バイオメカニズム・ライブラリー
人体を測る 寸法・形状・運動
価格:2,750円 (消費税:250円)
ISBN978-4-501-32540-4(4-501-32540-2) C3050
奥付の初版発行年月:2006年11月 / 発売日:2006年11月下旬
適切な計測を行う際のノウハウを解説
あなたは自分の「からだ」を表す数値をどれだけ知っていますか?
身長と体重くらいはご存知でしょう.衣料品を買うために,自分の首周り寸法や胸囲,胴囲,股下の長さ,足長なども覚えておられる方も多いと思います.しかし,自分の足の幅を正確に把握しておられる方は意外にも少ないのです.われわれは,多くの人の足形状計測を実施していますが,その計測結果を知らされて,「自分は足幅が広いと思っていたのに,細かったんだ」という若い人が大勢います.自分自身の「からだ」のことであっても,以外にも正確には把握されていないのです.日本人の体系を考えてデザインされた衣料品も,消費者自身が自分の「からだ」を知らないのであれば正しいサイズを選べず,意味をなしません.衣料品サイズ選びだけではありません.成人病の発生率と胴囲(ウエストサイズ)に関係があると言われているように,人体のかたちや動きは,自分自身の健康状態を表します.つまり,人体のサイズ,かたち,動きは,人間の「からだ」を介して表に現れた本質であり,それを測り,知ることは,われわれが自分自身を,ひいては,人間を知るための第一歩です.
人体を測るということは,このような人体のサイズや形状,さらにはその動きを数字として記録し,再現するということを意味します.巻尺や体重計で測るというのもその一部ですが,人体を測る方法にはもっと精密で高精度の技術が数多くあります.本書は,人体を新たに測ってみようと考えておられる方々,あるいは,すでに人体計測をしておられるものの計測技術について体系的に学んだことがないという方々に,人体計測の最新技術とデータ処理手法を具体的かつ体系的にまとめたものです.近年,計測機器のデジタル化によって計測の高精度化と自動化が進んでいます.またコンピュータグラフィックス技術との融合によって計測結果を簡便にわかりやすく提示できるようになってきました.とはいえ,あくまでも「なまもの」を対象とした人体計測ですから,デジタル化や自動化だけで対処しきれない「計測のノウハウ」があります.本書は,実際に人体計測を実践してきた著者によって,いままで語られることのなかった「計測のノウハウ」をお伝えするものです.
本書の執筆にあたっては,写真や資料の提供をいただきました文化服装学院 伊藤由美子先生,東京大学 山根克先生,(株)ホリカワ 森廣治氏に,厚く御礼申し上げます.また,本書の発刊にあたっては,東京電機大学出版局 石沢岳彦氏にご尽力いただきました.重ねて御礼申し上げます.
2006年10月
持丸正明,河内まき子
目次
第1章 人体寸法計測
1.1 人体寸法計測とは
1.2 計測器
1.3 計測点
1.4 人体寸法計測上の留意点
1.5 データの編集
1.6 計測精度
1.7 人体寸法データの入手方法
1.8 代表的体系の生成
1.9 人体寸法計測に関する規格
第2章 人体形状計測
2.1 人体形状計測とは
2.2 石膏型取り法
2.3 接触式3次元デジタイザ
2.4 非接触式3次元形状計測装置
2.5 計測装置の選び方
2.6 非接触式3次元形状計測装置による計測上の留意点
2.7 形状データ処理
2.8 応用事例
第3章 運動計測
3.1 運動計測
3.2 運動計測法
3.3 計測機の選び方
3.4 計測上の留意点
3.5 運動データ処理
3.6 運動データ表現
【コラム】ジンバルロック
3.7 運動データ分析
参考文献
索引