『日本の素顔』を作った吉田直哉から,現在では映画監督として活躍する是枝裕和まで,テレビ・ドキュメンタリー番組の制作者たちはどのように時代と格闘し,日本社会を描いてきたのか.戦後日本社会を記録した代表的なテレビ・ドキュメンタリーの変遷をたどる.著者初の単著.
丹羽 美之(ニワ ヨシユキ)
東京大学大学院情報学環准教授
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
はじめに
第1章 テレビ・アーカイブの扉を開く
1 テレビ研究の貧困
2 はじまったアーカイブ研究
3 広がるアーカイブ研究
4 民放もアーカイブの公開を
5 過去を見つめ,未来をつくる
第2章 記録映画との訣別──吉田直哉と『日本の素顔』
1 録音構成からフィルム構成へ
2 記録映画との訣別
3 『日本人と次郎長』
4 偽装と素顔
第3章 人間くさいドキュメンタリー──牛山純一と『ノンフィクション劇場』
1 星の時間
2 日本テレビの第一期生として
3 『ノンフィクション劇場』の署名性
4 『ベトナム海兵大隊戦記』放送中止事件
5 テレビ民族誌『すばらしい世界旅行』
6 テレビに見た「夢」
第4章 お前はただの現在にすぎない──萩元晴彦・村木良彦と『あなたは…』
1 物語としてのテレビ
2 劇映画的手法を超えて
3 中継の思想
4 問いかけとしての『あなたは…』
5 コラージュとしての『わたしのトウィギー』
6 テレビの一九六八年
第5章 カメラとマイクという凶器──田原総一朗と『ドキュメンタリー青春』
1 テレビの青春時代
2 『ドキュメンタリー青春』
3 決死の「殴り込みコンサート」
4 若者,ジャズ,テレビ
5 テレビの自己批判
6 『朝まで生テレビ!』へ
第6章 ドキュメンタリーは創作である──木村栄文と『あいラブ優ちゃん』
1 自由奔放,変幻自在な作風
2 公害告発ではなかった『苦海浄土』
3 『筑豊の海原』の苦い経験
4 モヤモヤを吹っ切った『まっくら』
5 プライベート・フィルムとしての『あいラブ優ちゃん』
6 美しくて,哀しいものを描きたい
第7章 真夜中のジャーナリズム──磯野恭子と『NNNドキュメント』
1 ドキュメンタリー冬の時代に
2 ポスト成長期の自画像
3 鳥瞰図よりも虫瞰図
4 女性ディレクターの草分け,磯野恭子
5 ローカル発,全国へ
6 再生に挑む人々
第8章 固定しない精神で──是枝裕和と『NONFIX』
1 プロダクションの作り手たち
2 原点となった『しかし……』
3 ドキュメンタリーの再定義
4 「放送禁止歌」を放送する
5 記憶と忘却
6 テレビは終わらない
第9章 東日本大震災を記憶する──震災ドキュメンタリー論
1 ニュースの忘れ物
2 想定外の記録
3 記者たちの戸惑い
4 被災者に寄り添う
5 巨大津波の教訓
6 原発事故への問い
7 復興への道のり
8 ジャーナリズムの再起動