H8ビギナーズガイド
価格:3,080円 (消費税:280円)
ISBN978-4-501-32160-4(4-501-32160-1) C3055
奥付の初版発行年月:2000年11月 / 発売日:2000年11月中旬
埋込型マイコンH8の使い方を初心者向けに解説
我々の身の回りにあるさまざまな家電製品には,埋込型マイコンが組み込まれており,これらの技術を利用して,しゃべる冷蔵庫までつくられている。
H8は汎用性があり高性能の埋込型マイコンである。産業界のみならず,各ロボットコンテストのマシン制御に使われ,優勝チームのほとんどがH8を使っている(自立型の場合)。H8の使い方を初心者向けに解説。
この数年,パソコンの世界は大きく様変わりしました。ITという言葉も生まれ,まさにエレクトロニクス革命です。これは,マイクロコンピュータのハード/ソフト技術が飛躍的に発展したことに伴う社会現象のひとつといってよいでしょう。
しかし,表面のこの華やかさの陰で,それ以上に私たちの日常生活に深く関わっている組込型マイコンの存在を忘れてはなりません。テレビ,掃除機,エアコン,洗濯機,ゲーム機,キャッシュディスペンサー,そして自動出改札からパチンコに至るまで,まるで空気か水のように,私たちの身の回りに,さりげなく,そして着実に浸透し続けているのです。
一方,エレクトロニクスに興味を持つ私たち自身も大きく変わりました。まず,自分の手でモノを作るということが少なくなりました。そして,ハードウェアにあまり興味を示さず,何でもソフトで解決しよう・・という姿勢が目立つようにもなりました。それはやむを得ない時代の流れなのでしょうが,ハードとソフトの関係を正確に理解しておかないと,CPUを使った制御回路を作る場合など,結局何をやっているのか分からない・・ということにもなりかねません。
そこで今回,初心者の皆さんを対象にH8/3048F組込型マイコンチップをテーマとする本書を執筆するにあたり,できるだけ多くの方々に気軽に実験していただけるよう,上記の事情を考慮して次のような方針で臨むことにしました。
(1) 市販キットを利用し,入手容易な部品でマイコンボードを作ります。それ以外の周辺回路などは一切製作せず,ボード本体だけで実行可能な実験を中心に記事をまとめます。
(2) ソフトとハードの関係が理解できるよう,ソフト作成にはアセンブリ言語を用います。これは,C言語などへの移行に当たっても必要なプロセスと考えます。
(3) アセンブリ言語によるサンプルプログラムの1行,1行に,ハードとの関係,記述の意味などの詳しい説明を付け,初心者にも容易に理解できるよう構成に工夫します。
(4) H8/3048Fの持つ組込型マイコンとしての機能(I/O,D/A・A/D,SCI,ITU,DMA,TPCなど)をできるだけ幅広く利用し,基本的な応用例に重点を置きます。
この結果,ロボット制御をしてみたい,電卓を作りたい・・など,高度で具体的な製作に対するご希望には沿えなかったかもしれませんが,その代わり,誰にでも容易にできる実験集としてはご満足いただけるのではないかと自負しています。本書で学んだ知識を基に,読者の皆さんが更に発展して行かれることを期待する次第です。
なお,この本は1章から順に読み進んで頂くようお願いいたします。そういう前提で構成してあります。
最後になりましたが,この本の執筆に当たりいろいろとお世話になった,20年来の友人でもある東京電機大学出版局編集課長 植村八潮氏,そして同編集課 石沢岳彦氏に,この場を借りて厚くお礼を申し上げます。
2000年10月 白土義男
目次
第1章 組込型(ワンチップ)マイコンとは?
第2章 マシン語とアセンブラ言語
第3章 スイッチ入力/LED出力の実験
第4章 I/Oポートの入力をLCDの表示
第5章 D/A変換の実験
第6章 D/AとA/Dの同時変換
第7章 ITUの同期/PWMモードでノンオーバラップ3相パルスの生成
第8章 TPCと、ITUからの割り込みを組み合わせたノンオーバラップ4相パルスの生成
第9章 SCIによるシリアルデータ送信
第10章 DMACで4相パルス生成
第11章 サイン波と三角波の生成
第12章 複数のプログラムを割り込みで切り換えて起動する
付録A H8マイコンのアセンブリ言語
付録B H8/3048Fハードウェアの補足
付録C アセンブラ/フラッシュROMライタプログラムのパソコンヘの組み込み
付録D 部品の入手方法
付録E 参考文献
関連リンク
・ダウンロード:H8のプログラム