現代社会は、電気の存在なしには維持できないといってもいいでしょう。ご承知の通り電気は便利でクリーンなエネルギーですが、一歩誤ると感電や火災等を引起す危険性も秘めています。そのため、電気事業法では一定規模以上の電気設備を備えている事業場や工場等には、電気主任技術者を選任して保安の監督をさせなければならないと定めており、電気主任技術者免状を取得した技術者へのニーズは相変わらず高いものがあります。
　電気主任技術者免状は、一定の基準を満たす学歴と実務経験とで認定を受けるか、国家試験に合格するかのいずれかで取得できます。前者の学歴と実務経験とで認定を受けるためには、かなり厳しい基準をクリアしなければなりません。しかし、国家試験の方は、受験資格に年齢、学歴、経験等受験資格についてなんらの制限もなく、そして合格すれば直ぐに免状が取得できます。電気主任技術者免状には、第一種、第二種、第三種がありますが、とりあえず第三種を取得されて電気技術者としての地歩を固められることをお勧めします。　本書は、電験第三種の実戦的問題を系列的に配列し、表頁に問題、裏頁に解答及び解説を掲載し、列車、バス等の乗物の中、職場や学校の休み時間、家庭内等いつでもどこでも、手軽に利用できるように構成してあります。限られた紙幅ではありますが、本書収録の問題をマスターされれば十分に合格できる実力を身に付けることが可能であるものと確信します。その反面、基礎的事項の解説は不足しているかもしれません。本書で不足する基礎的事項については、テキストや参考書、電気関係技術雑誌等で、特に法規に関しては「電気設備技術基準」やその解説書で、それぞれ補足していただければさらに揺るぎ無い実力が身につくものと思います。本書を有効に利用され、見事合格のうえ、電気技術者として活躍されますよう祈念いたします。 2000年5月
筆者しるす