科学技術社会論の挑戦
科学技術社会論の挑戦3 「つなぐ」「こえる」「動く」の方法論
価格:3,850円 (消費税:350円)
ISBN978-4-13-064313-9 C3340
奥付の初版発行年月:2020年10月 / 発売日:2020年10月下旬
科学技術と社会,研究者と市民の間を「つなぎ」,学問分野や組織の壁を「こえ」,課題を解決し,今後の問題を防ぐために,STSはどう「動く」のか.科学計量学や質的調査,市民ワークショップの手法などさまざまな方法論について,具体例を交えながら紹介する.
藤垣 裕子(フジガキ ユウコ)
東京大学大学院総合文化研究科教授
小林 傳司(コバヤシ タダシ)
大阪大学名誉教授/JST社会技術研究開発センター上席フェロー
塚原 修一(ツカハラ シュウイチ)
関西国際大学教育学部客員教授
平田 光司(ヒラタ コウジ)
高エネルギー加速器研究機構特別教授
中島 秀人(ナカジマ ヒデト)
東京工業大学リベラルアーツ研究教育院教授
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
刊行にあたって(藤垣裕子)
第1章 科学計量学(調 麻佐志)
1.科学計量学とは
1.1 分析単位としての学術論文
1.2 基礎となる構成概念
2.歴史
2.1 誕生
2.2 科学技術指標と研究評価
2.3 科学の科学から政策のための科学へ
2.4 手法の洗練
3.独り歩きする数字
3.1 数字を鵜呑みにする「困った人」たち
3.2 数字に翻弄される科学者
3.3 数字を独り歩きさせない責任?
第2章 先端科学技術の質的研究法(山口富子)
1.先端科学技術への接近法
2.質的研究法とは?
3.研究デザイン
4.科学技術社会論の基本デザイン
4.1 関係性
4.2 意味
4.3 社会構造
5.質的研究の実践
5.1 リサーチクエスチョンの設定
5.2 データの収集
5.3 調査倫理
6.形式知を手がかりとして
第3章 ラボラトリー・スタディーズ(鈴木 舞)
1.科学の中枢
2.ラボのなかへ
2.1 科学的知識への注目
2.2 科学の現場への注目
3.ラボの外へ
3.1 社会の重視
3.2 社会の軽視
4.ラボの新たな姿
4.1 科学鑑定の現場と法
4.2 ラボ概念の転換
5.ラボ研究の今後
第4章 市民参加型ワークショップの設計(八木絵香)
1.科学技術社会論研究とワークショップ
1.1 ワークショップと経験的学習
1.2 ワークショップ理論の体系化
1.3 ワークショップと科学技術社会論研究の接続
1.4 ワークショップの類型と本章のスコープ
2.科学技術社会論の分野における具体的なワークショップの方法論
2.1 科学実験
2.2 科学技術を題材とした演劇ワークショップ
2.3 画像・映像等製作のためのワークショップ
2.4 ICT機材を活用したワークショップ
2.5 シミュレーション&ゲーミングの分野からの展開
2.6 サイエンスカフェの隆興とワークショップ
2.7 その他,ワークショップ全般
3.社会的課題と科学技術コミュニケーション,そしてその後のワークショップ
3.1 東日本大震災および福島第一原子力発電所事故を経て
3.2 「エネルギー・環境に関する国民的議論」
3.3 科学技術コミュニケーションにおける空白領域
4.政策へのインプットを念頭においたワークショップの展開
4.1 ワークショップと政策形成の接続
4.2 対話型パブリックコメントという試み
5.終わりにかえて
第5章 科学技術の人類学――多様化する「科学技術の民族誌」(鈴木和歌奈)
1.民族誌とフェミニスト科学論
2.科学技術と民族誌の転換
3.ANTへのフェミニスト科学論の介入
3.1 スーザン・リー・スターと「知識のエコロジー」
3.2 ダナ・ハラウェイと「物質-記号」
4.科学技術の民族誌の多様な展開
4.1 インフラ研究とケアやメンテナンスの問題
4.2 多種の民族誌
4.3 アンソロポシンへのレスポンス
第6章 科学史とSTSの接点(綾部広則)
1.欧米における科学史の誕生と展開
1.1 科学史のパイオニア――サートン
1.2 外的科学史の誕生――ゲッセン
1.3 内的科学史の誕生――コイレ
1.4 内外の区別を超えて――クーン
2.日本における科学史の誕生と展開
2.1 学会誕生の背景
2.2 学会の誕生
2.3 改革の実際
2.4 アカデミズム化の論理
2.5 アカデミズム化の帰結――社会という“るつぼ”をめぐって
3.STSの誕生と展開
3.1 学問としての科学史への違和感
3.2 欧米におけるSTS誕生の背景
3.3 日本への輸入
3.4 STSの制度化
4.科学史とSTSの接点――STSは科学史から何を学ぶか
第7章 科学哲学の方法(伊勢田哲治)
1.科学哲学の歴史と方法
1.1 論理経験主義期(1920年代~1950年代)
1.2 「新科学哲学」期(1960年代~1970年代)
1.3 科学哲学の産業化(1970年代後半~1980年代)
1.4 個別化と自然化(1990年代以降)
2.STSの成立と発展における科学哲学との関係
2.1 SSK成立における「新科学哲学」の影響
2.2 科学哲学とSSKの対立
3.科学哲学とSTSの協働
3.1 より実り多い交流の可能性
3.2 社会認識論
3.3 社会派科学哲学
4.科学哲学の方法や知見はSTSにとって役立つか
第8章 技術哲学と技術者倫理(直江清隆・金光秀和)
1.問題の所在
2.「新しい」科学技術とSTS
3.米国の伝統
3.1 ウィナーの技術の政治哲学
3.2 フィーンバーグの批判理論
3.3 アイディの媒介論
4.オランダを中心とする伝統
4.1 ポスト現象学の技術哲学
4.2 「価値論的転回」の設定と哲学
5.さらなる課題
6.補節――日本における技術者倫理の展開
6.1 米国における技術者倫理
6.2 日本における技術者倫理導入の背景
6.3 日本における技術者倫理の現状
第9章 科学社会学の方法(定松 淳)
1.本章の問題意識
2.コリンズの「第三の波」
3.ウィンについての批判的再検討
4.「第三の波」を社会の側に展開する
5.科学的内容への踏み込み方
6.STSをより社会科学化するために
第10章 言葉とモノ――STSの基礎理論(福島真人)
1.言葉とモノの間
2.記号は暴走する――反照性の問題
3.STSの両義性
4.「言語のインフレ」抑制政策
5.物質性は新しいテーマか?
6.モノと中範囲
7.第三の軸――プラグマティズム?
8.結語 舞台はめぐる――STSという永劫回帰
The Challenge of STS (Science and Technology Studies / Science, Technology and Society) Vol.3
Methodologies for bridging plural fields and sites
Yuko FUJIGAKI, Editor