スポーツ栄養学 第2版 科学の基礎から「なぜ?」にこたえる
価格:3,740円 (消費税:340円)
ISBN978-4-13-052708-8 C3075
奥付の初版発行年月:2024年10月 / 発売日:2024年10月上旬
スポーツ選手のパフォーマンスを向上させるための食事摂取法とは? 運動と食事をどのように組み合わせれば、健康の維持増進につながるのか? 好評を博した『スポーツ栄養学』を最新の知見を盛り込み、大幅改訂。新たにビタミン・ミネラルの内容を追加し、より充実した内容とする。
寺田 新(テラダ シン)
東京大学大学院総合文化研究科教授(スポーツ栄養学)
2003年早稲田大学大学院人間科学研究科博士課程修了。博士(人間科学)。ワシントン大学医学部応用生理学教室ポスドク研究員、三共株式会社(第一三共株式会社)研究員、早稲田大学先端科学健康医療融合研究機構講師、日清オイリオグループ株式会社中央研究所主管、東京大学大学院総合文化研究科准教授を経て2023年より現職。主な著書は『スポーツ栄養学』(出版会、2017年)、『スポーツ栄養学最新理論』(編著、市村出版、2020年)、『スポーツ栄養学ハンドブック』(訳、出版会、2021年)、『科学的エビデンスにもとづく100歳まで健康に生きるための25のメソッド』(訳、出版会、2022年)ほか。
目次
目次
第2版 はじめに
はじめに
序章 スポーツ栄養学とは?
パフォーマンスの向上と健康の保持・増進における食事の重要性/スポーツ栄養学に対する間違ったイメージ/スポーツ栄養学に関する知識の必要性/スポーツ栄養学の学問としての魅力
コラム1 日本における「スポーツ栄養学」の現状と課題
第1章 身体組成と体脂肪・脂肪細胞の種類
1.1 肥満の指標と身体組成
肥満を客観的に判断する─―BMI/BMI の限界/身体組成/体脂肪量測定のゴールドスタンダード/体脂肪量の実践的な測定法─―生体電気インピーダンス法/各測定法の精度/競技選手における体重・身体組成の測定意義/競技選手が体重・身体組成を測定する際の注意点/身体障がい者およびパラアスリートにおける体重・身体組成測定の難しさ
1.2 体脂肪の種類
内臓脂肪と皮下脂肪/「貯める」脂肪と「使う」脂肪/第3 の脂肪細胞─―ベージュ脂肪細胞/運動・トレーニングと褐色脂肪細胞,ベージュ脂肪細胞
コラム2 海外遠征と身体組成の変化
第2章 エネルギー消費量と摂取量
2.1 エネルギー消費量
カロリーとは?/運動によるエネルギー消費/3つのエネルギー消費量/基礎代謝量 /食事誘発性熱産生/運動時のエネルギー消費量の測定法/1日全体での総エネルギー消費量・必要量の推定・計算方法
2.2 エネルギー摂取量
エネルギー摂取量・食欲の調節/「腹八分目」で得られる効果─―エネルギー摂取制限と長寿効果/体重や体脂肪量の増減はエネルギーバランスだけで決まるのか?
2.3 減量・ダイエットに対する身体の適応・変化
運動や食事制限を行っても次第に体重が減りにくくなるのはなぜか?/ダイエット後にリバウンドするのはなぜか?/エナジーアベイラビリティ─―正常な生理機能と骨密度を維持するために/REDs の予防および治療のための栄養学的対策/過酷な減量の先にあるもの
コラム3 Holloszy 教授とエネルギー摂取制限
第3章 炭水化物・糖質─―パフォーマンスと健康のための主要栄養素摂取法(その1)
3.1 エネルギー基質としての糖質
「糖類」「糖質」「炭水化物」の違いは?/運動時における糖質の重要性
3.2 パフォーマンス向上のための糖質摂取法
筋グリコーゲン量を高める─―グリコーゲンローディング/運動前の糖質補給に関する注意点/運動後のグリコーゲン回復/運動中の糖質の利用を減らすためには? /持久的トレーニングの効果を高める方法─―Train-Low, Compete-High 法/栄養学的ピリオダイゼーション/超高糖質食による効果/運動・トレーニングと肝・脳グリコーゲン
3.3 炭水化物・糖質と健康
糖尿病の原因は?/運動・栄養による糖尿病予防・改善効果/エクサカインによる効果 /糖質制限食の効果/非糖質系甘味料の影響
3.4 食物繊維と腸内細菌
食物繊維の効果/短鎖脂肪酸の効果/腸内細菌の働き/腸内細菌叢に対する食事の影響/腸内細菌と運動・パフォーマンス
コラム4 研究と現場の乖離を解消するために
第4章 たんぱく質─―パフォーマンスと健康のための主要栄養素摂取法(その2)
4.1 骨格筋とたんぱく質
「たんぱく質」「アミノ酸」「ペプチド」の違いは?/筋肥大のメカニズム/マッスルメモリー/筋力の生理的限界・心理的限界/骨格筋の膨張現象─―パンプアップとは? /たんぱく質の分解と合成─―動的平衡/運動による筋たんぱく質の分解と合成
4.2 たんぱく質の摂取法
たんぱく質の摂取量/良質なたんぱく質とは?/たんぱく質摂取のタイミング/プロテインサプリメントの効果/たんぱく質摂取の効果を高める方法/怪我,筋痛および減量に対するたんぱく質摂取の効果/たんぱく質はできるだけ多く摂取したほうがよいのか?
