近代天皇制と東京 儀礼空間からみた都市・建築史
価格:7,700円 (消費税:700円)
ISBN978-4-13-066861-3 C3052
奥付の初版発行年月:2020年06月 / 発売日:2020年06月中旬
明治2年の東京奠都(てんと)以降の,国家と天皇に関わる儀礼空間を,式場の建築,敷地全体,行幸啓経路を一体としてとらえ,その全体像を明らかにする.伝統の継承と模倣,創造という観点から,近代天皇制が東京の都市空間の形成に与えた影響を考察する.
長谷川 香(ハセガワ カオリ)
東京理科大学理工学部助教
上記内容は本書刊行時のものです。
目次
はじめに 「土地の記憶」をめぐって
序 章 帝都・東京と儀礼――研究史整理と問題の所在
一 近代天皇制における儀礼の意義
二 近代天皇制と帝都の形成
三 都市的観点からみる東京の儀礼空間
四 建築的観点からみる東京の儀礼空間
五 本書の目的
第一章 儀礼の全体像とその分類――「都市を舞台とする儀礼」の位置付け
一 近代の典憲体制における儀礼と行幸啓
二 儀礼と都市との関係性
三 都市を舞台とする儀礼の範囲
第二章 祝賀儀礼と都市――多様な主体が催す儀礼空間の都市的拡がり
一 各儀礼の会場と行幸啓経路
二 祝賀儀礼の都市的拡がりの変遷
三 おわりに――宮中,政府と市民の意向
第三章 祝賀儀礼の建築――式殿にみる「御殿風」様式の系譜
一 各儀礼の次第と会場計画
二 式殿を中心とした会場計画の成立と標準化
三 「御殿風」様式のイメージ
四 おわりに――儀礼の都市的拡がりと会場計画の関係性
第四章 大喪儀――東京市西部の練兵場・御料地の利用
一 東京市西部の整備
二 各大喪儀の敷地と葬送経路,式場計画
三 大喪儀の儀礼空間の変遷
四 おわりに――「霊域」としての記念性
第五章 軍事儀礼――練兵場と宮城前広場における観兵式
一 練兵場,宮城前広場の整備
二 観兵式の概要と時代区分
三 式の次第と敷地の利用形態
四 行幸啓経路
五 観兵式における儀礼空間の特質
六 おわりに――軍都・東京と練兵場
第六章 明治神宮外苑造営前史における空間構造の変遷――軍事儀礼・日本大博覧会・明治天皇大喪儀
一 軍事儀礼と周辺整備――明治中期から大正初期
二 日本大博覧会構想――明治四〇年代
三 明治天皇大喪儀――大正元年
四 明治神宮造営――大正期
五 儀礼空間としての利用と空間構造の変遷
六 おわりに――明治神宮外苑における「土地の記憶」
結 章 近代天皇制と都市・建築
一 祝賀儀礼・大喪儀・軍事儀礼の都市的拡がりとその変遷
二 儀礼空間の創出と「土地の記憶」の形成
三 今後の課題と展望
四 おわりに――「土地の記憶」の継承
附 録 儀礼一覧
Modern Emperor System and Tokyo:
An Urban and Architecture History Through Ceremonial Space
HASEGAWA,Kaori