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日本近代大学史

日本近代大学史

A5判 512ページ
価格:7,260円 (消費税:660円)
ISBN978-4-13-051349-4 C3037
奥付の初版発行年月:2020年06月 / 発売日:2020年06月中旬

内容紹介

明治期の近代的大学の移入も戦後教育改革も,欧米の単純な引き写しではなかった.激変する時代・社会にあわせ日本の高等教育,研究,そして大学の自治を模索した試みは,それゆえに複雑な力学を内在させ,21世紀の今日なお,日本社会の変化とともに大学の動揺は続く.第一人者が一貫した視点で活写する待望の通史.

著者プロフィール

寺﨑 昌男(テラサキ マサオ)

東京大学名誉教授/立教大学名誉教授/桜美林大学名誉教授

上記内容は本書刊行時のものです。

目次

はじめに

第一部 戦前編

概説

第一章 移入と模索の時代
     維新直後の「大学」と高等教育
     地方の高等教育機関
     分岐点としての「大学規則」
     「学制」の発布と大学
     「外国人教師による高等教育」の構想
     学監D・モルレーを通じての欧米大学情報
     文部省が獲得した海外大学情報
     大学と地域との関係
     「日本の大学」というシンボル――千葉国府台大学校建設計画
     さまざまな官立学校
     東京大学の創立
     東京大学の10年
     教育令とその改正
     元老院会議の大学論
     国家と大学との関連――政策と論議
     ドイツ学の振興と伊藤博文の憲法調査
     憲法調査と「官」による大学建設の動き
     府県立・私立専門学校の普及
     「大学」のイメージ,東京大学と他校との差別化
     外国人教師たちの教育努力と貢献
     地質学者ナウマンの例
     大学における外国語の問題

第二章 設計と整備の時代
     「帝国大学令」の公布と東京大学の改組再編
     もう一つの帝国大学像――別案が語るもの
     帝国大学モデル考
     大学予備教育の整備と実況
     学位制度と大学院
     無視された「聖喩記」――大学と徳育の関係
     帝国大学法科大学の私立法律学校監督
     高等文官試験および外国人教師のこと   
     帝国大学への批判
     初期の学制改革論における大学
     文相・井上毅と帝国大学制度の改革
     継承された国家原理,そして森との相違
     講座制の導入
     大臣による学問査定と基礎学・応用学の評価
     大学自治への理解と法制研究
     高等教育における大学――その将来像
     帝国大学改編構想
     井上が残した課題

第三章 高等教育の展開と大学論・自治論の時代
     高等教育の状況
     京都帝国大学の発足
     女子大学の源流
     専門学校令
     専門学校令下の「大学」の発足
     高根義人のドイツ・フランス大学比較論
     外山正一の総合大学論と高等教育拡張論
     加藤弘之の「大学の大学たる所以」
     菊池大麓の学芸大学論
     沢柳政太郎の大学教授論
     東京帝国大学戸水事件と大学自治論の展開
     社会的・政治的意見発表の自由
     「国家」と「政府」の区別
     行政官と大学教授
     大学における教授・学習の定型と成績評価
     日露戦争後の学制改革問題と大学
     帝国大学の増設と特別会計制度・演習林
 
第四章 改革と公・私立大学出現の時代
     浮上した改革課題
     二つの舞台――教育調査会と臨時教育会議
     国家原理と大学における倫理教育
     天皇行幸と博士学位問題
     公立・私立大学制度の承認
     総合大学・単科大学論
     大学の「研究」「学習」への着目と学生観
     「法科偏重」への批判
     女性と大学との関係をめぐって
     科学技術の変化と大学論議
     学位制度改革と新しい「博士」の創出
 
第五章 高等教育拡張と不況の時代
     高等教育機関拡張計画と実施
     公・私立設置認可制度と審査機関
     大学令公布と帝国大学
     官立単科大学の開設
     府県立大学の設置と大阪市立商科大学の開設
     私学の昇格動向と問題
     職員・教員による大学イメージの追求と改革運動
     植民地の大学
     建国大学と東亜同文書院大学

