パワーエレクトロニクスとその応用 省エネ・エコ技術
価格:2,530円 (消費税:230円)
ISBN978-4-501-11450-3 C3054
奥付の初版発行年月:2008年10月 / 発売日:2008年10月下旬
終戦直後の1947年(昭和22年)12月23日,アメリカのベル研究所で始めて点接触ゲルマニウムトランジスタが信号の増幅作用を実験室で確認し,1948年に新聞発表してから今年(2008年)はちょうど「誕生後60周年,還暦」になる。
この発明の後,半導体理論,材料および製造技術の進歩によって,半導体デバイスの応用分野は個人の携帯電話,パソコン,家庭の液晶テレビ,エアコン,ハイブリッド車を初め,公共の通勤電車,新幹線電車から金融・情報機器,医用機器,産業用重機械,宇宙機器などきわめて広く,一口では言い尽くせない。
トランジスタの発明は「20世紀の最大の発明」といえる。電力を取扱うパワーデバイスと制御と電力を包括した技術分野をパワーエレクトロニクスといい,1947年はその幕開けの年といえる。
著者は平成7から17年度(1995から2005年度)まで日本工業大学電気電子工学科(学部と修士課程)においてパワーエレクトロニクスの講義を受けもち,延べ約3,200人の学生諸君に講議した。その時使用した教科書は1996年に東京電機大学出版局から出版した『パワーエレクトロニクスの基礎』であった。この図書が出版されてから12年が経過し,多々加筆すべき箇所があると感じていた。
この度,工業高校,専門学校,大学,企業の若手技術者の諸氏によりよくパワーエレクトロニクスを理解してもらうように最新の技術,応用例を加えて内容を一新した。
また,講議を担当する先生に使いやすくするため,1学期14週間(1回は予備として13回),1回を90分の時間で講議できるように章,節,項,ページ数を配置した。すなわち1回を90分の時間で平均11ページ進めばパワーエレクトロニクスの全体像を学期内に解説できるようにした。
最近の電気主任技術者検定試験(電検)を見ると,パワーエレクトロニクスから試験問題が出ている様である。このため,各章ごとに問題を用意し,その解答を本文末に付けて受験者に便利になるように考慮してある。本書がパワーエレクトロニクスを目指す諸氏に参考になるように願っている。
2008年10月
岸 敬二
目次
第1章 パワーエレクトロニクスとは —発展の歴史—
1.1 トランジスタ,サイリスタの誕生
1.2 パワーデバイスの高電圧・大電流化の歴史
第2章 パワーエレクトロニクスの基礎知識 —電力変換,パワーデバイス—
2.1 電力変換に関する記号,用語,組み合わせ
2.2 パワーデバイスの構造と分類
2.3 半導体の性質と電子,正孔の挙動
2.4 シリコン単結晶,シリコンウエーハ,パワーデバイスの製法
第3章 パワーデバイスの動作原理 —電子,正孔の挙動,特性,用語—
3.1 一つの接合があるデバイス —ダイオード
3.2 二つの接合があるデバイス —トランジスタ
3.3 三つの接合があるデバイス —サイリスタ
第4章 パワーデバイスを使用するには
4.1 ゲート回路
4.2 デバイスを安全に使用するために
第5章 電力変換回路
5.1 交流 —直流電力変換回路(順変換回路,整流回路,コンバータ)
5.2 交流 —交流電力変換回路
5.3 直流 —直流電力変換回路
5.4 直流 —交流電力変換回路
5.5 電圧,電流波形に含まれる高調波とその抑制法
第6章 パワーエレクトロニクスの応用 —家電・情報機器への応用
6.1 家電機器への応用
6.2 情報機器への応用
第7章 パワーエレクトロニクスの応用 —電力系統への応用
7.1 周波数変換装置
7.2 直流送電装置
7.3 その他の応用例 —CO2削減を目指して
第8章 パワーエレクトロニクスの応用 —電動機制御
8.1 電動機の原理と種類
8.2 産業への応用
8.3 交通・輸送機器への対応
問題の解答
付 録
索 引