児童相談所の役割と課題 ケース記録から読み解く支援・連携・協働
価格:4,840円 (消費税:440円)
ISBN978-4-13-051146-9 C3036
奥付の初版発行年月:2020年04月 / 発売日:2020年04月上旬
児童虐待への社会的関心が非常に高まっている中で,どのような対応策が求められているのだろうか.児童相談所が保管する虐待相談記録をもとに,さまざまな領域の研究者が分析して,現場との橋渡しをおこなう.そのうえで,多職種連携のあり方や制度的基盤の改善策を提示する.
遠藤 久夫(エンドウ ヒサオ)
国立社会保障・人口問題研究所所長
野田 正人(ノダ マサト)
立命館大学産業社会学部教授
藤間 公太(トウマ コウタ)
国立社会保障・人口問題研究所社会保障応用分析研究部室長
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
はしがき(遠藤久夫)
序 章 児童虐待をめぐる動向と今日的課題(野田正人・藤間公太)
1 児童虐待への社会的関心の高まり
2 児童虐待対応をめぐる論点
3 学術的課題と本書の位置づけ
4 各章紹介
第I部 児童保護所における親子分離の実態
第1章 児童相談所に求められる親子分離の機能と手続き(野田正人)
1 親子分離をめぐる潮流
2 児童相談所の親子分離機能
3 施設措置や里親委託など
4 28条審判の申立て
5 親権の喪失や停止について
6 一時保護の意味
7 一時保護の運用
8 不服申立て制度
9 おわりに
第2章 一時保護後の親子分離を規定する要因――数量化した虐待相談記録とヒアリングデータを用いた考察(藤間公太・余田翔平)
1 問題の所在
2 先行研究
3 データと方法
4 ロジットモデルの結果とその解釈
5 児童相談所職員による解釈
6 結論
第3章 性的虐待ケースにおける親子分離の発生条件――csQCAによる検討(藤間公太・余田翔平)
1 問題の所在
2 先行研究
3 分析方法
4 分析結果
5 考察と結論
第4章 児童相談所の家庭復帰の可否はいかにして判断されるのか?――手探りの安全と保護者との対立(山口季音)
1 はじめに
2 児童相談所の保護者との関係と保護者理解
3 データとなる相談記録
4 児童相談所にとっての「安全」
5 職員と保護者の間にある「ズレ」――安全な日常をめぐる保護者の方略
6 おわりに
第5章 子どもの家庭からの切り離しへの抵抗とその無効化――社会問題のワークとしての児童相談業務 (松木洋人)
1 はじめに
2 社会問題のワークとしての児童相談業務
3 子どもの家庭からの切り離しと親としての資格の問題化
4 親によるクライアント・ワークと虐待の宙づり・格下げ
5 おわりに
第II部 関係機関との連携
第6章 幼稚園・保育所等との連携の様相――「見守り」における困難と課題(坪井 瞳)
1 はじめに
2 児童相談所ケース記録にみる幼稚園・保育所等と児童相談所とのかかわりの様相
3 児童相談所と幼稚園・保育所等との連携・協働における困難――「見守り」というマジックワード
4 おわりに――機関同士のよりよい連携・協働に向けて
第7章 虐待相談記録にみる児童相談所と学校との連携(西本佳代)
1 はじめに
2 学校と虐待防止
3 分析の方法
4 虐待相談記録データの分析
5 おわりに
第8章 ケース記録における経済状況の記載の詳細化について――児童相談所と市町村の連携の視点から(泉田信行)
1 はじめに
2 分析方法とデータ
3 結果
4 考察・結論
第9章 施設職員の視点からみた連携の課題(原田旬哉)
1 社会状況の変化にともなう児童相談所の役割と,関係機関との連携の重要性
2 連携のための「感度」の重要性
3 事例から考える
4 「感度」の機能が妨げられる背景
5 今後に向けた提案
終 章 今後の児童虐待対応に向けて(藤間公太)
1 親子分離をめぐる現場のジレンマと連携をめぐる困難
2 政策的課題
3 学術的課題
Roles and Issues of Child Guidance Centers in Japan:
Analysis of Support, Cooperation and Collaboration
Based on Abuse Couseling Record Documents
Hisao ENDO, Masato NODA, and Kota TOMA, Supervisor
National Institute of Population and Social Security Research, Editor