高等教育シリーズ142
日本の大学教授市場
価格:6,380円 (消費税:580円)
ISBN978-4-472-40347-7 C3037
奥付の初版発行年月:2007年09月
明治以降、帝国大学や各種エリート養成機関、私学が設立され、高等教育システムが整備されていくなかで、大学教授の市場はどのように発展していったのか。大学教授市場の歴史と現在を多角的に考察し、国際社会に通用する流動性のある市場にするための問題提起を行う。明治から現代までの展開をはじめて明らかにした研究。
目次
はしがき
プロローグ
第Ⅰ部 戦前期の大学教授市場
第1章 帝国大学の大学教授市場
はじめに
1 帝大教授市場の形成
2 帝大教授市場の量的展開
3 帝大教授市場の閉鎖性
4 帝大教授市場の内部構造
5 学歴と帝大教授市場
6 市場と制度
おわりに
第2章 私立大学の大学教授市場
はじめに
1 大正七年「大学令」以前の私立大学教授市場
2 大正七年「大学令」による大学昇格の条件
3 慶應大学の教員自家養成
4 慶應大学の助教授職・助手職の登場
5 大正七年「大学令」以降の私立大学教授市場
おわりに
第3章 高等師範学校と文理科大学の大学教授市場
はじめに
1 帝国大学との相克
2 高等師範学校・文理科大学の特徴
3 高等師範学校教員
4 文理科大学教員
5 二つの教員養成理念
第4章 若手大学教授市場とアカデミック・キャリアの形成過程
はじめに
1 アカデミック・キャリアの形成の側面からみた日本の大学教授市場の特徴
2 「講座制」導入時までの帝大教授の経歴
3 高等教育以外の職場からの帝大教授の補充
4 アカデミック・キャリア上での帝大助教授の位置づけ
5 アカデミック・キャリアと下級教授職
6 非移動的大学教員市場の成立要因
第Ⅱ部 戦後の大学教授市場
第5章 統計からみた大学教授市場
はじめに
1 大学教授市場のシェア変動
2 インブリーディングのゆくえ
3 大学教授市場の流動性
4 大学教授市場と外部市場
第6章 大学院と大学教授市場
はじめに
1 大学教員の需要
2 大学院からの大学教員供給
3 大学教員の採用と育成
第7章 女性教員の大学教授市場
はじめに
1 女性教員の人口動態
2 女性教員と勤務大学
3 女性教員の出身大学
4 大学と女性政策
おわりに
第8章 アカデミック・サイクル
はじめに
1 アカデミック・サイクルの規定要因
2 日本の大学教員の年齢構成上の変化
3 特定講座内の教員間の年齢構成――A大学教育学関連講座を事例として
4 教員人事に対する採用側の意識
5 法的にみた内部組織、職階構成、職務規定と争点の課題
6 内部組織、職階および職務規定に関する改革の方向性
おわりに
第Ⅲ部 大学教授市場の現在
第9章 流動化する大学教授市場
はじめに
1 データ
2 市場占拠率はどう変わったのか
3 インブリーディングはどう変わったのか
4 系列化はどう変わったのか
5 階層化はどう変わったのか
6 流動化のインセンティブ
第10章 研究大学の大学教授市場
はじめに
1 戦前の大学教授市場と外国人教員
2 日本的大学教授市場と研究大学の構造改革
3 戦後の研究大学の教員市場の動向
4 日本の研究大学と学問的生産性
第11章 大学教授市場の国際化
はじめに
1 研究の目的と方法
2 外国人教員市場の動向
3 中国出身者の大学教員に関する分析
おわりに
第12章 融化する若手大学教授市場
はじめに
1 若手の大学教授市場
2 大学教員集団の年齢構成の歪み
3 オーバードクター問題
4 ポスドク制度の新設と博士課程の規模抑制
5 科学技術政策に翻弄される大学教員養成
6 周縁化した助手問題
7 知識基盤社会を支える開かれたキャリアパスに向けて
エピローグ
索 引
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