大学出版部協会

 

第2版 無線工学B

第2版 1・2陸技受験教室(3)
無線工学B

A5判 264ページ 並製
価格:2,860円 (消費税:260円)
ISBN978-4-501-32630-2 C3055
奥付の初版発行年月:2008年03月 / 発売日:2008年03月下旬

前書きなど

 近年,無線通信の分野では携帯電話などの移動通信を行う無線局の数が著しく伸びています.また,放送の分野においてはデジタル化や多局化により,新たな時代を迎えようとしています.これらの陸上に開設される無線局の無線従事者として,あるいは,それらの無線局の無線設備を保守する登録点検事業者の技術者として必要な国家資格が第一級陸上無線技術士(一陸技)・第二級陸上無線技術士(二陸技)です.
 本書は,一陸技・二陸技の国家試験受験者のために,国家試験で出題される4科目のうち「無線工学B」の科目について合格できることをめざしてまとめたものです.
 「無線工学B」の試験範囲は,アンテナ・給電線・電波伝搬およびそれらに関する測定です.アンテナや給電線の理論は,公式の展開などに高度な数学的な取り扱いが多いので,全てを理解することはかなり困難です.そこで,本書では国家試験に必要な内容について,重要な内容を選択してまとめてあります.しかし,暗記的でなく応用がきくように,基本的な理論から各公式の関連についても説明してありますが,べクトル解析などの難しい数学を避け,主に三角関数および初歩的な微積分を用いて記述しています.
 また,一陸技・二陸技の両資格に出題される内容を解説してありますので,二陸技を受験する方は詳細な説明を多少とばして学んでもよいでしょう.さらに一陸技に挑戦するときには,あらためて深く学習してください.
 選択式の試験問題は,その出題状況から分析すると,広い範囲の知識とその中で何がポイントかをつかむことが重要であるといえます.
 本書では,最近の出題状況をもとに,その出題範囲をひととおり学習できるように,各項目別に必要な要点をまとめて「基礎学習」とし,次に実際に出題された問題を演習して,知識を確実なものとするため「基本問題練習」としました.
 一陸技・二陸技の国家試験の合格率はあまり高くありませんが,試験で合格点を得た科目は3年間の科目免除の制度があります.そこで,各科目を確実に合格できるような学習プランを立てて,計画的に受験するとよいでしょう.
 本書によって,一人でも多くの方が一陸技・二陸技の国家試験に合格し,資格を取得することにお役に立てれば幸いです.
 2000年9月  著者しるす

 近年,デジタル放送や携帯無線通信などにおいて新たなシステムの運用が開始されたこと,これまでに利用されていた周波数帯よりも高い周波数帯の電波の利用が増加したことなどによって,一陸技,二陸技の国家試験の出題状況においては,それらのシステムに用いられるアンテナに関係する問題の出題が増加しています.
 そこで改訂にあたっては,最新の出題傾向に合わせて基本問題練習を全面的に見直すとともに,基礎学習の内容については特に次の記述を充実させました.
 第1章のアンテナの基礎理論については,開口面アンテナの節を追加し,パラボラアンテナなどの理論的な記述を充実させました.また,最近出題されるようになった公式などを必要な部分に追加しました.
 第2章のアンテナの実例については,フェーズドアレーアンテナの節を追加し,放送や移動通信で用いられるアンテナについての記述を充実させました.また,改訂前のわかりにくい図については訂正しました.基本問題演習では,航空用の航行援助設備に用いられるアンテナについての問題を追加しましたが,それらのシステムについては本書と同じシリーズの「無線工学A」に解説がありますので参考にしてください.
 第3章の給電線については,方向性結合器の節を追加し,最近出題されるようになった公式などを必要な部分に追加しました.
 第4章の電波伝搬については,通信システム別の電波伝搬の特徴の節を追加し,内容を充実させました.
 第5章の測定については,開口面アンテナ,小型アンテナの測定の記述を追加しました.また,他の章と記述の統一がとれていない部分を見直しました.
 改訂によって,最新の国家試験問題に必要な内容を効率よく学習できるように対応するとともに,一陸技,二陸技の無線工学Bの科目の国家試験対策として,これ1冊の学習で十分であることを目指してまとめました.
 本書によって,皆様が資格を取得することにお役に立てれば幸いです.
 2008年3月
 著者