第六章 戦時下と崩壊の時代
     1910-20年代の大学改革
     高等教育機関の多層化・多様化――20年後の構成
     マルクス主義の普及と新しい大学論
     思想善導方策と学生思想問題調査
     京都帝国大学・滝川事件と荒木文部大臣の人事制度改革要求,そして「平賀粛学」
     学問統制の新しいかたち
     右翼勢力からの大学批判
     教育審議会審議の中の大学
     女子大学創設の提言
     「科学戦」の要請と大学
     科学研究の振興と附置研究所の拡大
     日本諸学振興委員会の組織化
     大学教育と「錬成」
     勤労動員と学徒出陣
     ドイツ大学論はどのように紹介されたか
     小壮学者たちの訳業

第二部 戦後編

概説

第七章 改革構想と設計の時代
     敗戦直後の大学
     禁止的措置の時代
     学園民主化要求と「信教の自由」指令
     「女子教育刷新要綱」
     第一次アメリカ教育使節団報告書とアカデミックフリーダム
     私学大学人たちの帝国大学批判意見書
     報告書第6章「高等教育」の大学論
     永続的影響力を持った勧告
     設置認可基準の制定と協会の設立
     「シカゴ大学の成果」
     1946年――大学と教育の激動
     教育刷新委員会の出発
     学校制度の改革決議
     背後の諸論点

第八章 改革構想結実の時代
     大学基準協会の始源
     大学基準の制定から協会創立へ
     大学基準の趣旨,大学基準協会の位置と理念
     大学設置委員会の組織化と大学基準の法的位置
     学校教育法の大学関係規定
     大学基準協会・文部省間の関係
     新制国立大学の設置原則
     国立大学再編の「実施要領」
     新制大学院の制度構想
     大学院の独立性・中間学位・単位制
     大学院に対する文部省と教育刷新委員会の対応
     論文博士問題
     短期大学問題の浮上
     大学への社会的ニーズ
     地域のニーズと大学
     大学の創立・行政・運営と地域
     大学理事会法案問題
     大学と地方・地域の問題をどう見るか

第九章 四年制大学・短期大学・大学院出発の時代
     四年制12大学の発足
     新しい事態の浮上
     さまざまな葛藤
     短期大学の発足と理念・特徴
     大学院の出発
     大学改革の中の女性の位置
     単位制度の全面的導入
     単位・制度への期待
     保健体育の必修化
     一般教育の導入
     「大学設置基準」」づくりと一般教育
     占領軍担当者たちの啓発的講演
     大学基準協会の活動
     南原繁・上原專祿・和田小六の一般教育論
     一般教育課程運営の困難と苦悩
     新制大学に関する緒論
     文部省の新制大学案内

第10章 新制大学の拡大と紛争の時代
     旧制公立高等教育機関の統廃合
     私立大学の場合
     1950年代から60年代半ばの大学
     産業界の大学教育要求
     大学管理法問題
     大学拡大の進行
     国立大学間の格差と固定化
     学科新増設と卒業生の進路動向
     大学紛争の始まり
     紛争の大規模化
     紛争の背景と特徴
     その後の経過と終焉
     「大学種別」の答申
     「新構想大学」の発足と筑波大学の創設
     能力開発研究所テストと共通入試の始動

第11章 規制緩和とグローバリゼーションの時代
     臨時教育審議会と高等教育改革論論議
     大学設置基準の大綱化
     学位制度の改革
     自己点検・評価と認証・評価機関の設置
     大綱化の影響
     1990年代における産業界の大学教育意見
     危機感と新しい要求
     国立大学法人化とその影響
     FD・SDの義務化と大学組織の将来
     学部・学科の分化・改称
     グローバル化とそれへの対応


History of Higher Education in Modern Japan
Masao TERASAKI


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