高等教育シリーズ152
近代日本の大学教授職 アカデミック・プロフェッションのキャリア形成
価格:5,390円 (消費税:490円)
ISBN978-4-472-40431-3 C3037
奥付の初版発行年月:2011年02月
大学教授はどのようにして選ばれるのか。明治以降、戦前までの大学教授の学卒後の経歴を分析することから、日本の大学教授の養成体制の特徴を明らかにする。職階制とキャリア形成、大学教授の資格条件、教授市場の閉鎖性、大学院と学位などを考察するとともに、戦後および近年の大学教員の養成の問題についても言及する。
目次
第1章.日本のアカデミック・キャリア形成
1.大学教員の職階とアカデミック・キャリア形成
2.日本におけるアカデミック・キャリアの非移動性に関する先行研究
3.大学教授資格
4.非移動的なアカデミック・キャリアの形成過程の解明にむけて
第2章.大学教授職とアカデミック・キャリア
1.非移動的な帝大教授市場の成立過程
2.帝大教授の出身学校と卒業席次
3.帝大教授の職歴
4.アカデミック・キャリア上での帝大助教授職の位置付け
5.アカデミック・キャリアと帝大下級教授職 (junior faculty)
6.「エスカレーター式昇進」の成立
7.非移動的な帝大教授市場成立の原因
第3章.助教授職
1.帝大助教授のアカデミック・キャリア
2.帝大助教授の出身学校
3.帝大助教授の進路
4.出身学校、卒業席次と教授昇進の関係
5.明治三〇年代における法学部助教授の位置付け
6.帝大教授のアカデミック・キャリアと助教授職
第4章.アカデミック・キャリアと学位
1.学位制度の変遷
2.大正九(一九二〇)年以前(第一次・第二次学位令期)の帝大教授と学位
3.大正一〇(一九二一)年以後(第三次学位令期)の帝大教授と学位
4.学位取得と教授昇進
5.戦後における学位の位置付け
6.戦前期における大学院作りの失敗
7.帝大教授のアカデミック・キャリアと学位
第5章.助手職
1.助手制度の変遷
2.助手の出身学校
3.各学部の帝大助手の助手以後のキャリア
4.出身学校と助手以後の経歴
5.助手勤務年数と助手以後のキャリア
6.助手の職務内容
7.卒業席次と助手以後のキャリア
8.戦後における助手職
9.助手職の特性
第6章.大学教授候補生市場
1.帝大卒業成績と卒業後のキャリア
2.東京帝大優等卒業生の初職
3.東京帝大優等卒業生の最終職
4.帝大優等卒業生の卒業後のキャリア
第7章.私立大学教員市場とアカデミック・キャリア
1.私立大学教員の養成過程
2.大正七(一九一八)年「大学令」以前の私立大学教員市場
3.大正七(一九一八)年「大学令」による大学昇格の条件
4.慶応大学における教員自家養成の試みの開始
5.慶応大学における助教授職・助手職の登場とその位置付け
6.大正七(一九一八)年「大学令」以降の私立大学教員市場
7.地方帝国大学と私立大学の魅力
8.専任教授の自家養成の状況
9.私立大学教員のアカデミック・キャリア
第8章.近年のアカデミック・プロフェッション養成
1.近年のアカデミック・プロフェッション養成の状況
2.大学院の拡大と助手ポストの縮小
3.若手大学教員市場の逼迫
4.ポスト・ドクトラル研究・教育職ポストの増加
5.フンボルト・モデル型アカデミック・プロフェッション養成の衰弱
終章.アカデミック・プロフェッション養成体制の確立
1.「エスカレーター式昇進」制度の成立
2.大正一五(一九二六)年の講座制改革
あとがき
引用・参考文献