ユビキタス無線ディバイス ICカード・RFタグ・UWB・ZigBee・可視光通信・技術動向
価格:2,640円 (消費税:240円)
ISBN978-4-501-32450-6(4-501-32450-3) C3055
奥付の初版発行年月:2005年01月 / 発売日:2005年01月下旬
至近距離用無線ディバイスの特性などを解説
はじめに
ユビキタス社会を支える無線ディバイス
1990年代末にIT(Infomation Technology)というキーワードがもてはやされ,情報通信技術に過大な期待が寄せられたが,結果的にITバブルは短期間で崩壊した.しかしそのITバブルは,情報通信技術に関するいくつかの可能性の種を次世代へ残した.現在,ITに代わる次世代のキーワードとして,ユビキタス(Ubiquitous)という言葉が掲げられ,情報通信技術のさらなる研究開発が進められている.ユビキタスとはラテン語で「いたるところに存在している」という意味で,情報通信の世界をすべての物質にまで拡張することを示している.すべての物質はネットワークを介して接続されるが,その情報をやり取りする点には,至近距離通信用の無線ディバイスが用いられる.
第1章には,すでに使用されているか,あるいは今後その使用が期待される至近距離通信用の無線ディバイスの例を示し,それらの概要を説明する.第2章から第6章では,至近距離通信用の無線ディバイスの中でもその利用が期待されている非接触ICカードとRFタグの技術について解説する.第7章では非接触ICカードとRFタグの現時点での標準化の動向を述べ,第8章では最近の市場や業界の動向を示し,非接触ICカードとRFタグがどの市場のアプリケーションに適しているかについて,ユーザの判断に資する情報を紹介する.第9章では,ユビキタス無線通信の今後の課題を述べる.
本書がユビキタス無線通信に興味のある技術者,研究者各位にとって参考になれば幸いである.
2004年12月
根日屋 英之,小川 真紀
目次
第1章 至近距離通信用の無線ディバイス
1.1 非接触ICカード
1.2 RFタグ
1.3 Bluetooth
1.4 UWB
1.5 ZigBee
1.6 PHS
1.7 無線LAN
1.8 特定小電力無線設備
1.9 微弱電波無線設備
1.10 DSRC
1.11 ミリ波帯の電波を使用する無線設備
1.12 可視光通信
第2章 注目を浴びる非接触ICカードとRFタグ
2.1 非接触ICカードとRFタグの区別
2.2 周波数による分類
2.3 電源供給方法による分類
2.4 通信距離による分類
第3章 非接触ICカードとRFタグの技術
3.1 変調とは
3.2 多重化技術
3.3 静電誘導,電磁誘導,磁束密度
3.4 電磁誘導による電力伝送
3.5 電磁誘導による通信技術
3.6 アンチコリジョン技術
3.7 記憶方式とメモリ
3.8 符号化方式
3.9 伝送プロトコル
3.10 レクテナの設計
第4章 アンテナの技術
4.1 アンテナの基礎知識
4.2 非接触ICカードとRFタグ用アンテナ
4.3 広帯域アンテナ
第5章 応答器の技術
5.1 非接触ICカードの構成
5.2 RFタグの構成
5.3 ミリ波タグの構成
5.4 光タグの構成
5.5 有機半導体によるRFタグの低価格化
第6章 リーダ・ライタの技術
6.1 近接型非接触ICカード用リーダ・ライタ
6.2 RFタグ用のリーダ・ライタのブロック図
6.3 ミリ波タグ用リーダ・ライタ
6.4 光タグ用リーダ・ライタ
6.5 リーダ・ライタの低価格化へのアプローチ
6.6 ソフトウェア無線を意識したリーダ・ライタ
第7章 非接触ICカードとRFタグの標準化動向
7.1 非接触ICカードのISO規格
7.2 ISO/IEC18000規格
7.3 IDの標準化
7.4 IEEE802.15について
7.5 日本の移動体識別装置の規格
第8章 非接触ICカードとRFタグの市場動向
8.1 実証実験の結果
8.2 業界の動向と実用化
8.3 防犯,偽装防止とバイオメトリクス認証
第9章 現状の問題と今後の課題
9.1 無線という通信媒体
9.2 RFタグは無線設備か?
9.3 無線ディバイスの通信の信頼性
9.4 期待される周波数割当てと製品化動向
9.5 セキュリティ強化とプライバシー保護
9.6 最後に
参考文献
索引