歴史の建設 アメリカ近代建築論壇とラスキン受容
価格:6,600円 (消費税:600円)
ISBN978-4-13-066858-3 C3052
奥付の初版発行年月:2019年03月 / 発売日:2019年03月下旬
19世紀から20世紀前半のアメリカ建築界がみせた「ジョン・ラスキン」という問題への異常な執着とは何か.アメリカ建築の出自と伝統を問う熾烈な派闘争のなか,ラスキンの思想がどのように参照され,批判され,忘却され,評価されたのかを綿密に追跡することを通して,近代建築史成立の根幹を描き出した画期的論考.【第8回南原繁記念出版賞受賞作】
江本 弘(エモト ヒロシ)
日本学術振興会特別研究員
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
緒 論 聞き伝えの歴史
第一章 超越的工業――人間が神になりかわるとき
1 プロローグ
2 『建築の七燈』の衝撃
3 ホレーシオ・グリーノウがいた
4 超越的工業
5 「ラスキニアン」という難問
第二章 ラスキンとヴィオレ=ル=デュク――英仏代理戦争の開始点
1 ゴシック・リバイバルの後背
2 ラスキンからヴィオレ=ル=デュクへ
3 ゴシシストの悪人とクラシシストの善人
4 ラスキンとエンジニア美学
5 ギルデッド・エイジの成熟へ
第三章 ゴシック・リバイバルの「二つの道」――建国百年にいたる混迷
1 ジョン・ラスキン行方不知
2 ゴシック・リバイバルの地下水脈
3 建国百年博覧会の精神的意義
第四章 異説クイーン・アン――アメリカ建築の建国零年
1 建国百年博覧会をまたぐ橋
2 アメリカ建築の王道と中道
3 再統合と再分離
第五章 ゴシックの死か再生――さらばラスキンの時代
1 ラスキン受容「第二の泡沫」
2 最後のゴシック・リバイバル?
3 ゴシック的なるものの近代
4 亀裂と決壊
第六章 ラスキンの見えざる牙城――建築史は兵士である
1 世紀末ラスキン・ブームの光と影
2 ゴシック観の変遷とラスキン
3 異説アール・ヌーヴォー
4 クラシシスト史家の煩悶
5 簒奪と再統合
終 章 ティフォンの玉座――アメリカ近代建築史論の成立
1 クラシシズムの保守と前衛
2 「悲劇の人」ラスキンの誕生
3 古層の発掘
4 オーソドックスの神話
エピローグ
HISTORY BUILDS:
American Architecture and John Ruskin 1839-1968
Hiroshi EMOTO