雲の物理とエアロゾル 物理と化学の基礎から学ぶ
価格:4,950円 (消費税:450円)
ISBN978-4-13-062731-3 C3044
奥付の初版発行年月:2024年04月 / 発売日:2024年04月下旬
地球の気候・環境に重要な役割を果たしている大気エアロゾルと雲。本書はエアロゾルと雲・降水粒子を、両者に共通した生成・変容過程に注目しつつ物理と化学の基礎から説き起こす。初学者がエアロゾルと雲の重要な諸過程を体系的に理解できる本格的な解説書である。
近藤 豊(コンドウ ユタカ)
国立極地研究所特任教授、東京大学名誉教授
小池 真(コイケ マコト)
東京大学大学院理学系研究科准教授
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
はじめに
第Ⅰ部 エアロゾルの力学
第1章 雲とエアロゾルの重要性と特性
1.1 気候システムにおける役割/1.2 健康・生態系への影響/1.3 エアロゾルの分類と特性/1.4 エアロゾル-気候モデル
第2章 大気の組成と構造
2.1 大気の組成/2.2 温度構造/2.3 気体の状態方程式/2.5 気圧の高度分布/2.6 大気化学反応
第3章 熱力学の第一法則と大気への応用
3.1 熱力学の第一法則/3.2 乾燥大気の温度の高度変化
第4章 気体とエアロゾルの拡散
4.1 気体の特性/4.2 気体成分の拡散/4.3 流体の粘性/4.4 粘性流体の力学/4.5 エアロゾル粒子に働く力/4.6 終端速度/4.7 エアロゾル粒子のブラウン運動/4.8 ブラウン運動による粒子の拡散
第5章 エアロゾルの粒径分布
5.1 粒径分布関数/5.2 数・面積・体積の粒径分布/5.3 平均直径/5.4 粒径分布関数の形/5.5 粒径分布のモーメント
第Ⅱ部 エアロゾルの物理と化学
第6章 鉱物ダスト・海塩粒子・生物起源粒子
6.1 自然起源のエアロゾルと大気境界層/6.2 鉱物ダスト/6.3 海洋性エアロゾル/6.4 生物起源エアロゾル
第7章 エアロゾルの熱力学
7.1 熱力学第二法則/7.2 化学ポテンシャル/7.3 多成分系の相平衡/7.4 1成分系の相平衡/7.5 気体の化学ポテンシャル/7.6 化学平衡/7.7 溶液の化学ポテンシャル/7.8 ラウールの法則とヘンリーの法則/7.9 非理想溶液
第8章 凝縮•凝集による粒子成長
8.1 凝縮によるエアロゾルの成長/8.2 凝集によるエアロゾルの成長/8.3 エアロゾル粒径分布関数の時間変化
第9章 粒子の核生成
9.1 1成分系の均一核生成/9.2 2成分系の均一核生成/9.3 イオンにより誘導される核生成/9.4 3成分系の均一核生成/9.5 新粒子生成
第10章 エアロゾルの化学
10.1 硫酸エアロゾル/10.2 硝酸エアロゾル/10.3 二次有機エアロゾル/10.4 大気中へのVOCの放出/10.5 VOCの気相での酸化によるSOAの生成の概略/10.6 気相でのVOCの酸化過程の詳細/10.7 雲粒子・エアロゾル粒子中でのSOAの生成/10.8 SOAの生成に重要なVOC/10.9 POAとSOA
第Ⅲ部 雲の物理
第11章 雲と降水の形成
11.1 湿潤大気の垂直運動と雲の生成/11.2 雲の生成機構/11.3 雲の分類/11.4 降水を伴う雲のシステム/11.5 雲と降水の微物理過程
第12章 水雲粒子の核生成
12.1 水滴の均一核生成/12.2 水滴の不均一核生成:ケーラー理論/12.3 ケーラー曲線による液滴の挙動の解釈/12.4 雲凝結核と雲粒子の数濃度との対応/12.5 κケーラー理論
第13章 水雲粒子の成長と降水粒子の生成
13.1 単一の水雲粒子の凝結成長/13.2 潜熱放出を考慮した単一の水滴の凝結成長/13.3 雲微物理量/13.4 水雲粒子の凝結成長/13.5 雲微物理量の鉛直構造/13.6 最大過飽和度と雲粒子数濃度の解析的表現/13.7 水滴の落下速度/13.8 水雲粒子の衝突併効率/13.9 確率的衝突併合方程式(SCE)/13.10 衝突併合による水雲粒子の成長と降水粒子の生成/13.11 積雲での降水粒子の生成/13.12 降水粒子の分裂
第14章 氷雲粒子の核生成
14.1 氷結晶の構造/14.2 古典的な核生成理論/14.3 過冷却水中の氷晶の均一核生成/14.4 過冷却水中の固体基板上での氷晶の不均一核生成/14.5 過冷却水中の固体粒子上での氷晶の不均一核生成/14.6 昇華核生成/14.7 氷晶生成のモード/14.8 氷晶核粒子/14.9 氷晶の二次生成
第15章 氷雲の成長と降水
15.1 晶癖/15.2 氷粒子の昇華成長/15.3 WBF 過程と降水/15.4 晶癖の形成/15.5 氷晶の昇華成長と晶癖/15.6 氷粒子の捕捉成長/15.7 雲微物理モデル/15.8 混相雲・氷晶雲の特徴とエアロゾルの影響
第16章 エアロゾルの除去
16.1 エアロゾルのモード/16.2 湿性沈着/16.3 乾性沈着/16.4 エアロゾルの寿命