目次

第1章 アンテナの基礎理論
 1.1 電波(電磁波)
 1.2 マウスウェルの方程式
 1.3 ポインチング電力
 1.4 基本アンテナ
 1.5 指向性
 1.6 利得
 1.7 放射抵抗
 1.8 電界強度
 1.9 放射効率
 1.10 線状アンテナの諸定数
 1.11 受信アンテナの諸定数
 1.12 アンテナの配列
 1.13 開口面アンテナ
 1.14 伝達方式
 基本問題練習
第2章 アンテナの実例
 2.1 アンテナの分類
 <MF以下のアンテナ>
 2.2 接地アンテナ
 2.3 フェージング防止アンテナ
 2.4 接地方式
 2.5 方向探知用アンテナ
 <HF帯のアンテナ>
 2.6 ビームアンテナ
 2.7 ロンビックアンテナ
 2.8 くし形アンテナ
 <VHF・UHF帯のアンテナ>
 2.9 ダイポールアンテナ
 2.10 八木アンテナ
 2.11 対数周期アンテナ
 2.12 移動体通信用アンテナ
 2.13 ターンスタイルアンテナ
 2.14 スーパゲインアンテナ
 2.15 双ループアンテナ
 2.16 ループアレーアンテナ
 2.17 ヘリカルアンテナ
 <立体構造のアンテナ>
 2.18 コーナレフレクタアンテナ
 2.19 パラボラアンテナ
 2.20 ホーンアンテナ
 2.21 無給電アンテナ
 2.22 電波レンズ
 2.23 レードーム
 2.24 スロットアンテナ
 2.25 フェーズドアレーアンテナ
 2.26 漏えい同軸ケーブル
 基本問題練習
第3章 給電線と整合回路
 3.1 分布定数回路
 3.2 線路上の電圧・電流
 3.3 線路のインピーダンス
 3.4 定在波
 3.5 反射係数
 3.6 受端短絡・開放線路
 3.7 供給電力
 3.8 平行2線式給電線
 3.9 同軸給電線
 3.10 ストリップ線路
 3.11 同調給電線による給電
 3.12 整合回路
 3.13 バラン
 3.14 アンテナ共用回路
 3.15 導波管
 3.16 遮断波長・管内波長
 3.17 導波管の分岐
 3.18 方向性結合器
 基本問題練習
第4章 電波伝搬
 4.1 電波伝搬の分類
 <地上波の伝搬>
 4.2 地表波の伝搬
 4.3 直接波と大地反射波
 4.4 ブルースター角
 4.5 山岳回折・フレネルゾーン
 4.6 不均一な大気中の伝搬
 4.7 見通し距離外の伝搬
 4.8 対流圏波の減衰
 4.9 地上波伝搬にともなう諸現象
 <上空波の伝搬>
 4.10 電離層
 4.11 臨界周波数
 4.12 正割法則
 4.13 電離層における電波の衰退
 4.14 電離層の変化
 4.15 各層の特徴
 4.16 各周波数帯の電離層伝搬
 4.17 上空波伝搬にともなう諸現象
 4.18 通信システム別の電波伝搬の特徴
 4.19 雑音
 基本問題練習
第5章 アンテナ・給電線の測定
 <給電線に関する測定>
 5.1 特性インピーダンスの測定
 5.2 定在波比の測定
 5.3 受端のインピーダンスの測定
 5.4 負荷に供給される電力の測定
 <アンテナに関する測定>
 5.5 接地アンテナに関する測定
 5.6 アンテナ利得・放射効率の測定
 5.7 指向性の測定
 5.8 入力インピーダンスの測定
 <電波に関する測定>
 5.9 電界強度の測定
 5.10 マイクロ波固定無線回線に関する測定
 5.11 電波無反射室
 5.12 雑音温度の測定
 基本問題練習

国家試験受験ガイド
索 引

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正誤表


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