高等教育シリーズ179
学修成果の可視化と内部質保証
価格:3,740円 (消費税:340円)
ISBN978-4-472-40604-1 C3037
奥付の初版発行年月:2021年11月 / 発売日:2021年11月中旬
本書では、2010年から10年間の実践を基に、IR、学生調査、ポートフォリオというツールを統合的に利用しながら高等教育の内部質保証に向けた課題を整理し、そのグッドプラクティスを例示する。日本の高等教育研究者に向けて、今後の学習成果の可視化と内部質保証の手がかりを提案する。
目次
まえがき
序章 学修成果可視化のための内部質保証システムの充実に向けて
──IRの果たす役割と日本のIRの課題とは何か?
1 IRとは何か?
2 IR部門の役割と日本のIRの現状
3 学修成果の可視化と教育の質保証
4 米国のIRの発展過程と日本の課題
第Ⅰ部 IRと内部質保証システム──国際潮流と内部質保証の課題
第1章 日本におけるIRの展開と内部質保証システム構築の課題
1 問題意識と背景
2 日本におけるIRの展開の3つの契機
3 内部質保証に関する国内外の動向
4 内部質保証システムとIRのかかわり
第2章 全国大学の調査の動向と個別大学の調査
1 IRに関する先行調査から
2 日本におけるIRの進捗状況と特徴
3 学習成果の測定として活用する学生調査:教学IRの方法
4 個別大学の調査の動向
第3章 学習成果の可視化の要諦
──学生のクラスタリングを通した教学マネジメントの必要性
1 学生調査は教学マネジメントに本当に有効に機能しうるのか?
2 Astin(1970)の「第三種の過誤」
3 カテゴリカル変数ごとの識別力
4 学生のクラスタリングを通した教学マネジメントの必要性
第Ⅱ部 学修成果の可視化の事例
第4章 学生調査のフィードバックと可視化・データ活用に向けた支援
1 教育の質保証と学生調査データの可視化
2 JCIRP学生調査参加校へのデータ利用実態アンケート
3 フィードバック事例としての米国大規模学生調査(NSSE)
4 学生調査のフィードバックを改善に結びつけるために
第5章 学内委員会における活用を念頭においたデータベースの開発
──JCIRPDBの事例
1 大規模学生調査データベース(JCIRPDB)の構想と開発過程
2 データ整理について
3 データベース(JCIRPDB)の設計
4 Webシステム開発
5 JCIRPDBの今後の課題
第6章 ポートフォリオを活用した学修成果の可視化
1 ポートフォリオを活用した学修成果の可視化の方法論
2 事例1:九州大学21世紀プログラムの場合
3 事例2:九州大学基幹教育理系ディシプリン科目「情報科学」の場合
4 「数値のみ」から読み取れない学生の成長を可視化することの課題
第7章 学内データと学外データの接続
──PROGとの接続の事例
1 学外データを用いることの意義
2 教育活動との関連分析
3 キャリア意識との関連分析
4 IRを機能させるための具体的課題
第8章 組織的なIR機能の向上を目指して──佐賀大学の事例
1 「IRをいかに機能させるか」という課題
2 佐賀大学におけるIRの目的と黎明期の体制
3 アドホック(adhoc)な分析を中心としたIR
4 組織的なIR機能の向上に向けて
5 教学マネジメントのなかでのIRを考えるために
第Ⅲ部 内部質保証における学内データの活用事例
第9章 学生調査の活用事例
1 大学成績と大学満足度と連関のある変数を探索する
2 学生調査項目の因子構造を探索する
3 複数年度の項目の異なる調査結果を比較する
4 大学満足度の項目を構造化する
第10章 授業評価の活用事例
1 授業評価の問題構図
2 授業評価で問われている項目と表示方法
3 授業評価を用いた教員参加のスキーム構築
4 授業評価を積極的に学内で活用する体制づくりの重要性
第11章 GPAデータ整理の活用事例
1 工夫が必要なGPA
2 量的変数の特性を踏まえたGPAの集計・報告方法
3 学生の意識・行動と組み合わせる
4 教員の問題意識と組み合わせる
5 学内対話を促進するためのGPA分析
第12章 教員調査の活用事例
1 教学IRとしての教員調査
2 教員(組織)の意義を探る
3 教員調査の企画・実施
4 学生の声を援護射撃にした教員調査のFD活用
5 教員調査の留意点2
終章 学修成果の可視化と内部質保証
──IRの「日本化」と学生調査の「機能化」
1 大学ガバナンス・教学マネジメントとしてのIRの役割
2 IRと内部質保証としての教学IR
3 学生調査の「機能化」としての学修成果の可視化
4 数値に何を語らせるのか?
あとがき
初出一覧
索引