内容紹介
奈良時代末に成立した『日本書紀』が簡略化,改編されてきた歴史がもつ意味は何か.歴史書の基本とされつつ,引用が異なるという解釈の現場を資料批判から明らかにする.さらに聖徳太子が成り立ち,要覧である皇代記へと広がる歴史認識の基盤に迫る.
目次
はじめに
I 簡略化される『日本書紀』
一 『革命勘文』の依拠した「日本記」
二 『七代記』と「日本記」
三 『万葉集』巻一、二左注の「日本紀」
四 『扶桑略記』の位置
II 講書のなかの『日本書紀』
一 『日本書紀私記(丁本)』の資料批判
二 「公望私記」と「元慶私記」
三 『釈日本紀』の「私記」
四 承平度講書の「日本」論議
付論 「東海姫氏国」と「野馬台詩」
五 講書と「倭語」の擬制
III「歴史」の基盤
一 「聖徳太子」を成り立たせるもの
二 「皇代記」の世界
IV 付篇
一 『日本書紀纂疏』の基礎的研究
二 『日本書紀』「神代」の章段区分諸説をめぐって——『纂疏』・兼倶・宣覧