自動車の走行性能と試験法
価格:3,410円 (消費税:310円)
ISBN978-4-501-41670-6 C3053
奥付の初版発行年月:2008年03月 / 発売日:2008年03月下旬
交通体系における自動車は面の交通として,航空機は点の交通として,また,鉄道は線の交通としてそれぞれ利用されているが,このなかで自動車は利便性に優れていることなどから,日常生活に密着した交通手段として用いられている.
このように身近になった事由には国民総生産が向上したことにより購買力が増し自動車保有台数が増加したことによるが,自動車の性能向上および多用途の車種が開発されいっそうユーザーに受け入れられたものと思われる.
ここに至るまでの歴史過程を振り返れば数多くの技術者の絶ゆまぬ努力があげられ,これらに関する専門書および学術書も数多く発刊されている.
しかしながら,これらの内容は一方では作動原理や構造解説が中心のものであったり,他方では,自動車技術の理論および数式にとらわれ専門的で初学者には取り組みにくい内容が多い.
また,自動車工学の一分野である走行性能および試験に関する専門書および教科書はあまり見あたらない.
そこで本書は,できるだけ専門的な計算式などは避けるとともに取組みやすいように図,写真などを多く採用した.
まず,初章として自動車全般をとらえるため歴史的背景から解説し,第2章では自動車の走行性能を正しく理解するために走行抵抗,動力性能,だ行性能,制動性能,旋回性能,タイヤ特性,振動乗り心地・騒音および衝突,安全に関しての各項目について基本的な理論について解説を行ない,第3章では,各性能試験のうち日本工業規格および日本自動車規格などに基づいて動力性能試験,だ行試験,制動性能試験,旋回性能試験,タイヤ性能試験,振動乗り心地・騒音試験,衝突試験および乗員に関する試験について具体的な例で解説を行なうとともに制動および衝突試験については著者らが実験を行ない,関係機関に発表したデータなどを取り入れ解説を行なった.
このような内容を中心に著作したため,自動車工業の技術関係をめざしている短大,高等専門学校および大学の学生あるいは既にこの方面に携わっている技術者諸氏の教科書および技術書として利用しやすいものと思われる.
なお,本文中の実験データの一部は著者らが乗用車などを用いて,北海道士別市西士別車の沢に設置されている寒冷地技術研究所(会長加来照俊北海道大学工学部名誉教授)所有のコースで実施したものである.
終わりに本書を執筆するにあたって参考させていただいた文献については本文中にその箇所を明示し,各章末にその文献名を記載した.
ここにこれらの著者各位に対し深甚なる謝意を表す.
追記
本書は,1999年の初版発行以来,(株)山海堂から刊行され,幸いにも長きにわたって多くの読者から愛用されてきた.このたび東京電機大学出版局から新たに刊行されることとなった.本書が今後とも,読者の役に立つことを願っている.
2008年3月
教授 茄子川捷久
教授 宮下 義孝
准教授 汐川 満則
目次
第1章 概論
1.1 自動車の歴史
1.2 自動車の生産
第2章 自動車の性能
2.1 走行抵抗
2.2 動力性能
2.3 だ行性能
2.4 制動性能
2.5 旋回性能
2.6 タイヤ特性
2.7 振動乗り心地,騒音性能
2.8 衝突,安全
第3章 性能試験法
3.1 動力性能試験
3.2 だ行試験
3.3 制動性能試験
3.4 旋回性能試験
3.5 タイヤ性能試験
3.6 振動乗り心地・騒音試験
3.7 衝突試験
3.8 乗員に関する試験法
第4章 法規一般
4.1 法規
4.2 道路運送車両法
4.3 国際単位系SI
第5章 自動車走行性能に関する用語解説
5.1 動力性能に関する用語
5.2 旋回性能に関する用語
5.3 制動性能に関する用語
5.4 振動および乗り心地性能に関する用語
5.5 安全,衝突に関する用語