4.3 たんぱく質摂取に関する最近の話題
高齢者におけるたんぱく質摂取/女性選手におけるたんぱく質・糖質の摂取量/未精製・未加工食品(Whole Foods)の効果/グルテンによる影響/植物性食品と健康・パフォーマンス/時間栄養学・時間運動学と健康・パフォーマンス
コラム5 研究者が提供できる情報
第5 章 脂質─―パフォーマンスと健康のための主要栄養素摂取法(その3)
5.1 脂質に関する基礎知識
「脂肪」「油」「脂」「脂質」の違いは?/脂質のおいしさ/脂肪酸の種類
5.2 脂質摂取と健康
健康に対する飽和脂肪酸の影響/健康に対する一価不飽和脂肪酸の影響/健康に対する多価不飽和脂肪酸の影響/健康に対する中鎖脂肪酸の影響/アルツハイマー型認知症と食事との関係/健康に対するトランス脂肪酸の影響/脂質はどれくらい摂取すべきなのか?
5.3 運動と脂質代謝
運動時における脂質の使われ方/ファットバーニング
5.4 脂質摂取とパフォーマンス
国際的ガイドラインにおける脂質の推奨摂取量/ファットアダプテーションに対する骨格筋の適応/ケトン食によるポジティブな効果/ケトン食によるネガティブな効果 /ケトン食は有効な食事戦略なのか?/ケトン体サプリメントの効果/中程度脂質食=マイルドファットアダプテーションの効果/n-3系脂肪酸とパフォーマンス/中鎖脂肪酸とパフォーマンス
コラム6 トップアスリートの経験談
第6章 運動中の水分摂取法とスポーツドリンクの効果
6.1 発汗作用と体水分・体温調節
1日の水分出納/運動時の体温上昇と体温調節/運動時の発汗量とパフォーマンスへの影響/体水分量を調節するメカニズム/エリートマラソン選手における脱水率とパフォーマンスとの関係/冷却水およびアイススラリーによる効果
6.2 スポーツドリンクの効果
スポーツドリンクの組成/スポーツドリンクに含まれる糖質/新型スポーツドリンクの効果/食事やトレーニングに対する消化管の適応/運動誘発性胃腸症候群/糖質飲料で口をゆすぐ─―マウスリンス/スポーツドリンクの浸透圧─―ハイポトニックvs. アイソトニック
コラム7 牛乳の効果
第7章 パフォーマンス・健康とサプリメント
7.1 サプリメントに関する基礎知識
医薬品と食品・サプリメントの違い/サプリメントの分類
7.2 狭義のサプリメント──ビタミン・ミネラル
エネルギー代謝とビタミン/骨代謝とミネラル・ビタミン/活性酸素・フリーラジカルとビタミン/筋痙攣と電解質
7.3 貧血とミネラル・ビタミン
競技選手における貧血の原因/鉄の必要量および摂取法/鉄代謝に影響を及ぼすその他の要因
7.4 パフォーマンス向上を目的としたサプリメント──エルゴジェニックエイド
エルゴジェニックエイドを活用する際の注意点/サプリメントについてのエビデンス(科学的根拠)/サプリメントの情報源/競技選手がサプリメントを活用する際の心構え
7.5 代表的なエルゴジェニックエイドの効果とその作用機序
クレアチン/カフェイン/重炭酸塩(炭酸水素ナトリウム)
コラム8 食事に関する情報の伝え方・伝わり方
参考文献
索引