建築 未来への遺産
価格:4,180円 (消費税:380円)
ISBN978-4-13-066857-6 C3052
奥付の初版発行年月:2017年06月
稀代の建築史家であり,つねに建築・都市の現在への鋭いまなざしを向け続け,評論の最前線を駆け抜けた故・鈴木博之.最も近しい研究者たちの手により,膨大な既発表テキストから書籍未収録のものを中心に精選し,系統的に集成.その足跡と思想を通観できる一冊.
目次
序(伊藤 毅)
Ⅰ 建築史の方法
1 建築史の存在意義(解題:横手義洋)
歴史は現代建築に必要化
ひずみの少ない社会へ——ネガティブ・フィードバックとネガティブ・ケイパビリティ
2 近代批判から場所論へ(解題:横手義洋)
近代建築の変容——機械の神話から建築の神話へ
建築の神話——消費的創造のモデル
「地霊(ゲニウス・ロキ)」とは
3 保存論を拓く(解題:横手義洋)
都市の未来と都市の中の“過去”
文化財保存における記憶の契機と創造力の契機
Ⅱ 都市・建築へのまなざし
4 郊外住宅と全体性(解題:伊藤 毅)
東京における住宅地開発の比較文化史的研究I——新様式の基礎としての郊外住宅地
東京における住宅地開発の比較文化史的研究II——東京における郊外住宅地の成立
5 西洋建築論(解題:中島智章)
近代が装飾を生むとき——建築史の視点から
細部に神は宿るか
モデュールの思考
建築の価値——強度と耐久性の
西洋建築史という神話
6 近代和風の表現(解題:頴原澄子)
和風への逢着I
和風への逢着II
和風への逢着III
和風への逢着IV
和風の現在
水平な都市と建築のもたらすもの——日本建築と庭園の特質
Ⅲ 建築批評クロニクル
7 1970年代(解題:石山修武)
「列島改造」と地域の文化財
「建築の学校」に参加して——それは夏の楽しみの一つである
8 1980年代(解題:藤森照信)
The Revenge of Mr. Tange
成熟を拒むもの
大序曲1968年
世代的共感というやつ
新東京都庁舎と東京の建築
9 1990年代(解題:安藤忠雄)
不気味な垂直の増殖——東京のイメージを反映
京都駅高層化を危惧——歴史的都市の将来像,欠かせぬ論議
都市構造を完全に凌駕——力の逆転 明示した一年
「文化遺産」は身近にある——“すそ野”の保護こそが急務
戦後建築と大学闘争
「鑑賞対象」にすぎぬ表現——日常生活に根付く実感なし
内向する建物の賑わい——「古都」の環境に危機感じる
破壊を繰り返す歴史——都市から豊かさ失われる
10 2000年代(解題:難波和彦)
建築の21世紀
素材と現場から文化を発信する
建築の文化性
ふたつの建物をめぐる「保存」のゆくえ
耐震というブルータリズム表現
11 2010年代(解題:海老澤模奈人・戸田 穣)
3・11体験記
不可視の都市に
それでも,日本人は「五輪」を選んだ
東京駅保存・復原の歩み
付録 スクリャービン試論(解題:鈴木杜幾子)
跋(横手義洋・中島智章)
初出一覧
Architecture: Heritage for the Future
Hiroyuki SUZUKI, Author
Takeshi ITO, Editor
【解題執筆者】
安藤忠雄(建築家・東京大学名誉教授)
石山修武(建築家・早稲田大学名誉教授)
難波和彦(建築家・東京大学名誉教授)
藤森照信(建築史家・建築家・東京大学名誉教授)
横手義洋(東京電機大学未来科学部准教授)
中島智章(工学院大学建築学部准教授)
頴原澄子(千葉大学大学院工学研究科准教授)
海老澤模奈人(東京工芸大学工学部教授)
戸田 穣(金沢工業大学環境・建築学部講師)
鈴木杜幾子(明治学院大学名誉教授)